――コロナウイルスの影響もあり、音楽シーンではジャンル問わずライヴの延期や中止が相次いでいます。そんな中、DIAURAの皆さんは何をして過ごされていましたか?
yo-ka:制作ですね。外に出る時間が少なくなったので新たに機材を買ったりして。おかげで、曲作りがはかどりました。それこそ、普段よりも音楽家っぽいんじゃないかなって思うほどでしたよ(笑)。
佳衣:ここまでライヴをやっていないのは初めてのことだったので、正直もどかしい気持ちはあります。その分、自宅にいることが多かったので制作はしていたんですけど、いつものようにライヴで刺激を受けることがないだけに、どうしようかなと思う部分がありましたね。やっぱり、インプットがない状態で物を作り始めるというのは苦労するところでもあります。
翔也:俺は、ライヴに向けての準備を色々としていたんですけど、直前になってライヴがなくなってしまうっていう繰り返しだったので、少し息詰まってしまって。そこで、環境を変えてみようと思って機材を買いました。あとは、体調に気を付けているという感じですね。
達也:俺も制作していたんですけど、メンバーと比べると制作のスピードは遅いかなと思います。あとは一人虚しくスタジオでドラム叩いたり(笑)でも、こうやって影響を受けているのは音楽業界だけじゃなくて他の業種も同じだと聞いたので、そこは本当にもどかしい気持ちはありますね。早く以前と同じようにライヴをしたいという気持ちがありながら、今は一体、何と戦っているんだろうって感じるところもあって。ファンメールでも意見をもらうんですけど、ファンのみんなも気持ちの部分でつらいところは一緒なんだなと思いますね。
――やっぱり、ライヴバンドとしてこの現状はつらいですよね?
yo-ka:そうですね。だからといって、世間から可哀想という目で見られるのも嫌なんですよ。個人的には、こういう状況でもふさぎ込まず、このモードならではの覚醒の仕方があるんじゃないか、今できることをやっていこう、という気持ちで進んでいかないといけないなって。そうやって、気持ちを切り替えられたからこそ、通常の3倍ぐらいの速度で制作ができたのかなと思うんです。
――「ENVY」「Hydra」という2枚のシングル作品を完成させたばかりではあるけれど、その気になれば新作が出せるぞという勢いがあるわけですね?
yo-ka:もちろん。ここ1ヶ月ぐらいでアルバムが作れるほどの曲は作っているので。でも、今は、「ENVY」と「Hydra」を見てほしいかな(笑)。
――そうですよね(笑)。では、作品の話へと移りましょう。2作とも既にリリースはされていますが、今回、ミニアルバムではなく、シングルとして出した理由を教えてもらえますか?
yo-ka:新しい船出を打ち出した前作「FINALE-Last Rebellion-」。ここでは、メンバー4人が合致するDIAURAのイメージというのが100パーセント出せたと思うんですよね。その上で、ツアーにも臨めたし、これからの自分たちには何が必要だろうと考えることができたんです。そこで出した答えが、自分たちがワクワクするようなDIAURAとの出会いがほしいなって。例えば、新作をミニアルバムにしてしまうと、表題曲は1つ、衣装も1着、という前提の上でイメージを作ってしまうことになるけれど、敢えて今回はシングル2作で出すことによって遊びを増やそう思ったんです。そうすることで、作品ごとにキャラクターを変えられるし、後に続くライヴでも見せ方の幅が広がると思ったんです。簡単に言うと、1粒で2度おいしいというか、1つの作品なのに二つの表情をツアーでも楽しめる、単純かもしれないけどそういったドキドキ感を観てくれる人たちに感じさせると同時に、自分たちも同じ気持ちを味わいたいと思ったので、ミニアルバムではなく、シングルとして出すことにしたんですよね。
――これまでDIAURAはバンドとして正統派のイメージを築いてきたと思うんです。けれども、このようにして遊び心を出してきたところに面白さを感じましたし、そういった柔軟性を見せるあたり、ディオーラの影響もあるのかなぁと?
yo-ka:いや、彼らからは影響は受けていないですね。
翔也:あれは別物だからね(笑)。
――失礼しました(笑)。では、翔也さんから見て、「ENVY」と「Hydra」はどう捉えていますか?
翔也:まず、2ヶ月連続でシングルを出すというのが久しぶりなんですよね。だから、フットワーク軽く、色んなことができるのかなと思ったので、ヴィジュアル面でも遊びを効かせることができたし、普段見られないような感じを出せたかなって。
――それだけに、結成当初のような初期衝動を思い出したのでは?
yo-ka:確かに、これがかっこいいっていうものが歳月を重ねることでできあがってはいくんですけど、それだけじゃなくていいなっていうのがあったんですよね。もしかしたら、それはディオーラを見て感じたのかもしれないし。でも、1番大きかったのは、作れるんだからやろうよっていう気持ちがあったことですね。こっちの方が安定しているんじゃないか、こうした方がアベレージが高いんじゃないか、って考えるのは違うなって。それよりも、変にタブー視することなく、やりたいことをそのまま出した方が面白いというのは、去年1年の活動を通してわかったことではありますね。なので、今のDIAURAの現状としては、とりあえずやってみたらいいっていう感覚の下で作品を作っています。
――なるほど。私自身、どこかでDIAURAに対して思い描く像というか、理想とする形を作品に求めていたように思うんです。けど、こうやって自由な姿勢で作った作品もDIAURAなんだなと改めて気付かされたというか。
yo-ka:DIAURAのイメージがあるというのは、1つの正解だと思うんですよ。でも俺は、正解は1つではないと思っていて。色んな正解の形があっていいんじゃないかってなったときに、じゃあDIAURAに何ができるだろうかって出した正解の1つが、「ENVY」と「Hydra」だと思うんです。そういう風に作品を作れたというのも、DIAURAを9年やってみてわかったことなので、タイミングが早いか遅いかはさて置いて、自分としては良かったかなと思いますね。
――達也さんは、2ヶ月連続で「ENVY」をと「Hydra」出したことにより、これまでとは違う自分の一面が出せたなと感じていますか?
達也:そうですね。前は、変わらなきゃということに対して悩んでいたんですよ。でも、無理やり何かを変えなくてもいいんじゃないかなって気持ちが落ち着いてきたんです。というのも、僕個人としては、ここ最近はヴィジュアルイメージを大幅に変えることがなかったので、単純に「ENVY」と「Hydra」の2作を出したことで自分の良いものを引き出せたなと感じているんです。だからといって、ガラッとこれまでのイメージを変えるのではなく、自分が1番似合うと思うものを表現したいと思っていたので、そこを活かしながら曲の雰囲気に合わせて変えることができたんじゃないかなって。自分は自分だ、というか、常に自分が自信を持てるものを提示していけば、それが正解なんだなって思えるようになりました。
――そういう話を聞くと、今回は2ヶ月連続シングルという形をとったのが、DIAURAにとって有効的だったのだなと思いますよ。佳衣さんも、毎回作品を出すたびにヴィジュアル面で驚かしてくれますね?
佳衣:ちょっと飽きたから髪型を変えようと思ってやっているのではなく、作品の世界観を考えた上で、自分はこういうものが着たい、こういうメイクがしたい、って思うんです。だから、本当に曲ありきというところはありますね。あと、最近になって思うのは、DIAURAとはこういうバンドだっていうイメージがあるからこそ、良い意味で曲を通して裏切ることができるのかなって。今回出した「ENVY」と「Hydra」のように、振り幅の広い作品を作れたのは、DIAURAという1本の核があってこそだと思うので、曲に関しても新しいものをとりあえず作ればいいというのではなく、DIAURA節というのはすごく大事にしていきたいなと改めて思いました。
――4月1日にリリースされたばかりの「Hydra」でも、DIAURA節がふんだんに盛り込まれています。
佳衣:「Hydra」はすごく尖ったものにはなったと思うんですけど、曲単体でこうしようかなと考えたというよりかは、もっとさかのぼって、今回2ヶ月連続で出すとなったとき、「ENVY」はこういうイメージでいこうというところから割と派生していった曲でもあるので、「ENVY」と「Hydra」は別々の作品ではあるんですけど、2作で繋がりがちゃんと持っていたいなという想いがあったので、リンクするようなものがありつつという感じですね。だからといって、極端に、こっちはハードにこっちはキャッチ―に、という分け方をしたのではなく、1つの世界の中に2作品があるというのは意識しました。
――となると、表題曲の「Hydra」は、歌詞に対しても何か注文は付けられましたか?
佳衣:歌詞に対してこうしてくれというのは一切なかったですね。この曲はyo-kaが歌詞を書いているんですけど、そこは全て任せました。
――そこはやはり、信頼関係があってこそ?
佳衣:まぁ、長年一緒にやってますからね(笑)。あとは、今回のリリースにあたって共有できている部分が多かったので、改めて、歌詞に関して言わなくても大丈夫だろうって思ったんです。そうした上で、書いてきてくれた歌詞が曲の世界観に沿ったものだったので、心配はいらなかったです。
yo-ka:ほんと、言わずもがなっていう感じなんですよね。もちろん、自分としても曲ができるまでは歌詞が一言一句見えているわけではないんですけど、佳衣から最初に世界観を聞いた段階で、これは絶対に素晴らしいって思えるんです。なので、今回も曲とちゃんと向かいあったら、その曲が何を望んでいるかが見えてくる。それがDIAURAの音楽の軸なので、メンバーが作ってきた曲、そして自分が作ってきた曲に対しても何の不安もないんですよね。だから、どの曲を取っても面白くなったなと思います。
――ちなみに、表題曲「Hydra」の歌詞で言いたかったことは?
yo-ka:さっき佳衣も言っていたように、俺もこの曲単体で表現しようとは考えてはいなかったんですよ。今回は2作を通して時間の経過を表しているので、「ENVY」があっての「Hydra」だし、「Hydra」があっての「ENVY」という風に、無限に続く世界観を作っているんです。その上で、ツアータイトルの「BRILLIANT MONOCHROME」が示すように、鮮烈なものが「ENVY」ではほしかった。ただ、鮮烈とは謳いながらも、モノクロな部分も表していて。それが、「Hydra」へと繋がっていくんです。そうしたイメージがある中で歌詞は書いていったので、「ENVY」の熱がどんどん下がっていったところから「Hydra」が始まるんです。その落差を2作で出したいなって。だから、両方を通して経過を楽しんでもらいたいんですよね。
――世界観がそこまで練られていたとは。
yo-ka:「ENVY」が俺の曲で、「Hydra」は佳衣の曲ですけど、俺が最初に「ENVY」を作ったとき、世界観はまだ半分しか見えていなくて。けど、「Hydra」が出てきたときに広がっていったんです。だから、計算して作ったというよりかは、発見でしたね。まるで、パズルを1ピースずつはめていくような感覚で作ることができました。
――世界観しかり歌詞しかり、全てが合致することでDIAURAが作られていると感じますが、以前に増して演奏力も説得力が増してきましたよね。リズム隊のお二人は、改めて「Hydra」のレコーディングを振り返ってみていかがでしょう?
達也:原曲ができた時点で全てが噛み合っていたというか。ユニゾンは楽器陣でしているけどメロディとはうまい具合で絡み合っているとか、色々と細かな部分はあるんですけど、アレンジすることに関していったら、難しかったですね。完成系に近いところにあった曲を、いかに自分の色を出していくかというのを考えながらスタジオに入ったときに、変えていない部分はあるけど、自分が好きなように叩いていくというすり合わせをしていったんです。
――リリースを重ねるたびにハードルが上がりますね?
達也:めちゃくちゃ上がってます(笑)。それだけ、曲の難易度が上がってるんだろうなって。今回、2作品出したので計6曲あるんですけど、よくこんな振り幅が出せたなって。だから、自分もそれに対して返さないとっていう気持ちになるんですよね。でも、きっと、これからも挑戦は続くんだろうなって思います。
――ドラムのハードルが上がれば、自然とベースのハードルも上がると思いますが、翔也さんはレコーディングを振り返ってみてどうですか?
翔也:毎作、自分の中でハードルを上げてレコーディングには臨んでいるので、今回もできあがりには満足してます。で、その後リリースされたものを聴いてもらって、あそこの部分良かったねって言われるのが作品としても1番良いと思うので、ベースだけがどうこうという話ではないんですよね。だから、正直なことをいうと、ベースだけ褒められても、ん?って思うところはあります。
――そういう考え、すごくベーシストらしいなと思いますよ。目立ちすぎず、引っ込みすぎずという。
翔也:バンドの中で自分だけ目立とうという気はないんですよね。それより、楽曲が良ければいいという感じなので。だから、昔ほど、俺が俺がという考えはなくなりましたね。それもあって、今は自由にやれているんだと思います。
――カップリング曲の「ポワゾ」は、毒のある1曲となっていますが、作詞作曲を手掛けたyo-kaさんの狙いは何だったのでしょう?
yo-ka:元来、こういった世界観の曲が好きなんですよね。昔だったら、曲ができたとしても趣味フォルダーに入れて終わりだったものが、自分の好きなものを自然と提示することによって、表現者として健やかになれるというか。その上で、今のDIAURA、そして未来のDIAURAに対して、こうした部分を今後どうやって共存していこうかと考えるのがすごく楽しいんですよね。
――「Promised Land」は、また違ったタイプの楽曲になっていますよね?
佳衣:「ポワゾ」じゃないですけど、俺も単純に好きな曲が作りたかったんです(笑)。だから、テンポ感にせよコード感にせよ、良い塩梅のものができたなって。
yo-ka:どちらも、狙わずとも響く曲になったと思います。それだけに、どんな曲をやっても聴かせられる自信は付きましたね。
――それは、ようやくDIAURAを乗りこなせる時期が来たという感じでもありますか?
yo-ka:それはあります。前はDIAURAに引っ張られるときもあったけれど、今は引っ張っていっているし、変幻していく時期なのかなって。だからこそ、DIAURAは今が1番面白いと思います。
Interview:ERI MIZUTANI
2020年4月25日土曜日
2020年3月25日水曜日
2020.4月号 Kra
——2人編成になって約1年たちましたが、変化したところはどんな点でしょうか?
結良:打ち上げするようになりました(笑)。ライブのあとに「メシ行こう」なんてことなかったんですけどね。
景夕:互いにわかりあっているメンバーだったので、行く必要がなかったっていうのもあったんですけど、2人になってサポートをいろいろな方にお願いしているので打ち解けておきたいって思ったんですよ。なので打ち上げどころかリハーサル後に「ゴハン食べませんか?」ってお誘いするようになりましたね。
——コミュニケーションを大事にするようになった?
景夕:そこがいちばん大きな変化かもね。
結良:そうだね。
——仲良くなることが演奏にも繋がりますものね。
景夕:そうですね。あとはこれまで4人で役割分担していたんですけど「これ誰がやるんだっけ?」ってあやふやになっていたところがあったんですよ。いまは2人だけなので、わかりやすくなって。
——ちなみにいまはどんな分担になっているんですか?
景夕:今回のミニアルバム『Dis WORLD』に関しては自分が作詞で作曲が結良ですね。次回からは俺も曲を作れたらと思っていますし、歌詞先行でメロディをつけてみたいということも話していますね。ただ役割自体は自分は変わってないですね。
結良:僕は運転する回数が増えましたね(笑)。
景夕:あとは同期の管理してくれたり。
——(笑)結良さん、仕事増えてるじゃないですか?
景夕:結良さんは明らかに増えています。
結良:でも、どっちも苦じゃないんですよ。ライブで流す同期の編集にしても、サポートドラムの方がやりやすい音響を作り上げるのが好きなんです。「Kraの現場ってドラムの同期がちゃんとしてるよね」って言われたくて親切丁寧をモットーにやっています(笑)。
——2人体制での第1弾『Dis WORLD』はKraらしさもありつつ、以前よりフィルターがかかっていないというか、前を向いている姿勢がストレートに伝わってきました。プロデューサーに都啓一さん(Rayflower、SOPHIA)を迎えて制作していますが、都さんのことは前から知っていたんですか?
景夕:高校生のときSOPHIAを聴いていたんですけど、初めてお会いしたのは去年の春?ぐらいですね。
結良:僕が都さんとセッションする機会があってKraの曲をカバーしたんですけど、同期を原曲に忠実に作ってくださったんですよ。その流れからプロデュースをお願いしたんですけど、次回も一緒にできたらいいなって。
景夕:お忙しい中、対応していただいてミニアルバムの曲についても「Kraの可能性が秘められていると思う」とか「こういうことやったら絶対もっとお客さんに響く」って、前向きになれることを言っていただきました。2人になってウチらはお客さんに届けることでせいいっぱいで、光が見えなかったんですね。都さんはウチらのことだけではなくお客さんのことも考えてくださった上で意見を言ってくれて「Kraの音楽をいろんな人に広げるチャンスはあるのかもしれないな」って思えたんです。
——客観的な視点で熱く語ってくれたんですね。都さんに出会えて良かったですね。
結良:ホントにそうですね。
景夕:結良さんに至っては都さんにテンション上げてもらって帰ってから深夜、曲を作ってましたからね(笑)。
——リード曲「Dis WORLD」は都さんのキーボードソロも入っているし、新しさを感じました。
結良:ウチらもスタッフも最初は4曲目の「2/4」をリード曲にしようって話してたんですよ。そしたら都さんが、
「この曲、輝くと思うで」って言ってくださって、アレンジを委ねたんです。原曲はライブ中盤でやりそうな雰囲気の曲だったんですけど、序盤や後半で演奏できるような曲になりましたね。
——きらびやかさがあるダンスナンバーなのに、どこか憂いがあるのがいいですね。“心奪われた あの絵画のような色使いとは違ったんだ”という歌詞が出てきますが、
絵画にさよならを告げる曲なのか、足りなかったピースを探しに行く曲なのか気になりました。
景夕:絵画は「いつか、ああいうバンドになりたいな」とかバンドマンが目指す理想の例えとして書いたんですけど、描いていた理想に囚われずにいろいろなものに目を向けて吸収して2人で表現していくっていうのが、この歌詞の核心ですね。不完全な世界におやすみを告げるというか。
——だから“本当の世界を新しく探すため”というフレーズで終わるんですね。サウンドもふくめて、いろんな色が混ざっている印象を受けました。
景夕:水彩画に近い曲だと思ったんですよ。赤とか青って限定できる曲じゃなくグラデーションのような。
——「言葉にしたい言葉」では“全ての想いを言葉に言葉にしたいよ”と歌っていますよね。ここまでまっすぐに表現するのも珍しいのでは?
景夕:KraのグループLINEに歌詞を投げたとき緊張感と恥ずかしさがありましたね(笑)。
——曲調も疾走感があってストレートなんだけど途中でダブっぽくなる展開がフックになっていますね。
結良:間奏で落とすのがすごく好きなんですけど、今回は明るい感じにしたくてボサノヴァとかレゲエっぽい感じにしてみました。
——「逆想のイカロス」は今作の中でもっともヘヴィなナンバーですね。
結良:もともとライブの激しいゾーンに持っていこうと思ったんですけど、都さんに「もっと重たくしたほうがいいと思う」ってアドバイスされてアレンジしてもらったんです。ウチにはなかったポジションの曲になりましたね。振り切ることも大事だなって。
——エフェクトをかけた景夕さんの低い声とハイトーンの幅が楽しめる曲でもあり、結良さんのベースも激しく動き回ってますね。ライブで爆発しそうなナンバー。
景夕:今作は全曲、生のドラムではないのでライブでは、よりグルーヴが出ると思うんですよ。今度のツアーのドラムは優一なので「逆想のイカロス」は音源以上にガツンと重たくなるんじゃないかな。そこも楽しみにしていてほしいですね。
——この曲も地に落ちたイカロスがもう1度羽ばたくという内容なので、未来に向かっているという意味でメッセージは繋がっていますね。
景夕:そうですね。「言葉にしたい言葉」もありのままの自分を受け入れてほしいという想いが入っているので。
——「2/4」はタイトルからしていまのKraのことかなと思いますが、スピード感があってポップですよね。
結良:完全に僕が好きな手グセで作った曲なんですけど、これまでと少し違うのはサビでメジャー進行になって明るくなるところ。
景夕:歌詞は2人になった自分たちのことを歌っています。自分たちの身体が続く限りは続けていくとファンに言っているのでそういう意思も込めています。
——抽象的な質問になりますが、いまの2人にとってKraとは?
結良:なるようになるバンド。「良くなかったかな」と思って下した決断がのちにプラスだったことも多かったし。
景夕:ある意味、お互いポジティブだよね。辛いことがあってもあとで笑って話せればいいやって。
結良:そうだね。
景夕:18年の間にはあきらめかけたこともありましたが、がんばって続けていたら花咲くことがあるかもしれない夢がある職業だと思うんですよ。これまで音源を出して「Kraっぽくない」って言われることはありましたけど、あとになって「やっぱり、あの曲いいね。ライブで聴きたい」って思われる曲を作っていきたいと思うし、サポートミュージシャンを迎えてやっているいまのKraって拡張性があると思うんですよ。音楽のジャンルも限定していないし、可能性はまだまだあるなって思っています。
Interview: HIROKO YAMAMOTO
2020.4月号 Develop One's Faculties
この記事を目にする頃には、最新アルバム「INVERSE ЯEVERSE」を手に全国ワンマンツアー「ONE MAN TOUR「INVERSE ЯEVERSE」の真っ最中だろう。ライブを繰り返すごとにアルバムへ収録した曲たちを進化させながら、彼らが今、どんな姿を示しているのか興味深い。まずは、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」へ込めた4人の想いを感じて欲しい。
――アルバム「INVERSE ЯEVERSE」へ収録した「偏見と正見」の中、yuyaさんは「世界観強いよね そう言っときゃ良いって思ってるでしょ?」と歌いかけました。その言葉を安易に使いたがる人はやはり多いのでしょうか?
yuya よく言われるんで(笑)。今や「世界観」という言葉が一人歩きし、「その言葉を使っておけば安心という人が多いのかな?」とは勝手に思ってるんですけど。使っている側も、その言葉に対して悪い印象を持ってないと思うんですよね。実際に「世界観強くて凄くいいよね」と言われても、悪くは聞こえない。もちろん、その言葉を悪いと解釈しているわけではない。ただ、無理に「世界観が強くて格好いいよね」と言うくらいなら、ただ「格好いいよね」だけで良いなと思う節が今まであったので、そう書いたわけです。
――確かに使っておくと便利な言葉なのは、職業柄わかります。
yuya そうなんでしょうね(笑)。
――yuyaさんの書く歌詞は、自分へ向けてはもちろん、世の中の現象への皮肉も痛烈に込めて表現している印象を覚えました。
yuya 歌詞に関しては、自分の思ったことを書いているだけなんですけど。俺自身は歌詞を書き溜めることはせず、「そのときに思い、感じたことを歌詞にしている」し、それを伝えたい気持ちが一番にあること。結果、8割はマイナスなことを書いてるなとは自分でも思いますけど。希望や明るい未来を書くよりも、自分の感じているリアルを伝えたい。例えばの話、この世の人数が100人だとしたら、100人全員に共感して欲しいと思って歌詞は書いてないし、歌っているつもりもない。ただ、受け取った人の少しでも多くの人に共感してもらえたら、それでいい。自分自身、キャッチーな歌詞を書くつもりもないですからね。
――メンバーは、yuyaさんの想いを共有し、それを演奏へぶつけている形なのでしょうか?
rui 歌詞に関しては、yuya自身の生きてきた世界観や主観を書いてるように正直100%理解しているわけじゃないけど、言葉を大事にしている印象は強いです。とくに最新アルバムの「INVERSE ЯEVERSE」は、歌詞を重要視した楽曲が多いというか、これまでは歌詞のない楽曲もあった中、今回インタールード以外はすべて歌詞を書いている。そこが、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」の聞きどころにもなっていることかなと…。
yuya 今、相方が「本人じゃないから100%はわからない」と言ったけど、100%わかっちゃうと楽しくないと思うんですよ。その意味を100%理解しているのは、歌詞を書いた俺一人でいい。たとえばメンバーで言うなら、俺の書いた歌詞を75%くらい理解したうえで、残りの25%を俺が補てんして100%にしていけばいいこと。むしろ、違って見えた視線は、俺にはないもの。それが自分には逆に刺激にもなる。それは、リスナーも含めて。そういう余白のある受け止め方でちょうど良いのかも知れないです。
――yuyaさんの場合、歌詞もメロディも降ってくるタイプ??
yuya 「曲を作ろう」と思って作ることも出来ますけど、そういう楽曲はあまりやりたくはないな。それよりも、直感として浮かんだものを大事にしたい。たとえば、絵を見ながらメロディや言葉が浮かぶとか。最近だと、寝ながら曲を作ってるんですよ。
――それはどういうことですか?
yuya 夢の中で曲を作ってる。でも、夢なんて起きてしまえば、すぐに忘れることが多いじゃないですか。だけど、たまに鮮明に覚えているときがあるんですよ。今回のアルバム「INVERSE ЯEVERSE」の中にも、夢の中で作りながら、起きたときも覚えていたことから楽曲に書き起こした歌が2曲あります。そういう曲ほど、自分でも「いい曲」だと思ってて。あえてその答えは言わないので、そこは想像してもらえたらなと思ってる。
――個人的に、「冒涜」の持つ高揚感というか、聞いてて魂を震わせ、そのまま楽曲と一緒に絶頂感を覚える感覚が好きなんです。
yuya 「冒涜」は、夢の中で作った1曲です。俺は夢の中、誰もいない大きいホールで一人指揮をしていた。もちろん、指揮をしている俺しかいないんだから、そこに音楽が流れているわけじゃない。なのに、俺の耳にはその音楽がずっと響いていた。「その感覚が不思議だなぁ」と夢の中で想いつつ、起きたときもその夢や、耳に響いていた楽曲を覚えていたことから曲にしていった。「冒涜」は、「これをフルオーケストラで演奏したらさらに格好いいんだろうなぁ」とも思いながら作りましたね。
――JohannesさんやHiromuさんは、yuyaさんの歌詞をどのように受け止めています?
Johannes (翻訳済み)自分は言葉をニュアンスとして感じ取りながら演奏をするタイプ。アートワークを作るときに、初めて歌詞を読んで自分なりに受け止める形です。
Hiromu 自分の場合は、歌詞の意味も含めての楽曲という捉え方で演奏している節が強いです。なので、極力歌詞もわかったうえで演奏したい性格。もちろん、歌詞の乗ってないメロディとサウンドたけの状態で届く場合もあれば、そのうえで表現もしていますけど。そういうときでもつねに、自分なりに歌詞の世界を想像して弾いていく性格。さっき75%理解してくれていたらという話もあったように、自分も歌詞を理解したうえでのほうが、より気持ちをノセて演奏が出来るように、歌詞は大事にしたいほうです。
――yuyaさん自身、人は好きだと思うんですけど。人の持つ感情についていろんな角度から、しかも痛い表現を持って言葉を投げてゆくじゃないですか。たまにこの人、「人が嫌いなのかな」と想像もしてしまいます。
yuya もちろん、人は好きですよ。ただ、歌詞を書くと、メンタルが弱いせいかネガティブになっちゃうんですよ。実際はそうじゃないことに対しても、何処かマイナスな視点で見てしまうこともすごく多い。そういう面で、「俺は過剰すぎるのかも」と思ってしまうけど。俺と同じ価値観の人だっていると思うから、「そこはわかってくれる人もいるんだろうな」と思いつつ書いていること。もちろん、自分の言ってることが正解だなんて思ってない。ただ、自分に見えている世界を100%言葉にはしている。その表現が正解か不正解かではなく、俺自身の100%を表現してゆくことが大切だと思って俺は歌詞を書いています。
――その歌詞をどう解釈し楽しむかは、聞き手に任せれば良いことですからね。
yuya そうだと思います。むしろ、自分なりの100%の答えを見出したうえで楽曲を楽しんでもらえたらいいんじゃないかな。
――「SevenStars」の冒頭の歌詞は、まるでスリリングなハードボイルド小説を読んでいるような感覚を覚え、聞いてて強く惹かれました。
yuya 俺、なんでこういう歌詞を書いたんでしょうね(笑)。もちろん、書きたい理由や想いがあって書いた歌ですけど。冒頭の「銃口が俺をノックする」など、「なんでこの表現だったんだろう?」と、言葉や表現のチョイス面に感覚的な面白さを自分で覚えることもありますよ。
――かと思えば、「Y」では自分の生い立ちを歌えば、「My Name Is R&R」ではドストレートな表現で言葉をぶつけていますよね。
yuya 「My Name Is R&R」は、ビックリするくらいストレートですよね。それも狙ったわけではなく、直感として浮かんだ表現としてのこと。あえて狙ったという視点で語るなら、どの曲も「格好いい曲を」という狙いを持って作っているところが共通項になるのかな。
――メンバーみなさん、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」にはどんな手応えを覚えています?
Johannes (翻訳済み)これまでに出した作品に比べて跳ねた楽曲の割合が多く、今までないようなノリの曲もあって、トータル的に見てすげぇグルーヴィな作品になった印象があります。
Hiromu 自分は、この作品からメンバーとして参加となるように、何時の時代に振り返っても一番思い入れの強い作品になるだろうなという印象です。しかも、自分なりの挑戦がとても多かった作品。もちろん、これが今のDevelop One's Facultiesのアルバムとしての完成形ですけど、その楽曲たちを、今度はライブでどうブラッシュアップさせてゆくか。この記事を見てくれた頃はワンマンツアーの真っ最中のように、アルバムの曲たちにどう磨きをかけているのかが自分でも楽しみです。
rui 既存の曲たちと、アルバムへ収録した曲たちをどう組み合わせセットリストを作ってゆくのか、そこは試行錯誤するところであり、そこから最良の答えを導き出してゆく過程が楽しみでもあることですからね。アルバム「INVERSE ЯEVERSE」には、これまで以上に速い楽曲が多いなという印象も受けたこと。とくに冒頭3曲は速い楽曲が立て続けに流れれば、「ボーダーライン」でミドルな表情を見せつつ、「ephemeral」や「シャーデンフロイデ」でソリッドな面を描き、「真実の黒」から終盤へと向かっていく。ワンマンツアーで、「INVERSE ЯEVERSE」へ収録した曲を全部一気に演奏するという楽しみ方もあるだろうけど。むしろ、先にも触れたように既存の曲たちとどう混ぜ合わせ、どういう流れを持った物語を作っていくのかを今は楽しみたい。きっとこの記事を読む頃には、毎回のライブでそれを試行錯誤しながらも楽しんでいる頃じゃないかと思います。
――ライブという物語をどう作り上げてゆくか、そこは毎回試しながらという形になるのでしょうか?
rui そうなると思います。毎回スタートとゴール地点を決めた上で、その間を彩る物語を構築しながらセットリストを組んでいくんですけど。歌詞の世界観が極端に変化しすぎると、歌っている本人の気持ちが入り込みにくくなるのかなということも考慮しつつ、心地好い流れも考えながらそこは作っていくんだと思います。
yuya むしろ俺自身が、相方の作ったセットリストの流れを受け止め、自分なりにどう咀嚼しながら表現してゆくかを楽しんでいる。なので、今回もそこを楽しもうかと。アルバムに収録したインタールード曲もすべて意味があるように、それも含めてのライブでの表現も考えているしね。
――アルバムの最後に収録した「ЯEVERSE」、あれ面白いですよね。
yuya あれ、自分の声をとある法則に則ってリバースしているわけだけど。そこで何と言ってるのか、そこも聞き取って欲しいね。
rui このツアーの中で、「INVERSE ЯEVERSE」を加えたDevelop One's Facultiesの世界観を昇華しながら、ファイナルとなる渋谷WWW X公演のときに「やべぇ!!」となるくらいに完成させようと思ってるし、そうしていくつもりです。ぜひ、ライブにも足を運んでください。
Interview : TOMONORI NAGASAWA
――アルバム「INVERSE ЯEVERSE」へ収録した「偏見と正見」の中、yuyaさんは「世界観強いよね そう言っときゃ良いって思ってるでしょ?」と歌いかけました。その言葉を安易に使いたがる人はやはり多いのでしょうか?
yuya よく言われるんで(笑)。今や「世界観」という言葉が一人歩きし、「その言葉を使っておけば安心という人が多いのかな?」とは勝手に思ってるんですけど。使っている側も、その言葉に対して悪い印象を持ってないと思うんですよね。実際に「世界観強くて凄くいいよね」と言われても、悪くは聞こえない。もちろん、その言葉を悪いと解釈しているわけではない。ただ、無理に「世界観が強くて格好いいよね」と言うくらいなら、ただ「格好いいよね」だけで良いなと思う節が今まであったので、そう書いたわけです。
――確かに使っておくと便利な言葉なのは、職業柄わかります。
yuya そうなんでしょうね(笑)。
――yuyaさんの書く歌詞は、自分へ向けてはもちろん、世の中の現象への皮肉も痛烈に込めて表現している印象を覚えました。
yuya 歌詞に関しては、自分の思ったことを書いているだけなんですけど。俺自身は歌詞を書き溜めることはせず、「そのときに思い、感じたことを歌詞にしている」し、それを伝えたい気持ちが一番にあること。結果、8割はマイナスなことを書いてるなとは自分でも思いますけど。希望や明るい未来を書くよりも、自分の感じているリアルを伝えたい。例えばの話、この世の人数が100人だとしたら、100人全員に共感して欲しいと思って歌詞は書いてないし、歌っているつもりもない。ただ、受け取った人の少しでも多くの人に共感してもらえたら、それでいい。自分自身、キャッチーな歌詞を書くつもりもないですからね。
――メンバーは、yuyaさんの想いを共有し、それを演奏へぶつけている形なのでしょうか?
rui 歌詞に関しては、yuya自身の生きてきた世界観や主観を書いてるように正直100%理解しているわけじゃないけど、言葉を大事にしている印象は強いです。とくに最新アルバムの「INVERSE ЯEVERSE」は、歌詞を重要視した楽曲が多いというか、これまでは歌詞のない楽曲もあった中、今回インタールード以外はすべて歌詞を書いている。そこが、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」の聞きどころにもなっていることかなと…。
yuya 今、相方が「本人じゃないから100%はわからない」と言ったけど、100%わかっちゃうと楽しくないと思うんですよ。その意味を100%理解しているのは、歌詞を書いた俺一人でいい。たとえばメンバーで言うなら、俺の書いた歌詞を75%くらい理解したうえで、残りの25%を俺が補てんして100%にしていけばいいこと。むしろ、違って見えた視線は、俺にはないもの。それが自分には逆に刺激にもなる。それは、リスナーも含めて。そういう余白のある受け止め方でちょうど良いのかも知れないです。
――yuyaさんの場合、歌詞もメロディも降ってくるタイプ??
yuya 「曲を作ろう」と思って作ることも出来ますけど、そういう楽曲はあまりやりたくはないな。それよりも、直感として浮かんだものを大事にしたい。たとえば、絵を見ながらメロディや言葉が浮かぶとか。最近だと、寝ながら曲を作ってるんですよ。
――それはどういうことですか?
yuya 夢の中で曲を作ってる。でも、夢なんて起きてしまえば、すぐに忘れることが多いじゃないですか。だけど、たまに鮮明に覚えているときがあるんですよ。今回のアルバム「INVERSE ЯEVERSE」の中にも、夢の中で作りながら、起きたときも覚えていたことから楽曲に書き起こした歌が2曲あります。そういう曲ほど、自分でも「いい曲」だと思ってて。あえてその答えは言わないので、そこは想像してもらえたらなと思ってる。
――個人的に、「冒涜」の持つ高揚感というか、聞いてて魂を震わせ、そのまま楽曲と一緒に絶頂感を覚える感覚が好きなんです。
yuya 「冒涜」は、夢の中で作った1曲です。俺は夢の中、誰もいない大きいホールで一人指揮をしていた。もちろん、指揮をしている俺しかいないんだから、そこに音楽が流れているわけじゃない。なのに、俺の耳にはその音楽がずっと響いていた。「その感覚が不思議だなぁ」と夢の中で想いつつ、起きたときもその夢や、耳に響いていた楽曲を覚えていたことから曲にしていった。「冒涜」は、「これをフルオーケストラで演奏したらさらに格好いいんだろうなぁ」とも思いながら作りましたね。
――JohannesさんやHiromuさんは、yuyaさんの歌詞をどのように受け止めています?
Johannes (翻訳済み)自分は言葉をニュアンスとして感じ取りながら演奏をするタイプ。アートワークを作るときに、初めて歌詞を読んで自分なりに受け止める形です。
Hiromu 自分の場合は、歌詞の意味も含めての楽曲という捉え方で演奏している節が強いです。なので、極力歌詞もわかったうえで演奏したい性格。もちろん、歌詞の乗ってないメロディとサウンドたけの状態で届く場合もあれば、そのうえで表現もしていますけど。そういうときでもつねに、自分なりに歌詞の世界を想像して弾いていく性格。さっき75%理解してくれていたらという話もあったように、自分も歌詞を理解したうえでのほうが、より気持ちをノセて演奏が出来るように、歌詞は大事にしたいほうです。
――yuyaさん自身、人は好きだと思うんですけど。人の持つ感情についていろんな角度から、しかも痛い表現を持って言葉を投げてゆくじゃないですか。たまにこの人、「人が嫌いなのかな」と想像もしてしまいます。
yuya もちろん、人は好きですよ。ただ、歌詞を書くと、メンタルが弱いせいかネガティブになっちゃうんですよ。実際はそうじゃないことに対しても、何処かマイナスな視点で見てしまうこともすごく多い。そういう面で、「俺は過剰すぎるのかも」と思ってしまうけど。俺と同じ価値観の人だっていると思うから、「そこはわかってくれる人もいるんだろうな」と思いつつ書いていること。もちろん、自分の言ってることが正解だなんて思ってない。ただ、自分に見えている世界を100%言葉にはしている。その表現が正解か不正解かではなく、俺自身の100%を表現してゆくことが大切だと思って俺は歌詞を書いています。
――その歌詞をどう解釈し楽しむかは、聞き手に任せれば良いことですからね。
yuya そうだと思います。むしろ、自分なりの100%の答えを見出したうえで楽曲を楽しんでもらえたらいいんじゃないかな。
――「SevenStars」の冒頭の歌詞は、まるでスリリングなハードボイルド小説を読んでいるような感覚を覚え、聞いてて強く惹かれました。
yuya 俺、なんでこういう歌詞を書いたんでしょうね(笑)。もちろん、書きたい理由や想いがあって書いた歌ですけど。冒頭の「銃口が俺をノックする」など、「なんでこの表現だったんだろう?」と、言葉や表現のチョイス面に感覚的な面白さを自分で覚えることもありますよ。
――かと思えば、「Y」では自分の生い立ちを歌えば、「My Name Is R&R」ではドストレートな表現で言葉をぶつけていますよね。
yuya 「My Name Is R&R」は、ビックリするくらいストレートですよね。それも狙ったわけではなく、直感として浮かんだ表現としてのこと。あえて狙ったという視点で語るなら、どの曲も「格好いい曲を」という狙いを持って作っているところが共通項になるのかな。
――メンバーみなさん、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」にはどんな手応えを覚えています?
Johannes (翻訳済み)これまでに出した作品に比べて跳ねた楽曲の割合が多く、今までないようなノリの曲もあって、トータル的に見てすげぇグルーヴィな作品になった印象があります。
Hiromu 自分は、この作品からメンバーとして参加となるように、何時の時代に振り返っても一番思い入れの強い作品になるだろうなという印象です。しかも、自分なりの挑戦がとても多かった作品。もちろん、これが今のDevelop One's Facultiesのアルバムとしての完成形ですけど、その楽曲たちを、今度はライブでどうブラッシュアップさせてゆくか。この記事を見てくれた頃はワンマンツアーの真っ最中のように、アルバムの曲たちにどう磨きをかけているのかが自分でも楽しみです。
rui 既存の曲たちと、アルバムへ収録した曲たちをどう組み合わせセットリストを作ってゆくのか、そこは試行錯誤するところであり、そこから最良の答えを導き出してゆく過程が楽しみでもあることですからね。アルバム「INVERSE ЯEVERSE」には、これまで以上に速い楽曲が多いなという印象も受けたこと。とくに冒頭3曲は速い楽曲が立て続けに流れれば、「ボーダーライン」でミドルな表情を見せつつ、「ephemeral」や「シャーデンフロイデ」でソリッドな面を描き、「真実の黒」から終盤へと向かっていく。ワンマンツアーで、「INVERSE ЯEVERSE」へ収録した曲を全部一気に演奏するという楽しみ方もあるだろうけど。むしろ、先にも触れたように既存の曲たちとどう混ぜ合わせ、どういう流れを持った物語を作っていくのかを今は楽しみたい。きっとこの記事を読む頃には、毎回のライブでそれを試行錯誤しながらも楽しんでいる頃じゃないかと思います。
――ライブという物語をどう作り上げてゆくか、そこは毎回試しながらという形になるのでしょうか?
rui そうなると思います。毎回スタートとゴール地点を決めた上で、その間を彩る物語を構築しながらセットリストを組んでいくんですけど。歌詞の世界観が極端に変化しすぎると、歌っている本人の気持ちが入り込みにくくなるのかなということも考慮しつつ、心地好い流れも考えながらそこは作っていくんだと思います。
yuya むしろ俺自身が、相方の作ったセットリストの流れを受け止め、自分なりにどう咀嚼しながら表現してゆくかを楽しんでいる。なので、今回もそこを楽しもうかと。アルバムに収録したインタールード曲もすべて意味があるように、それも含めてのライブでの表現も考えているしね。
――アルバムの最後に収録した「ЯEVERSE」、あれ面白いですよね。
yuya あれ、自分の声をとある法則に則ってリバースしているわけだけど。そこで何と言ってるのか、そこも聞き取って欲しいね。
rui このツアーの中で、「INVERSE ЯEVERSE」を加えたDevelop One's Facultiesの世界観を昇華しながら、ファイナルとなる渋谷WWW X公演のときに「やべぇ!!」となるくらいに完成させようと思ってるし、そうしていくつもりです。ぜひ、ライブにも足を運んでください。
Interview : TOMONORI NAGASAWA
2020年2月25日火曜日
2020.3月号 ダウト
――まずは、今作を作るにあたってのテーマから教えて下さい。
幸樹:今までのアルバムを見たり聴いたりしてて、今回はどっちかっていうと、より深く偏らせる感じにしたいねっていうスタートではありました。
――普通なら、聴きやすさに重点を置きそうなものですが、敢えて、深く偏らせるとは面白い発想ですね?
幸樹:曲は違えど良くも悪くも綺麗だったので、そこを汚すような感じにしてみてもいいんじゃないかなと思って。だから、アー写もそうなんですけど、アートディレクターを入れたり、ヴィジュアル系を撮影していないカメラマンに撮ってもらったり。そうやって、ヴィジュアル系の枠では収まらないようなテイストをプラスの要素として出したかったので、そうした思いがちゃんと具現化できたなと感じてます。
――活動歴が長くなってもマンネリ化しないというか、ダウトの良さは常に斬新さを求めているところにありますよね。
幸樹:今は、回りまわってというところだと思うんですよね。原点じゃないけど、自分たちの唯一無二とは何だろうって改めて考えたとき、辿り着いたのが今だったんだと思います。
――今作は、全ての作詞を幸樹さんが担当し、作曲はメンバーそれぞれが手掛けているだけに、聴き応えがありました。1曲目の「礼拝」、そしてリード曲となっている「曼陀羅A(読み方:まんだらエース)」ですが、この曲で重点に置いたことは何だったのでしょう?
ひヵる:元々、『曼陀羅A』っていう言葉自体は幸樹から先に聞いていたんで、その文字とイメージを自分なりに解釈して作ろうって思ったのが、リード曲の「曼陀羅A」なんです。短い時間の中でどれだけ濃さを出せるかっていうのは重点に置いた部分でもありましたね。
――なるほど。それにしても、「曼陀羅A」という言葉が浮かんできた背景も気になりますよ。
幸樹:47都道府県フリーライブツアーを廻るということも関係してるんですけど、より深く潜りたい時期だったんだと思います。あとは、この作品を引っ提げてツアーを廻ると考えたときに、ダウト活動13年というのも相まって、結局は、音楽で説得できないといけないなって。悪く聞こえるかもしれないんですけど、ファンとの距離を近くするのではなく、敢えて遠くしてみたと思ってます。
――どちらかというと、ダウトは親しみやすい印象のバンドなので、距離を遠くしたというのも具体的な狙いがあってのことですよね?
幸樹:距離が近いと曲の印象って変わってくると思うんです。でも、今回は、遠い距離でも曲だけで刺さってほしいなって。
――そういった意図があったのですね。これからのダウトの印象をガラリと変えてくれる曲になりそうです。次の「不夜城」は、威吹さん作曲ですが。
威吹:この曲は、前に先行で動画配信をしたんですけど、ダウトらしいキャッチーさに加えて中華的な音の要素も入っているので、新しい挑戦ではありました。
――和の曲調を主体にしてきたバンドにも関わらず、中華的な音が意外と馴染んでるんですよね。
威吹:そうですね。実際、ここまで馴染むとは思ってなかったです。この曲を作るにあたって、中国の音楽を色々と聴き漁ったんです。中にはコミカルなものもあったので、どういった雰囲気を活かすのかは結構悩みましたね。
直人:(幸樹に向かって唐突に)買ってよ。
幸樹:何を?銅鑼?
直人:銅鑼、買ってよ。
幸樹:自分で買って(笑)。
威吹:でも、これからのツアーでも伸びる曲だと思います。
――「KAIGAN」も同じことが言えるのではないでしょうか。作曲者である玲夏さんから見て、この曲の魅力はどこにありますか?
玲夏:あまり考えずに作った曲の1つなので、敢えて魅力を言うなら、狙って作ろうとしてなかったところですかね。アルバムだけに、こうやって色んな曲が混じってくると、人の曲の対して自分はどうアプローチするかっていうところに集中しちゃって。逆に、自分の作った曲はメンバーにお任せっていう感じではあるので、良い意味で自分の曲ほど思い入れが少ないんですよね。なので、実際のところ、曲の魅力っていうと、自分が作った曲ではあるけれど、僕自身がよくわかってないです(笑)。
幸樹:この曲のこだわりとしては、歌詞を敢えて改行していないところですね。あとは、メロディが良い上に楽曲がかっこいいから、ライヴでもすごく楽しみですよね。
――良い意味で予想を裏切る曲が続きます。「私生活」はタイトルから想像するとバラード曲なのかなと思いきや、実はすごいことを歌っている曲でもあって。
幸樹:ひヵるさんの幼少期の頃を描いてみました。
ひヵる:いやいや、全く違います。ヤバいでしょ、こんなんだったら(笑)。
――だいぶバイオレンスな世界ですよ(笑)。
ひヵる:怖い、怖い(笑)。ちなみに、作り始めたときは『曼陀羅A』とは関係ない頭で作ろうと思ったんですよ。というのも、アルバムのワードに引っ張られすぎると曲ができなくなるなと思って。それで、洋風な映画のイメージで曲を作ったつもりではいたんですけど、歌詞が乗ったことにより、和風の生々しい映画になったなと。
――そういう変化も曲を作る上での面白さですよね。対して、「輝夜に満ちて勿忘草」はどこまでも美しい描写が印象的です。
威吹:曲自体は、アルバム制作の前からできていたもので。それで、このアルバムを作るにあたり、フル尺にして、更にアレンジを加えて完成させていったという感じですね。僕は基本的に、曲が通らなかったら温めるのではなくて破棄してしまうタイプなんですけど、この曲は捨てたくなかったんですよね。きっと、自分で気に入っていたんだと思います。最初はバラード調なのかなという印象を受けると思うんですけど、いきなりノリが良くなったり、いきなり止まったりっていうように、曲に対する人間臭さを出したいなと思っていたので、こうした形になって良かったです。
――この後に「閃光花火」と「金魚蜂」を持ってくるあたり、アルバムとして聴かせてくるなと思いました。
幸樹:「輝夜に満ちて勿忘草」からうまく繋がったなと思うんですよ、「閃光花火」は。ただ、「金魚蜂」も同じように既存の曲ではあるので、どうフレッシュにやれるかというのはものすごく大事だと思っています。正直、演奏する側としては飽きてるんですよ。飽きてない?
玲夏:うん。
――正直でいいです(笑)。でも、これから始まる47ツアーで披露するではないですか。どうやったら新鮮な気持ちで取り組めると考えますか?
玲夏:ただ、飽きたといっても、曲に飽きてしまったというわけではなくて、1ツアー廻ってある程度の成長が見えている曲なので、今回のフリーライヴを向けて、あとはもう何かアレンジするしかないのかなって。
幸樹:ガラリと変えるというわけではないにせよ、ちょっと変化は入れたいなと思うんですよ。ただただ曲を再現するだけじゃつまらない。
直人:でも、最近、三味線弾き出したでしょ。
幸樹:あぁ、まぁそうだね。あとは、「金魚蜂」で生のブラスを入れたら絶対面白そうだし。そうやって色々と考えているんですけど、アルバムに入れたからには、きちんと意味を持たせてライヴで提示したいなとは思います。
――そして、アルバム後半に進むにつれて楽曲は激しさを増していきます。
幸樹:曲順はメンバーと一緒に決めていったんですけど、それぞれが必然的な立ち位置に並んだなと思います。
――「狂喜乱舞」は、タイトルどおりの曲に仕上がりましたね?
幸樹:そうですね。一見、お祭りソングのように聴こえるかもしれないんですけど、僕の中ではスネアを結構抜いたのがデカくて。そのおかげで、ディスコミュージックのような雰囲気も感じてもらえると思います。あとは、この曲にも銅鑼が入っているんですよね。
直人:ははは(笑)。でも、ドラムと同時に鳴ってるでしょ。それだとライヴで叩けないかな。
――何だか、うまく逃げられたような(笑)。次の「失神」は、ライヴでの盛り上がり曲でもありますね?
幸樹:ライヴでは披露していたんですけど、音源化していなかった曲なんです。だから、音源化を喜んでくれるファンの人もたくさん居ましたね。
――「般若」も、実にインパクトのある曲ですね?
玲夏:この時代だからこそ、敢えてループが入るような曲を入れたいって幸樹が言ってて。で、それをできそうなのはこの曲だと思ったので、そういう立ち位置に持っていきました。
――「この時代だからこそ」というのは、どのような真意があって言ったことなんですか?
幸樹:ライヴで煽り曲をやれば当然のようにファンは喜んでくれる。そこに頼ってばかりではいけないなって思いながらも、今のこの状況でループする煽り曲っていうものを出しても良いと思ったんですよね。そもそも、時代を考えて曲を作ること自体がナンセンスだなと。
――曲と歌詞、どちらも反骨精神に溢れているなと思いました。だからこそ、この時代でなければできなかった曲に聴こえましたよ。
幸樹:般若心経というのは、嫉妬や憤怒という意味合いがあるんです。だから、そういうハマりも良かったですね。
――アルバムのラストを飾るのは、直人さん作曲の「ドラマチックパレード」ですが、先程までの激しさとは打って変わって、爽やかさが目立ちますね?
直人:初めてライヴを意識して手応えのあった曲なんですけど、このアルバムをワールドワイドな作品と捉えるなら、アメリカの西海岸的な気持ちではあります。
――最後の最後でガラッと雰囲気を変えてくるとは、予想もしませんでしたよ。
幸樹:この曲だけね。
直人:そうだね。
――それ故に、今後のダウトの方向性を裏付ける曲でもあるのかなと?
直人:確かに、アルバムの中では異色ですよね。けど、ライヴで何回か披露している上で言えるのは、みんなが自然と笑顔になれる曲だなって。なので、方向性とかは関係なく、良い感じの曲だなっていうぐらいに思ってもらえれば。
――音楽を好きな人が作ったんだろうなって思える曲です。
直人:あ、出てますか(笑)。
――結局のところ、アルバムで新しい世界観をしっかりと提示しながらも、やっぱりダウトの曲は単純に良いねっていうのが再確認できました。
直人:そういう立ち位置の曲にツアーでもなればいいなと思いますけどね。
――そして、アルバム発売後にはツアーが始まります。今回は47都道府県ツアーという長丁場でありながら、フリーライヴというだけあって期待値が高まりますよ。
幸樹:今回、ライヴを動画で撮れる時間も設けようと思ってるんです。こういったことって日本では珍しく見られるんですけど、海外では主流なんですよね。撮ることに慣れていない人もいるとは思うんですけど、せっかくのフリーライヴなんで新しいことは取り入れていきたいし、それによってダウトのことが世の中に広まっていたら良いなって感じです。
――ほんと、あくなき挑戦精神ですね。
幸樹:47ツアーが終わった後にはDaizyStripperとのツーマンも決まっているので、どんどんいこうかなと。やっぱり、良いバンドと共演できるとこっちも刺激をもらえますからね。
――ところで、そこまで果敢に攻められるのは、やはりバンドが好きだからできることなのでしょうか?
威吹:いうなれば、常にチャレンジはしていきたいんですよ。やりたいこともたくさんありますし、メンバー全員が同じ気持ちなんですよね。そこはダウトの強みなのかなと思います。もうすぐ活動13年目を迎えますけど、結成したときよりも気持ちは上がっていると思います。
ひヵる:音楽をやりたいと思う以上、もっと良くなっていきたいという気持ちが常にあって。だから、今は俺たちかっこいいんだぜっていうのをみんなに伝えたい。その気合いや熱意を、まずは47都道府県ツアーで届けたいですね。
Interview:ERI MIZUTANI
幸樹:今までのアルバムを見たり聴いたりしてて、今回はどっちかっていうと、より深く偏らせる感じにしたいねっていうスタートではありました。
――普通なら、聴きやすさに重点を置きそうなものですが、敢えて、深く偏らせるとは面白い発想ですね?
幸樹:曲は違えど良くも悪くも綺麗だったので、そこを汚すような感じにしてみてもいいんじゃないかなと思って。だから、アー写もそうなんですけど、アートディレクターを入れたり、ヴィジュアル系を撮影していないカメラマンに撮ってもらったり。そうやって、ヴィジュアル系の枠では収まらないようなテイストをプラスの要素として出したかったので、そうした思いがちゃんと具現化できたなと感じてます。
――活動歴が長くなってもマンネリ化しないというか、ダウトの良さは常に斬新さを求めているところにありますよね。
幸樹:今は、回りまわってというところだと思うんですよね。原点じゃないけど、自分たちの唯一無二とは何だろうって改めて考えたとき、辿り着いたのが今だったんだと思います。
――今作は、全ての作詞を幸樹さんが担当し、作曲はメンバーそれぞれが手掛けているだけに、聴き応えがありました。1曲目の「礼拝」、そしてリード曲となっている「曼陀羅A(読み方:まんだらエース)」ですが、この曲で重点に置いたことは何だったのでしょう?
ひヵる:元々、『曼陀羅A』っていう言葉自体は幸樹から先に聞いていたんで、その文字とイメージを自分なりに解釈して作ろうって思ったのが、リード曲の「曼陀羅A」なんです。短い時間の中でどれだけ濃さを出せるかっていうのは重点に置いた部分でもありましたね。
――なるほど。それにしても、「曼陀羅A」という言葉が浮かんできた背景も気になりますよ。
幸樹:47都道府県フリーライブツアーを廻るということも関係してるんですけど、より深く潜りたい時期だったんだと思います。あとは、この作品を引っ提げてツアーを廻ると考えたときに、ダウト活動13年というのも相まって、結局は、音楽で説得できないといけないなって。悪く聞こえるかもしれないんですけど、ファンとの距離を近くするのではなく、敢えて遠くしてみたと思ってます。
――どちらかというと、ダウトは親しみやすい印象のバンドなので、距離を遠くしたというのも具体的な狙いがあってのことですよね?
幸樹:距離が近いと曲の印象って変わってくると思うんです。でも、今回は、遠い距離でも曲だけで刺さってほしいなって。
――そういった意図があったのですね。これからのダウトの印象をガラリと変えてくれる曲になりそうです。次の「不夜城」は、威吹さん作曲ですが。
威吹:この曲は、前に先行で動画配信をしたんですけど、ダウトらしいキャッチーさに加えて中華的な音の要素も入っているので、新しい挑戦ではありました。
――和の曲調を主体にしてきたバンドにも関わらず、中華的な音が意外と馴染んでるんですよね。
威吹:そうですね。実際、ここまで馴染むとは思ってなかったです。この曲を作るにあたって、中国の音楽を色々と聴き漁ったんです。中にはコミカルなものもあったので、どういった雰囲気を活かすのかは結構悩みましたね。
直人:(幸樹に向かって唐突に)買ってよ。
幸樹:何を?銅鑼?
直人:銅鑼、買ってよ。
幸樹:自分で買って(笑)。
威吹:でも、これからのツアーでも伸びる曲だと思います。
――「KAIGAN」も同じことが言えるのではないでしょうか。作曲者である玲夏さんから見て、この曲の魅力はどこにありますか?
玲夏:あまり考えずに作った曲の1つなので、敢えて魅力を言うなら、狙って作ろうとしてなかったところですかね。アルバムだけに、こうやって色んな曲が混じってくると、人の曲の対して自分はどうアプローチするかっていうところに集中しちゃって。逆に、自分の作った曲はメンバーにお任せっていう感じではあるので、良い意味で自分の曲ほど思い入れが少ないんですよね。なので、実際のところ、曲の魅力っていうと、自分が作った曲ではあるけれど、僕自身がよくわかってないです(笑)。
幸樹:この曲のこだわりとしては、歌詞を敢えて改行していないところですね。あとは、メロディが良い上に楽曲がかっこいいから、ライヴでもすごく楽しみですよね。
――良い意味で予想を裏切る曲が続きます。「私生活」はタイトルから想像するとバラード曲なのかなと思いきや、実はすごいことを歌っている曲でもあって。
幸樹:ひヵるさんの幼少期の頃を描いてみました。
ひヵる:いやいや、全く違います。ヤバいでしょ、こんなんだったら(笑)。
――だいぶバイオレンスな世界ですよ(笑)。
ひヵる:怖い、怖い(笑)。ちなみに、作り始めたときは『曼陀羅A』とは関係ない頭で作ろうと思ったんですよ。というのも、アルバムのワードに引っ張られすぎると曲ができなくなるなと思って。それで、洋風な映画のイメージで曲を作ったつもりではいたんですけど、歌詞が乗ったことにより、和風の生々しい映画になったなと。
――そういう変化も曲を作る上での面白さですよね。対して、「輝夜に満ちて勿忘草」はどこまでも美しい描写が印象的です。
威吹:曲自体は、アルバム制作の前からできていたもので。それで、このアルバムを作るにあたり、フル尺にして、更にアレンジを加えて完成させていったという感じですね。僕は基本的に、曲が通らなかったら温めるのではなくて破棄してしまうタイプなんですけど、この曲は捨てたくなかったんですよね。きっと、自分で気に入っていたんだと思います。最初はバラード調なのかなという印象を受けると思うんですけど、いきなりノリが良くなったり、いきなり止まったりっていうように、曲に対する人間臭さを出したいなと思っていたので、こうした形になって良かったです。
――この後に「閃光花火」と「金魚蜂」を持ってくるあたり、アルバムとして聴かせてくるなと思いました。
幸樹:「輝夜に満ちて勿忘草」からうまく繋がったなと思うんですよ、「閃光花火」は。ただ、「金魚蜂」も同じように既存の曲ではあるので、どうフレッシュにやれるかというのはものすごく大事だと思っています。正直、演奏する側としては飽きてるんですよ。飽きてない?
玲夏:うん。
――正直でいいです(笑)。でも、これから始まる47ツアーで披露するではないですか。どうやったら新鮮な気持ちで取り組めると考えますか?
玲夏:ただ、飽きたといっても、曲に飽きてしまったというわけではなくて、1ツアー廻ってある程度の成長が見えている曲なので、今回のフリーライヴを向けて、あとはもう何かアレンジするしかないのかなって。
幸樹:ガラリと変えるというわけではないにせよ、ちょっと変化は入れたいなと思うんですよ。ただただ曲を再現するだけじゃつまらない。
直人:でも、最近、三味線弾き出したでしょ。
幸樹:あぁ、まぁそうだね。あとは、「金魚蜂」で生のブラスを入れたら絶対面白そうだし。そうやって色々と考えているんですけど、アルバムに入れたからには、きちんと意味を持たせてライヴで提示したいなとは思います。
――そして、アルバム後半に進むにつれて楽曲は激しさを増していきます。
幸樹:曲順はメンバーと一緒に決めていったんですけど、それぞれが必然的な立ち位置に並んだなと思います。
――「狂喜乱舞」は、タイトルどおりの曲に仕上がりましたね?
幸樹:そうですね。一見、お祭りソングのように聴こえるかもしれないんですけど、僕の中ではスネアを結構抜いたのがデカくて。そのおかげで、ディスコミュージックのような雰囲気も感じてもらえると思います。あとは、この曲にも銅鑼が入っているんですよね。
直人:ははは(笑)。でも、ドラムと同時に鳴ってるでしょ。それだとライヴで叩けないかな。
――何だか、うまく逃げられたような(笑)。次の「失神」は、ライヴでの盛り上がり曲でもありますね?
幸樹:ライヴでは披露していたんですけど、音源化していなかった曲なんです。だから、音源化を喜んでくれるファンの人もたくさん居ましたね。
――「般若」も、実にインパクトのある曲ですね?
玲夏:この時代だからこそ、敢えてループが入るような曲を入れたいって幸樹が言ってて。で、それをできそうなのはこの曲だと思ったので、そういう立ち位置に持っていきました。
――「この時代だからこそ」というのは、どのような真意があって言ったことなんですか?
幸樹:ライヴで煽り曲をやれば当然のようにファンは喜んでくれる。そこに頼ってばかりではいけないなって思いながらも、今のこの状況でループする煽り曲っていうものを出しても良いと思ったんですよね。そもそも、時代を考えて曲を作ること自体がナンセンスだなと。
――曲と歌詞、どちらも反骨精神に溢れているなと思いました。だからこそ、この時代でなければできなかった曲に聴こえましたよ。
幸樹:般若心経というのは、嫉妬や憤怒という意味合いがあるんです。だから、そういうハマりも良かったですね。
――アルバムのラストを飾るのは、直人さん作曲の「ドラマチックパレード」ですが、先程までの激しさとは打って変わって、爽やかさが目立ちますね?
直人:初めてライヴを意識して手応えのあった曲なんですけど、このアルバムをワールドワイドな作品と捉えるなら、アメリカの西海岸的な気持ちではあります。
――最後の最後でガラッと雰囲気を変えてくるとは、予想もしませんでしたよ。
幸樹:この曲だけね。
直人:そうだね。
――それ故に、今後のダウトの方向性を裏付ける曲でもあるのかなと?
直人:確かに、アルバムの中では異色ですよね。けど、ライヴで何回か披露している上で言えるのは、みんなが自然と笑顔になれる曲だなって。なので、方向性とかは関係なく、良い感じの曲だなっていうぐらいに思ってもらえれば。
――音楽を好きな人が作ったんだろうなって思える曲です。
直人:あ、出てますか(笑)。
――結局のところ、アルバムで新しい世界観をしっかりと提示しながらも、やっぱりダウトの曲は単純に良いねっていうのが再確認できました。
直人:そういう立ち位置の曲にツアーでもなればいいなと思いますけどね。
――そして、アルバム発売後にはツアーが始まります。今回は47都道府県ツアーという長丁場でありながら、フリーライヴというだけあって期待値が高まりますよ。
幸樹:今回、ライヴを動画で撮れる時間も設けようと思ってるんです。こういったことって日本では珍しく見られるんですけど、海外では主流なんですよね。撮ることに慣れていない人もいるとは思うんですけど、せっかくのフリーライヴなんで新しいことは取り入れていきたいし、それによってダウトのことが世の中に広まっていたら良いなって感じです。
――ほんと、あくなき挑戦精神ですね。
幸樹:47ツアーが終わった後にはDaizyStripperとのツーマンも決まっているので、どんどんいこうかなと。やっぱり、良いバンドと共演できるとこっちも刺激をもらえますからね。
――ところで、そこまで果敢に攻められるのは、やはりバンドが好きだからできることなのでしょうか?
威吹:いうなれば、常にチャレンジはしていきたいんですよ。やりたいこともたくさんありますし、メンバー全員が同じ気持ちなんですよね。そこはダウトの強みなのかなと思います。もうすぐ活動13年目を迎えますけど、結成したときよりも気持ちは上がっていると思います。
ひヵる:音楽をやりたいと思う以上、もっと良くなっていきたいという気持ちが常にあって。だから、今は俺たちかっこいいんだぜっていうのをみんなに伝えたい。その気合いや熱意を、まずは47都道府県ツアーで届けたいですね。
Interview:ERI MIZUTANI
2020.3月号 SCAPEGOAT
――2月26日に、新作「心と身体の秘密-上-」がリリースされます。リリースの早さに驚いたファンも多くいるのでは?
春:でも、新作の話は既に年末のライヴで言っていたんですよね。それがようやく解禁になったので、ファンの人からすると、これだったのかっていう感じだと思います。
――それだけに、だいぶ前から制作に取り掛かっていたのではないですか?
春:早めにスタートはしてました。あと、4月5日に新宿BLAZEでワンマンライヴ「無垢な鼓動」を控えているんですけど、そこでのイメージが魂なんですよ。なので、それに関連付ける一歩手前といったものが、この作品なんです。
――春さんが思い描いていた作品イメージというのは、作曲者であるSayulaさんにどこまで伝えていたのですか?
春:具体的に、こういう感じにしたいというのは言っていなくて。一応、こういったコンセプトの作品にしたいというぐらいでしたね。
Sayula:具体的な話し合いはしなかったとはいえ、作品のコンセプトが大きいじゃないですか。今回は魂を表していることもあって、メンバーには、どういう曲がいいと思う?って聞きましたけどね。毎回、メンバーには意見を聞いてるんですけど、前作が「月光」っていうバラード曲だったので、今回はライヴを活かせる激しめの楽曲にしようと思ったんです。
――そこはやはり、BLAZE公演を意識してのことですね?
Sayula:そうですね。あと、そういうものにしようかってUが1番最初に言ってくれて。そういう経緯で曲を作り始めたので、コンセプトに縛られることなくできましたね。
――しかし、ここ最近のSCAPEGOATはライヴが多かっただけに、よく先の予定であるBLAZE公演まで考えられたなと思うのですが?
Sayula:確かに、最近はライヴづくしなんですよね(笑)。考えてみると、Uが加入して、SCAPEGOATが再始動してからライヴを90本やってるんですよ。
LAYHA:1ヶ月、10本計算ですね。
Sayula:簡単に言うと、2日に1回(笑)。そう思うと、気持ちを切り替えて先の予定に向かっていくというよりかは、普段から先々のことを意識していたっていう感じなんです。なので、BLAZE公演に向かっていくためには新しい武器を作っていくというのが使命かなと。
――もしも、ここまでのライヴの本数をこなしていなかったら、今回のような新曲が生まれなかった可能性もありますか?
Sayula:できていなかった気がします。年末の頃にBLAZE公演のタイトルが決まりつつあったので、ライヴで心拍数を上げてもらいたい、ドキドキしてもらいたいという気持ちにつながったんですよね。だからこその激しい曲になっているし、普段の生活だけではあまり感じることのできないことをライヴを通して感じてもらえたらなって。なので、「RöNTGEN」はSCAPEGOATらしい曲になったと思います。
――LAYHAさんは、リード曲の「RöNTGEN」を聴いたとき、どのような印象を受けましたか?
LAYHA:速いなって(笑)。
――言われてみると、この曲は確かに速いですよね。前作がバラードだっただけに、余計にそう感じるのかもしれませんが。
LAYHA:あと、なんていうか、意外としっかりした曲がきたなっていう印象なんですよ。激しい曲っていうと、ただただ速いっていう感じがあるじゃないですか。でも、「RöNTGEN」は曲の構成がしっかりとしているし、デモの段階から仮メロも入っていたので、ただ激しいだけじゃなく、壮大さも感じられたんですよね。だから、良い曲になりそうだなっていう予感はありました。
――これまでにも激しい曲はありましたけど、それとはまた別の感覚で弾けたのではないですか?
LAYHA:こういうのって、たくさん動くというよりも、ルート弾きでガシガシいきたい気持ちになるんですけど、そこは他の楽器との兼ね合いを考えながら録っていきました。
――Uさんはいかがです、「RöNTGEN」に関しては?
U:とりあえず、速いなぁと。
――やはり(笑)。
LAYHA:Uは何でもできる子なんですけど、この曲は手首ぶっ壊す勢いでやってるよね?
U:でも、俺的にそういう曲がほしかったんで、ちょうどいいですね。
――こういう曲を求めていたと。
U:色んなライヴの見せ方があるなと思っていて。この曲はテンポが速い分、お客さんの振りも忙しくなると思うんですよ。だから、ライヴが終わって、疲れたな~って感じになってほしいというか。そう思ってもらうことで、俺たちとしてもやり切ったっていう感覚になれるはずなので、ライヴですごく良いアイテムになると思います。
Sayula:曲作りはパソコンでやっているんですけど、やっぱり、パソコンと実際に音を鳴らすスピードって違うんですよね。だから、それを考えて配慮しながら曲は作ったつもりではあったんですけど、作っていた時点からUは叩けていたので、逆に、レコーディングは音とかにめっちゃこだわることができて。
U:全種類と言っていいほど、スネアを使いましたね。
Sayula:そう、レコーディングスタジオにあったやつを。
――何だか、バンドに余裕が出てきた感じがします。
Sayula:そうですね。あと、こういう曲がほしいなと思ったきっかけの1つに、年末にやったリクエストワンマンも関係しているんですよ。久しぶりの曲を演奏したことによって、ある意味、原点回帰ができたというか。例えば、この曲ってやってみたらここは静かにするんだとか、音源ではわからない奥行きみたいなものが改めてわかったというのもあって、それが良い感じに合わさっていって「RöNTGEN」ができたんだなって思います。
――そういったことを踏まえて、ご自身がこの曲で挑戦したことは何でしたか?
Sayula:速さですかね(笑)。
――楽器陣、揃いも揃って同じところを挙げますね(笑)。
Sayula:さっきライちゃんが言ったように、激しい曲でもただただ速いっていうのもあるんですよね。でも、そういった曲はうちはやらなくていいと思っていて。それよりかは、メッセージだったり、SCAPEGOATらしさだったりを残したかったんですよね。その中でも、イントロとかはギターが際立つよにしているんで、そういうところのエッジ感やタイトさは今までには出せなかったことだと思います。ああとは、リズム隊がめちゃくちゃ良いテイクを作ってくれたので、そのおかげで自分のハードルも上がったというか。注文したことが最終的には自分に返ってくるので、そういう意味では、成長できる曲がまたできたなと思います。
――春さんも、この曲に関してはハードルを高く設定しましたか?
春:まぁ、そうですね。歌に関しては、速さ的には確かに速かったんですけど、そこまでかしこまらずに歌えましたね。
――ライヴで実際に披露してみて、いかがでした?
春:細かいことを言うと、ブレスのタイミングがない曲だなって。
Sayula:息吸えないんですよ(笑)。
春:それほど、歌詞に言葉を詰めていったので、最近にはないタイプの曲にはなっているかなと。去年は新体制のSCAPEGOATを観てほしいという思いがあったので、「ラブカ」から「月光」まで色々なタイプのシングルを提示したんです。それを踏まえて出した新作なので、一皮剥けるというか、大人になった感じっていうイメージはかなり強かったですね。本質的な部分というイメージでは、SCAPEGOATとして新たなアプローチかなと思います、「RöNTGEN」は。
――本当に、今までの良い部分が重なった曲だと思いました。そして、カップリング曲の「Squall」もSayulaさんの作曲ですが、これはどのような思いの下で完成させていったのですか?
Sayula:ライヴの後とか、春がたまにTwitterで呟くんですけど、それを活かして作っていった曲がこれなんですよね。なので、最初に付けた仮タイトルは「春bot」でした。
――そういうところからインスピレーションを受けて作った曲は、今までなかったのではないですか?
Sayula:ないですね。ただ、去年からたくさんライヴをやったことによって、改めてSCAPEGOATは色んなことができるバンドだなと思えたというか。だから、こうやって春の言葉を借りて曲を作るのも新しい挑戦の1つだと思ったんです。その一言で誰かが救われるかもしれないし、何かのきっかけになったらいいなと思って、曲にダイレクトに活かすことにしました。でも、ライヴは自由に歌ってくれていいかな。何せ、botなんで、その日思ったことを自由に言ってもらえればいいです。
――自然体な曲ですよね。
Sayula:純粋な曲だと思います。
――ただ、Twitterはメンバー全員がやっているではないですか。他のメンバーの言葉を入れようとは考えなかったのですか?
Sayula:楽器陣が呟いた言葉かぁ。何かある?
LAYHA:ライヴ後に、ありがとうって伝えてるよ。あとは、バンドの告知などをリツイートするっていう。
U:俺も、Twitterに関しては、オフィシャルの事項を最優先してる。
Sayula:それは、曲では使えない。
U:あと、自撮りもしてないかな。
Sayula:それも、曲では使えない(笑)。とはいえ、自分もありがとうとはよく呟いているんですけど、それを歌詞にできるかと言ったら違うんですよね。
LAYHA:じゃあ、今後は曲に活かされることを狙ってツイートしていくわ。そしたら、作詞のクレジットに俺の名前も載せてよ(笑)。
Sayula:そんな狙ってやったらダメ(笑)。でも、それとは逆に、春の呟いた言葉に刺さっている人ってたくさんいると思うので、ほんとナチュラルに曲に盛り込むことができました。
――だからこそ、歌詞にも注目してほしいですよね。
春:まだ、この曲はライヴでやっていないんですけど、どうなるのかなって楽しみではあります。ノリもあるけれど、曲に聴き入るのか、未知の可能性がある曲だなと現状では思っていて。それだけに、今後、ライヴを良くしてくれる曲になるだろうなと。
――3月からは、関東火葬TOUR「ぼくらはみんな灰になる」もスタートしますし、新曲がどのように育っていくのか楽しみですよ。
Sayula:新体制して再始動して固まってきた今だからこそ、改めてSCAPEGOATの魅力って何だろうって考えると、バラード曲だったり激しい曲だったり、その全てにおいてメッセージ性があることだと思うんです。
――だから、イベントライヴでも印象を残すバンドになっているのでしょうね。
春:去年は、イベント出演が多かった分、ワンマン自体はそんなに重ねていないんです。そういう部分でも、BLAZE公演に向けて、関東ツアーはやっておきたいなと。普段、ツアーというと、大阪や名古屋に行くことが多かったので、こうして関東を中心に廻れるというのは嬉しいし、このツアーを経たことによって、BLAZE公演も更に良くなるんじゃないかなと思います。
――あと、気になったことがあるので最後に聞いておきたいんですけど、新作のタイトルが「心と身体の秘密-上-」となっているではないですか。「-上-」があるということは、その続きもあるのかなと勘ぐってしまったのですが?
春:その考えは間違ってはいないですね。ただ、「心と身体の秘密-下-」があったとしても、そこで完結というわけではなく、BLAZE公演を含めて1つの作品として成り立つというか。なので、これら全てがSCAPEGOATの今後につながるものになればいいかなという感じですね。
Interview:ERI MIZUTANI
春:でも、新作の話は既に年末のライヴで言っていたんですよね。それがようやく解禁になったので、ファンの人からすると、これだったのかっていう感じだと思います。
――それだけに、だいぶ前から制作に取り掛かっていたのではないですか?
春:早めにスタートはしてました。あと、4月5日に新宿BLAZEでワンマンライヴ「無垢な鼓動」を控えているんですけど、そこでのイメージが魂なんですよ。なので、それに関連付ける一歩手前といったものが、この作品なんです。
――春さんが思い描いていた作品イメージというのは、作曲者であるSayulaさんにどこまで伝えていたのですか?
春:具体的に、こういう感じにしたいというのは言っていなくて。一応、こういったコンセプトの作品にしたいというぐらいでしたね。
Sayula:具体的な話し合いはしなかったとはいえ、作品のコンセプトが大きいじゃないですか。今回は魂を表していることもあって、メンバーには、どういう曲がいいと思う?って聞きましたけどね。毎回、メンバーには意見を聞いてるんですけど、前作が「月光」っていうバラード曲だったので、今回はライヴを活かせる激しめの楽曲にしようと思ったんです。
――そこはやはり、BLAZE公演を意識してのことですね?
Sayula:そうですね。あと、そういうものにしようかってUが1番最初に言ってくれて。そういう経緯で曲を作り始めたので、コンセプトに縛られることなくできましたね。
――しかし、ここ最近のSCAPEGOATはライヴが多かっただけに、よく先の予定であるBLAZE公演まで考えられたなと思うのですが?
Sayula:確かに、最近はライヴづくしなんですよね(笑)。考えてみると、Uが加入して、SCAPEGOATが再始動してからライヴを90本やってるんですよ。
LAYHA:1ヶ月、10本計算ですね。
Sayula:簡単に言うと、2日に1回(笑)。そう思うと、気持ちを切り替えて先の予定に向かっていくというよりかは、普段から先々のことを意識していたっていう感じなんです。なので、BLAZE公演に向かっていくためには新しい武器を作っていくというのが使命かなと。
――もしも、ここまでのライヴの本数をこなしていなかったら、今回のような新曲が生まれなかった可能性もありますか?
Sayula:できていなかった気がします。年末の頃にBLAZE公演のタイトルが決まりつつあったので、ライヴで心拍数を上げてもらいたい、ドキドキしてもらいたいという気持ちにつながったんですよね。だからこその激しい曲になっているし、普段の生活だけではあまり感じることのできないことをライヴを通して感じてもらえたらなって。なので、「RöNTGEN」はSCAPEGOATらしい曲になったと思います。
――LAYHAさんは、リード曲の「RöNTGEN」を聴いたとき、どのような印象を受けましたか?
LAYHA:速いなって(笑)。
――言われてみると、この曲は確かに速いですよね。前作がバラードだっただけに、余計にそう感じるのかもしれませんが。
LAYHA:あと、なんていうか、意外としっかりした曲がきたなっていう印象なんですよ。激しい曲っていうと、ただただ速いっていう感じがあるじゃないですか。でも、「RöNTGEN」は曲の構成がしっかりとしているし、デモの段階から仮メロも入っていたので、ただ激しいだけじゃなく、壮大さも感じられたんですよね。だから、良い曲になりそうだなっていう予感はありました。
――これまでにも激しい曲はありましたけど、それとはまた別の感覚で弾けたのではないですか?
LAYHA:こういうのって、たくさん動くというよりも、ルート弾きでガシガシいきたい気持ちになるんですけど、そこは他の楽器との兼ね合いを考えながら録っていきました。
――Uさんはいかがです、「RöNTGEN」に関しては?
U:とりあえず、速いなぁと。
――やはり(笑)。
LAYHA:Uは何でもできる子なんですけど、この曲は手首ぶっ壊す勢いでやってるよね?
U:でも、俺的にそういう曲がほしかったんで、ちょうどいいですね。
――こういう曲を求めていたと。
U:色んなライヴの見せ方があるなと思っていて。この曲はテンポが速い分、お客さんの振りも忙しくなると思うんですよ。だから、ライヴが終わって、疲れたな~って感じになってほしいというか。そう思ってもらうことで、俺たちとしてもやり切ったっていう感覚になれるはずなので、ライヴですごく良いアイテムになると思います。
Sayula:曲作りはパソコンでやっているんですけど、やっぱり、パソコンと実際に音を鳴らすスピードって違うんですよね。だから、それを考えて配慮しながら曲は作ったつもりではあったんですけど、作っていた時点からUは叩けていたので、逆に、レコーディングは音とかにめっちゃこだわることができて。
U:全種類と言っていいほど、スネアを使いましたね。
Sayula:そう、レコーディングスタジオにあったやつを。
――何だか、バンドに余裕が出てきた感じがします。
Sayula:そうですね。あと、こういう曲がほしいなと思ったきっかけの1つに、年末にやったリクエストワンマンも関係しているんですよ。久しぶりの曲を演奏したことによって、ある意味、原点回帰ができたというか。例えば、この曲ってやってみたらここは静かにするんだとか、音源ではわからない奥行きみたいなものが改めてわかったというのもあって、それが良い感じに合わさっていって「RöNTGEN」ができたんだなって思います。
――そういったことを踏まえて、ご自身がこの曲で挑戦したことは何でしたか?
Sayula:速さですかね(笑)。
――楽器陣、揃いも揃って同じところを挙げますね(笑)。
Sayula:さっきライちゃんが言ったように、激しい曲でもただただ速いっていうのもあるんですよね。でも、そういった曲はうちはやらなくていいと思っていて。それよりかは、メッセージだったり、SCAPEGOATらしさだったりを残したかったんですよね。その中でも、イントロとかはギターが際立つよにしているんで、そういうところのエッジ感やタイトさは今までには出せなかったことだと思います。ああとは、リズム隊がめちゃくちゃ良いテイクを作ってくれたので、そのおかげで自分のハードルも上がったというか。注文したことが最終的には自分に返ってくるので、そういう意味では、成長できる曲がまたできたなと思います。
――春さんも、この曲に関してはハードルを高く設定しましたか?
春:まぁ、そうですね。歌に関しては、速さ的には確かに速かったんですけど、そこまでかしこまらずに歌えましたね。
――ライヴで実際に披露してみて、いかがでした?
春:細かいことを言うと、ブレスのタイミングがない曲だなって。
Sayula:息吸えないんですよ(笑)。
春:それほど、歌詞に言葉を詰めていったので、最近にはないタイプの曲にはなっているかなと。去年は新体制のSCAPEGOATを観てほしいという思いがあったので、「ラブカ」から「月光」まで色々なタイプのシングルを提示したんです。それを踏まえて出した新作なので、一皮剥けるというか、大人になった感じっていうイメージはかなり強かったですね。本質的な部分というイメージでは、SCAPEGOATとして新たなアプローチかなと思います、「RöNTGEN」は。
――本当に、今までの良い部分が重なった曲だと思いました。そして、カップリング曲の「Squall」もSayulaさんの作曲ですが、これはどのような思いの下で完成させていったのですか?
Sayula:ライヴの後とか、春がたまにTwitterで呟くんですけど、それを活かして作っていった曲がこれなんですよね。なので、最初に付けた仮タイトルは「春bot」でした。
――そういうところからインスピレーションを受けて作った曲は、今までなかったのではないですか?
Sayula:ないですね。ただ、去年からたくさんライヴをやったことによって、改めてSCAPEGOATは色んなことができるバンドだなと思えたというか。だから、こうやって春の言葉を借りて曲を作るのも新しい挑戦の1つだと思ったんです。その一言で誰かが救われるかもしれないし、何かのきっかけになったらいいなと思って、曲にダイレクトに活かすことにしました。でも、ライヴは自由に歌ってくれていいかな。何せ、botなんで、その日思ったことを自由に言ってもらえればいいです。
――自然体な曲ですよね。
Sayula:純粋な曲だと思います。
――ただ、Twitterはメンバー全員がやっているではないですか。他のメンバーの言葉を入れようとは考えなかったのですか?
Sayula:楽器陣が呟いた言葉かぁ。何かある?
LAYHA:ライヴ後に、ありがとうって伝えてるよ。あとは、バンドの告知などをリツイートするっていう。
U:俺も、Twitterに関しては、オフィシャルの事項を最優先してる。
Sayula:それは、曲では使えない。
U:あと、自撮りもしてないかな。
Sayula:それも、曲では使えない(笑)。とはいえ、自分もありがとうとはよく呟いているんですけど、それを歌詞にできるかと言ったら違うんですよね。
LAYHA:じゃあ、今後は曲に活かされることを狙ってツイートしていくわ。そしたら、作詞のクレジットに俺の名前も載せてよ(笑)。
Sayula:そんな狙ってやったらダメ(笑)。でも、それとは逆に、春の呟いた言葉に刺さっている人ってたくさんいると思うので、ほんとナチュラルに曲に盛り込むことができました。
――だからこそ、歌詞にも注目してほしいですよね。
春:まだ、この曲はライヴでやっていないんですけど、どうなるのかなって楽しみではあります。ノリもあるけれど、曲に聴き入るのか、未知の可能性がある曲だなと現状では思っていて。それだけに、今後、ライヴを良くしてくれる曲になるだろうなと。
――3月からは、関東火葬TOUR「ぼくらはみんな灰になる」もスタートしますし、新曲がどのように育っていくのか楽しみですよ。
Sayula:新体制して再始動して固まってきた今だからこそ、改めてSCAPEGOATの魅力って何だろうって考えると、バラード曲だったり激しい曲だったり、その全てにおいてメッセージ性があることだと思うんです。
――だから、イベントライヴでも印象を残すバンドになっているのでしょうね。
春:去年は、イベント出演が多かった分、ワンマン自体はそんなに重ねていないんです。そういう部分でも、BLAZE公演に向けて、関東ツアーはやっておきたいなと。普段、ツアーというと、大阪や名古屋に行くことが多かったので、こうして関東を中心に廻れるというのは嬉しいし、このツアーを経たことによって、BLAZE公演も更に良くなるんじゃないかなと思います。
――あと、気になったことがあるので最後に聞いておきたいんですけど、新作のタイトルが「心と身体の秘密-上-」となっているではないですか。「-上-」があるということは、その続きもあるのかなと勘ぐってしまったのですが?
春:その考えは間違ってはいないですね。ただ、「心と身体の秘密-下-」があったとしても、そこで完結というわけではなく、BLAZE公演を含めて1つの作品として成り立つというか。なので、これら全てがSCAPEGOATの今後につながるものになればいいかなという感じですね。
Interview:ERI MIZUTANI
2020年1月25日土曜日
2020.2月号 ベル
──昨年11月にルミナさんが加入されましたが、新体制の準備は早い段階から進めていたのですか?
ハロ:準備というか、ひたすらルミナを口説き続けていましたね。そもそも、僕とルミナって7年前から知り合いなんですよ。当時はお互いに違うバンドをやっていたんですけど、ルミナがレーベルの後輩ということもあって仲良くなったんです。で、僕が新しいバンドを組むからって言ったときもライブを観に来てくれて。まぁ、それがベルの始動ライブだったんですけど(笑)。
──何という偶然。
ハロ:今思えばそうですよね。そこからしばらくして、去年ベルが3人体制になってしまったとき、僕らは何をやればいんだろうって分からなくなってしまったんですよね。本当に全員が落ち込んでいたし、僕もバンド人生で1番しんどい時期だったなぁって。これまでも壁にぶつかることはあったけど、今回だけは乗り越え方が分からなくて(苦笑)。でも、結局、新しいメンバーが入らないことには次に進めないと思ったんです。他人任せに聞こえてしまうかもしれないけど、これからのベルを表現していくためには、自分たちだけでどうにかできる問題じゃないなと。
正人:もしも、3人だけで活動する期間がいつまでって決まっていたら、そのときを目指して頑張ることができたと思うんですけど、3人になった当初はそんなことも全く決まっていなくて。だから、この状態が何ヶ月続くんだろうっていう不安はありました。
ハロ:ちょうど、5周年記念ツアーが決まっていたので、それをこのまま3人で廻るのか、それとも新体制で廻るのかっていう話を3人でしていたのをすごく覚えていて。結局、腹をくくって3人で廻ることに決めたんですけど、ツアーファイナルをきっかけに、夜が明けますように、新しい朝が来ますように、っていう願いを込めて、ツアーのタイトルを「維新開花の夜明け前」と付けたんです。その甲斐あってか、無事にツアーファイナルで新体制となることが発表できて。
明弥:でも、自分たちとしては結末を2パターン考えていたんですよね。
──と、いいますと?
明弥:ルミナを誘ってはいたものの、断られたときと、入ったときの2パターンを。
ハロ:嫌な言い方だけど、夜が明けなかったときのパターンね(苦笑)。それまでもサポートしてくれるメンバーもいて随分と手助けしてもらっていたんですけど、やっぱり本メンバーとは違うんですよね。というのも、本メンバーだったらバンドの未来の話ができるじゃないですか。だから、絶対に加入してもらいたいと思って、ルミナにはめっちゃうまいもの食わせたんですよ。
ルミナ:良い店に連れて行ってもらいました(笑)。でも、加入の決め手は食べ物だけではないですよ。
ハロ:食べ物だけだったら切ないよね(笑)。
ルミナ:始動ライブも観ていたし、僕はベルの存在はもちろん知っていたし、曲もずっと聴いていて。でも、最初に話をもらったとき、僕は別のバンドをやっていたんです。だから、ベルに入るということは全く考えもしなかったんです。でも、しばらくして、やっていたバンドの解散が決まってしまい、ベルのメンバーと改めて話をする中で、自分の中でも少し考えたいなと思い、とりあえず解散の日まで待って下さいって言ったんですよね。ただ、そのときも僕の中では、バンドが解散したら今後は音楽をやらないかもという方向でいたところはありました。
ハロ:それ、言ってたね。
ルミナ:そういう気持ちではいたんですけど、ベルのメンバーと一緒にスタジオ入るうちに、自分自身、バンドやめられないなって。とにかく、ベルの曲に惹かれたんですよね。だから、これからも音楽を続けるんだったらベルに入りたい、ベルしかないって思ったんです。
ハロ:そう思うと、最初にルミナがベルの始動ライブを観に来てくれたのも、何か意味があったのかなって思いますね。そして新体制となったわけですけど、前と比べても根本的なテーマは変わっていないんです。ルミナからも、そこは変えないでくれと言われていたので。
ルミナ:僕は、ベルがバンドコンセプトとして打ち出している歌謡の部分が好きなので、そこは変えてもらいたくないなと思ったんです。
ハロ:なので、僕らとしては、気持ちの面では何も変わっていないんです。むしろ、ルミナが入ったことによって、ブラッシュアップできるところが増えてくるんじゃないかなと。
──前向きですね。
ハロ:はい。あと、去年のうちから、先々の目標に関しても色々と立てていたんです。その中でも、まずは周年記念であるキネマ倶楽部でのワンマンを成功させようって。僕たち、周年はいつもキネマでやってるんですけど、今年は4人で必ずソールドさせましょうって。だからこそ、そこに結び付くような活動を2020年はしていこうって決めましたね。
──先が見通せるっていうのは本当に良いことです。今年最初のリリースとなるミニアルバム『解体新書』はメンバー全員が作曲を手掛けられていますけど、メインコンポーザーである明弥さんからすると、他のメンバーにも曲を書いてもらいたいという気持ちは昔からあったのですか?
明弥:それはあんまりなかったですね。自分が曲をもっと書きたいっていう気持ちでいたし、前は夢(夢人)がいたので、他のメンバーに作曲面で任せようという考えはなかったんですけど、新体制になるにあたってサポートの人も入ってくれたりとか、色んな新しい要素をベルに入れてくれてライブ作りや音楽が変わっていったので、それをそのまま音源でも見せたいなっていう感じでしたね。
ハロ:ちなみに、僕も正人も今までに作曲したことはあるんですよ。ただ、作曲スキルでいったら明弥と夢人の方が高かったので、ベルを組んだ時点でメインコンポーザーはこの2人でやっていった方がバンドの地盤を固められると思ったし、軸を作る上でもブレないからいいんじゃないかって思ってたんです。けど、そうやって培ってきた土台の上に新しい柱を立てていかないといけないって今回は思ったので、シングルよりもミニアルバムという形を取って、僕らの表現したいことを全部詰め込んだ感じではありますね。
──新しいことにもだいぶ挑戦していますよね?
ハロ:今回、明弥が良い曲たくさん持ってきましたからね。
明弥:割と今までにやったことがないというか、変拍子をいっぱい入れた曲とかあります。
──「愛と免罪符」も明弥さんの作曲ですが、この曲をリード曲にしようと思った決め手は何だったのですか?
ハロ:全員一致ではあったんですけど、僕はベルが3人になってからライブに対してすごく力を入れるようになってきたなって。というのも、どちらかというと今までは楽曲に力を入れてきて、ライブはベルの世界観を見せることにこだわってきたんですね。でも、ライブの勢いやメンバーのアグレッシブなパフォーマンスを見せたいっていう風に、僕の中で気持ちが変わってきて。なので、今回、ミニアルバムの中から1曲ミュージックビデオを撮るってなったときに、これから4人で作っていくベルというイメージに最も合っている「愛と免罪符」が良いなって思ったんです。
──映像を観て納得ですよ。新生ベルに相応しい内容だと思います。
ハロ:今までだったら倉庫で撮影しようという考えにもならなかったと思うんですけど、楽曲のイメージに合う映像は撮りたかったので、衣装始め、トータルでかっこよくなったと思います。
明弥:ベルの中ではアッパーチューンなんですけど、ルミナが入って勢いを出すという意味でも、良い曲に仕上がったかなと思います。
ハロ:アッパーチューンなんだけど、しっかりと歌モノなので。そこに関しては僕らのブレていない部分が出せたと思うので自信はありますね。
──バンドとしてのかっこ良さが出てますよね。ルミナさんは「愛と免罪符」についてどう思いますか?
ルミナ:想像以上の曲になりました。まず、今のベルを崩さずにライブバンドとしてどうなっていくんだろうって考えていたんです。そこに関しては、今まで5年間やってきたメンバーの意見を知りたかったんですけど、この曲が来たときに、これだ!ってピンときて。ほんと、ベルを崩さずかっこいいライブ曲っていうのができたなって思います。
──次の「アイデンティティー」は、1曲の中での展開の多さにびっくりしました。
明弥:超豚骨スープみたいな曲ですよね(笑)。
ハロ:新しいベルを打ち出した「愛と免罪符」からの流れからこういう変拍子の曲が来る辺りで、このミニアルバムは普通じゃないなって思ってもらいたかったんですよね。でも、正直、ボーカリストとしては歌いにくいなぁって思ってしまったぐらい、難しい(笑)。
正人:ドラマーとしても面倒くさいなぁって(笑)。
ルミナ:ギタリスト的にも地獄でした(笑)。
明弥:確かに、4分の4拍子があって、8分の6拍子もあって、4分の7拍子もある。他にも色々なパターンが出てくるので難しいと思います。これはほんと、聴き触りとかも考えずに作っていきましたからね。
ハロ:これを作ったときはシラフじゃなかったと思いたい。
明弥:いや、飲んではいなかった(笑)。けど、最近の楽曲って展開多いのが増えているじゃないですか。その点では、ベルは1A、1B、サビ、っていう風に分かりやすい構成の曲が多かったんですけど、たまには訳の分からない曲を作っても面白そうだなって思ったんです。
ハロ:これは早くライブでやりたいよね。
──「平行線」はハロさんが作詞と作曲を手掛けられていますが、歌詞と曲、どちらから先に作っていったのですか?
ハロ:実はこの曲、サビのメロディと歌詞の両方が7年ぐらい前からあったんですよね。どこかにメモをしたというわけでもないのに、自分の中でずっと残るメロディだったんです。それで、いつかは使いたいなって思ったんですけど、今回、他のセクションをあっきー(明弥)にアレンジしてもらいながら完成させたという感じですね。今まで以上にベルらしさを出したいと思っていたんですけど、想像どおり、いや、それ以上の曲になりました。
──「メーデー」も「アイデンティティー」同様、変わり種の曲ではありませんか?
ハロ:あぁ、そうですよね。今回、あっきーの曲って攻めてますよね。
明弥:やっぱり、新体制になったというのは大きいですよ。それによって表現の幅を広げられたというか。あとは、こういう曲ができるぐらいに技量が伴ってきたのかなって。これはスローテンポでダークな曲なんですけど、今までのベルにはあまり観られなかった雰囲気だと思うので、僕自身めちゃくちゃ気に入ってます。
──正人さんの作った「花市匁」は、ライブで確実に盛り上がりそうな曲ですね。
正人:僕の場合はリズム先行で作っていくんですけど、明弥にデモを持っていったのが曲出しの何日か前で。ただ、デモには僕のつたない鼻歌も入っていたんですけどね(笑)。やっぱり、ライブに強いバンドになりたいっていうのは僕自身も思っていたことなので、僕が思うベルの新しいライブ曲っていうところで、こうした尖った楽曲になりました。
ルミナ:この曲はレコーディングがすごく楽しかったですね。自分の中でライブを想定して、こういう風にしたいっていうのがそのまま表現できました。
──「fake
show」と「嘘」は明弥さん作曲ですけど、方向性が随分と違う2曲を並べてきましたね?
明弥:「fake
show」も「花市匁」と同じようにライブ曲だと思います。このテンポの裏打ちリズムはノリやすいかなと思って作ったんですけど、肝はリズムチェンジするところなんですよね。例えて言うなら、スーパーマリオがスター取ったときみたいなイメージ(笑)。あと「嘘」は、ライブを想定して作ったというよりかは、ベルの良さを引き出せるのはこういう曲だろうなっていう感じで作っていきましたね。最近、サビ始まりの曲が少なかったのでサビ始まりにしたんですけど、2サビの部分ではサビにいくかと思いきやCメロにいくという工夫をしています。
──そして、ルミナさんが作った「透明。」は“左脳盤”のみに収録されます。
ハロ:6曲目まで振り回されてもらって、「嘘」で安心しつつ、そのままフラットな「透明。」を聴いてもらえたらなぁって。
ルミナ:僕的には、人生について書いたつもりなんです。そうしたら、歌詞でも人生観が表れていて。この先のこととか、悩みとかをハロさんが歌詞に書いてくれたから、僕からは何も言葉にしていなかったのに意志の疎通ができたってびっくりしてるんです。
ハロ:まさにこういうのを書いてほしかったって言ってくれたので、嬉しかったですね。ほんと、“右脳盤”と“左脳盤”どちらも聴いてもらいたいです。
──本作は、曲からは想像できない歌詞が乗っているのも特徴だなと思いました。良いギャップがありますよね。
ハロ:歌詞に関してはほんとそうですね。今回、ミニアルバムというだけあって8曲分の歌詞を書かなくてはいけないので、それぞれ違うテーマで書こうと思ったんです。なので、8作の短編を描いていった感じはありました。でも、こうして出来上がってみるとうまく調理できたかなと。本作で僕らの表現したいことが提示できたので、ぜひ、3月から始まる新体制となって最初のワンマンツアー「4カウント」にも遊びに来てもらえたらなと思います。
Interview:ERI
MIZUTANI
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