2020年3月25日水曜日

2020.4月号 Kra


 ——2人編成になって約1年たちましたが、変化したところはどんな点でしょうか?
結良:打ち上げするようになりました(笑)。ライブのあとに「メシ行こう」なんてことなかったんですけどね。
景夕:互いにわかりあっているメンバーだったので、行く必要がなかったっていうのもあったんですけど、2人になってサポートをいろいろな方にお願いしているので打ち解けておきたいって思ったんですよ。なので打ち上げどころかリハーサル後に「ゴハン食べませんか?」ってお誘いするようになりましたね。

——コミュニケーションを大事にするようになった?
景夕:そこがいちばん大きな変化かもね。
結良:そうだね。

——仲良くなることが演奏にも繋がりますものね。
景夕:そうですね。あとはこれまで4人で役割分担していたんですけど「これ誰がやるんだっけ?」ってあやふやになっていたところがあったんですよ。いまは2人だけなので、わかりやすくなって。

——ちなみにいまはどんな分担になっているんですか?
景夕:今回のミニアルバム『Dis WORLD』に関しては自分が作詞で作曲が結良ですね。次回からは俺も曲を作れたらと思っていますし、歌詞先行でメロディをつけてみたいということも話していますね。ただ役割自体は自分は変わってないですね。
結良:僕は運転する回数が増えましたね(笑)。
景夕:あとは同期の管理してくれたり。

——(笑)結良さん、仕事増えてるじゃないですか?
景夕:結良さんは明らかに増えています。
結良:でも、どっちも苦じゃないんですよ。ライブで流す同期の編集にしても、サポートドラムの方がやりやすい音響を作り上げるのが好きなんです。「Kraの現場ってドラムの同期がちゃんとしてるよね」って言われたくて親切丁寧をモットーにやっています(笑)。

——2人体制での第1弾『Dis WORLD』はKraらしさもありつつ、以前よりフィルターがかかっていないというか、前を向いている姿勢がストレートに伝わってきました。プロデューサーに都啓一さん(Rayflower、SOPHIA)を迎えて制作していますが、都さんのことは前から知っていたんですか?
景夕:高校生のときSOPHIAを聴いていたんですけど、初めてお会いしたのは去年の春?ぐらいですね。
結良:僕が都さんとセッションする機会があってKraの曲をカバーしたんですけど、同期を原曲に忠実に作ってくださったんですよ。その流れからプロデュースをお願いしたんですけど、次回も一緒にできたらいいなって。
景夕:お忙しい中、対応していただいてミニアルバムの曲についても「Kraの可能性が秘められていると思う」とか「こういうことやったら絶対もっとお客さんに響く」って、前向きになれることを言っていただきました。2人になってウチらはお客さんに届けることでせいいっぱいで、光が見えなかったんですね。都さんはウチらのことだけではなくお客さんのことも考えてくださった上で意見を言ってくれて「Kraの音楽をいろんな人に広げるチャンスはあるのかもしれないな」って思えたんです。

——客観的な視点で熱く語ってくれたんですね。都さんに出会えて良かったですね。
結良:ホントにそうですね。
景夕:結良さんに至っては都さんにテンション上げてもらって帰ってから深夜、曲を作ってましたからね(笑)。

——リード曲「Dis WORLD」は都さんのキーボードソロも入っているし、新しさを感じました。
結良:ウチらもスタッフも最初は4曲目の「2/4」をリード曲にしようって話してたんですよ。そしたら都さんが、
「この曲、輝くと思うで」って言ってくださって、アレンジを委ねたんです。原曲はライブ中盤でやりそうな雰囲気の曲だったんですけど、序盤や後半で演奏できるような曲になりましたね。

——きらびやかさがあるダンスナンバーなのに、どこか憂いがあるのがいいですね。“心奪われた あの絵画のような色使いとは違ったんだ”という歌詞が出てきますが、
絵画にさよならを告げる曲なのか、足りなかったピースを探しに行く曲なのか気になりました。
景夕:絵画は「いつか、ああいうバンドになりたいな」とかバンドマンが目指す理想の例えとして書いたんですけど、描いていた理想に囚われずにいろいろなものに目を向けて吸収して2人で表現していくっていうのが、この歌詞の核心ですね。不完全な世界におやすみを告げるというか。

——だから“本当の世界を新しく探すため”というフレーズで終わるんですね。サウンドもふくめて、いろんな色が混ざっている印象を受けました。
景夕:水彩画に近い曲だと思ったんですよ。赤とか青って限定できる曲じゃなくグラデーションのような。

——「言葉にしたい言葉」では“全ての想いを言葉に言葉にしたいよ”と歌っていますよね。ここまでまっすぐに表現するのも珍しいのでは?
景夕:KraのグループLINEに歌詞を投げたとき緊張感と恥ずかしさがありましたね(笑)。

——曲調も疾走感があってストレートなんだけど途中でダブっぽくなる展開がフックになっていますね。
結良:間奏で落とすのがすごく好きなんですけど、今回は明るい感じにしたくてボサノヴァとかレゲエっぽい感じにしてみました。

——「逆想のイカロス」は今作の中でもっともヘヴィなナンバーですね。
結良:もともとライブの激しいゾーンに持っていこうと思ったんですけど、都さんに「もっと重たくしたほうがいいと思う」ってアドバイスされてアレンジしてもらったんです。ウチにはなかったポジションの曲になりましたね。振り切ることも大事だなって。

——エフェクトをかけた景夕さんの低い声とハイトーンの幅が楽しめる曲でもあり、結良さんのベースも激しく動き回ってますね。ライブで爆発しそうなナンバー。
景夕:今作は全曲、生のドラムではないのでライブでは、よりグルーヴが出ると思うんですよ。今度のツアーのドラムは優一なので「逆想のイカロス」は音源以上にガツンと重たくなるんじゃないかな。そこも楽しみにしていてほしいですね。

——この曲も地に落ちたイカロスがもう1度羽ばたくという内容なので、未来に向かっているという意味でメッセージは繋がっていますね。
景夕:そうですね。「言葉にしたい言葉」もありのままの自分を受け入れてほしいという想いが入っているので。

——「2/4」はタイトルからしていまのKraのことかなと思いますが、スピード感があってポップですよね。
結良:完全に僕が好きな手グセで作った曲なんですけど、これまでと少し違うのはサビでメジャー進行になって明るくなるところ。
景夕:歌詞は2人になった自分たちのことを歌っています。自分たちの身体が続く限りは続けていくとファンに言っているのでそういう意思も込めています。

——抽象的な質問になりますが、いまの2人にとってKraとは?
結良:なるようになるバンド。「良くなかったかな」と思って下した決断がのちにプラスだったことも多かったし。
景夕:ある意味、お互いポジティブだよね。辛いことがあってもあとで笑って話せればいいやって。
結良:そうだね。
景夕:18年の間にはあきらめかけたこともありましたが、がんばって続けていたら花咲くことがあるかもしれない夢がある職業だと思うんですよ。これまで音源を出して「Kraっぽくない」って言われることはありましたけど、あとになって「やっぱり、あの曲いいね。ライブで聴きたい」って思われる曲を作っていきたいと思うし、サポートミュージシャンを迎えてやっているいまのKraって拡張性があると思うんですよ。音楽のジャンルも限定していないし、可能性はまだまだあるなって思っています。

Interview: HIROKO YAMAMOTO