2020年3月25日水曜日

2020.4月号 Develop One's Faculties

  この記事を目にする頃には、最新アルバム「INVERSE ЯEVERSE」を手に全国ワンマンツアー「ONE MAN TOUR「INVERSE ЯEVERSE」の真っ最中だろう。ライブを繰り返すごとにアルバムへ収録した曲たちを進化させながら、彼らが今、どんな姿を示しているのか興味深い。まずは、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」へ込めた4人の想いを感じて欲しい。


――アルバム「INVERSE ЯEVERSE」へ収録した「偏見と正見」の中、yuyaさんは「世界観強いよね そう言っときゃ良いって思ってるでしょ?」と歌いかけました。その言葉を安易に使いたがる人はやはり多いのでしょうか?
yuya  よく言われるんで(笑)。今や「世界観」という言葉が一人歩きし、「その言葉を使っておけば安心という人が多いのかな?」とは勝手に思ってるんですけど。使っている側も、その言葉に対して悪い印象を持ってないと思うんですよね。実際に「世界観強くて凄くいいよね」と言われても、悪くは聞こえない。もちろん、その言葉を悪いと解釈しているわけではない。ただ、無理に「世界観が強くて格好いいよね」と言うくらいなら、ただ「格好いいよね」だけで良いなと思う節が今まであったので、そう書いたわけです。

――確かに使っておくと便利な言葉なのは、職業柄わかります。
yuya  そうなんでしょうね(笑)。

――yuyaさんの書く歌詞は、自分へ向けてはもちろん、世の中の現象への皮肉も痛烈に込めて表現している印象を覚えました。
yuya  歌詞に関しては、自分の思ったことを書いているだけなんですけど。俺自身は歌詞を書き溜めることはせず、「そのときに思い、感じたことを歌詞にしている」し、それを伝えたい気持ちが一番にあること。結果、8割はマイナスなことを書いてるなとは自分でも思いますけど。希望や明るい未来を書くよりも、自分の感じているリアルを伝えたい。例えばの話、この世の人数が100人だとしたら、100人全員に共感して欲しいと思って歌詞は書いてないし、歌っているつもりもない。ただ、受け取った人の少しでも多くの人に共感してもらえたら、それでいい。自分自身、キャッチーな歌詞を書くつもりもないですからね。

――メンバーは、yuyaさんの想いを共有し、それを演奏へぶつけている形なのでしょうか?
rui  歌詞に関しては、yuya自身の生きてきた世界観や主観を書いてるように正直100%理解しているわけじゃないけど、言葉を大事にしている印象は強いです。とくに最新アルバムの「INVERSE ЯEVERSE」は、歌詞を重要視した楽曲が多いというか、これまでは歌詞のない楽曲もあった中、今回インタールード以外はすべて歌詞を書いている。そこが、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」の聞きどころにもなっていることかなと…。
yuya  今、相方が「本人じゃないから100%はわからない」と言ったけど、100%わかっちゃうと楽しくないと思うんですよ。その意味を100%理解しているのは、歌詞を書いた俺一人でいい。たとえばメンバーで言うなら、俺の書いた歌詞を75%くらい理解したうえで、残りの25%を俺が補てんして100%にしていけばいいこと。むしろ、違って見えた視線は、俺にはないもの。それが自分には逆に刺激にもなる。それは、リスナーも含めて。そういう余白のある受け止め方でちょうど良いのかも知れないです。

――yuyaさんの場合、歌詞もメロディも降ってくるタイプ??
yuya  「曲を作ろう」と思って作ることも出来ますけど、そういう楽曲はあまりやりたくはないな。それよりも、直感として浮かんだものを大事にしたい。たとえば、絵を見ながらメロディや言葉が浮かぶとか。最近だと、寝ながら曲を作ってるんですよ。

――それはどういうことですか?
yuya  夢の中で曲を作ってる。でも、夢なんて起きてしまえば、すぐに忘れることが多いじゃないですか。だけど、たまに鮮明に覚えているときがあるんですよ。今回のアルバム「INVERSE ЯEVERSE」の中にも、夢の中で作りながら、起きたときも覚えていたことから楽曲に書き起こした歌が2曲あります。そういう曲ほど、自分でも「いい曲」だと思ってて。あえてその答えは言わないので、そこは想像してもらえたらなと思ってる。

――個人的に、「冒涜」の持つ高揚感というか、聞いてて魂を震わせ、そのまま楽曲と一緒に絶頂感を覚える感覚が好きなんです。
yuya  「冒涜」は、夢の中で作った1曲です。俺は夢の中、誰もいない大きいホールで一人指揮をしていた。もちろん、指揮をしている俺しかいないんだから、そこに音楽が流れているわけじゃない。なのに、俺の耳にはその音楽がずっと響いていた。「その感覚が不思議だなぁ」と夢の中で想いつつ、起きたときもその夢や、耳に響いていた楽曲を覚えていたことから曲にしていった。「冒涜」は、「これをフルオーケストラで演奏したらさらに格好いいんだろうなぁ」とも思いながら作りましたね。

――JohannesさんやHiromuさんは、yuyaさんの歌詞をどのように受け止めています?
Johannes  (翻訳済み)自分は言葉をニュアンスとして感じ取りながら演奏をするタイプ。アートワークを作るときに、初めて歌詞を読んで自分なりに受け止める形です。
Hiromu  自分の場合は、歌詞の意味も含めての楽曲という捉え方で演奏している節が強いです。なので、極力歌詞もわかったうえで演奏したい性格。もちろん、歌詞の乗ってないメロディとサウンドたけの状態で届く場合もあれば、そのうえで表現もしていますけど。そういうときでもつねに、自分なりに歌詞の世界を想像して弾いていく性格。さっき75%理解してくれていたらという話もあったように、自分も歌詞を理解したうえでのほうが、より気持ちをノセて演奏が出来るように、歌詞は大事にしたいほうです。

――yuyaさん自身、人は好きだと思うんですけど。人の持つ感情についていろんな角度から、しかも痛い表現を持って言葉を投げてゆくじゃないですか。たまにこの人、「人が嫌いなのかな」と想像もしてしまいます。
yuya  もちろん、人は好きですよ。ただ、歌詞を書くと、メンタルが弱いせいかネガティブになっちゃうんですよ。実際はそうじゃないことに対しても、何処かマイナスな視点で見てしまうこともすごく多い。そういう面で、「俺は過剰すぎるのかも」と思ってしまうけど。俺と同じ価値観の人だっていると思うから、「そこはわかってくれる人もいるんだろうな」と思いつつ書いていること。もちろん、自分の言ってることが正解だなんて思ってない。ただ、自分に見えている世界を100%言葉にはしている。その表現が正解か不正解かではなく、俺自身の100%を表現してゆくことが大切だと思って俺は歌詞を書いています。

――その歌詞をどう解釈し楽しむかは、聞き手に任せれば良いことですからね。
yuya  そうだと思います。むしろ、自分なりの100%の答えを見出したうえで楽曲を楽しんでもらえたらいいんじゃないかな。

――「SevenStars」の冒頭の歌詞は、まるでスリリングなハードボイルド小説を読んでいるような感覚を覚え、聞いてて強く惹かれました。
yuya  俺、なんでこういう歌詞を書いたんでしょうね(笑)。もちろん、書きたい理由や想いがあって書いた歌ですけど。冒頭の「銃口が俺をノックする」など、「なんでこの表現だったんだろう?」と、言葉や表現のチョイス面に感覚的な面白さを自分で覚えることもありますよ。

――かと思えば、「Y」では自分の生い立ちを歌えば、「My Name Is R&R」ではドストレートな表現で言葉をぶつけていますよね。
yuya  「My Name Is R&R」は、ビックリするくらいストレートですよね。それも狙ったわけではなく、直感として浮かんだ表現としてのこと。あえて狙ったという視点で語るなら、どの曲も「格好いい曲を」という狙いを持って作っているところが共通項になるのかな。

――メンバーみなさん、アルバム「INVERSE ЯEVERSE」にはどんな手応えを覚えています?
Johannes  (翻訳済み)これまでに出した作品に比べて跳ねた楽曲の割合が多く、今までないようなノリの曲もあって、トータル的に見てすげぇグルーヴィな作品になった印象があります。
Hiromu  自分は、この作品からメンバーとして参加となるように、何時の時代に振り返っても一番思い入れの強い作品になるだろうなという印象です。しかも、自分なりの挑戦がとても多かった作品。もちろん、これが今のDevelop One's Facultiesのアルバムとしての完成形ですけど、その楽曲たちを、今度はライブでどうブラッシュアップさせてゆくか。この記事を見てくれた頃はワンマンツアーの真っ最中のように、アルバムの曲たちにどう磨きをかけているのかが自分でも楽しみです。
rui  既存の曲たちと、アルバムへ収録した曲たちをどう組み合わせセットリストを作ってゆくのか、そこは試行錯誤するところであり、そこから最良の答えを導き出してゆく過程が楽しみでもあることですからね。アルバム「INVERSE ЯEVERSE」には、これまで以上に速い楽曲が多いなという印象も受けたこと。とくに冒頭3曲は速い楽曲が立て続けに流れれば、「ボーダーライン」でミドルな表情を見せつつ、「ephemeral」や「シャーデンフロイデ」でソリッドな面を描き、「真実の黒」から終盤へと向かっていく。ワンマンツアーで、「INVERSE ЯEVERSE」へ収録した曲を全部一気に演奏するという楽しみ方もあるだろうけど。むしろ、先にも触れたように既存の曲たちとどう混ぜ合わせ、どういう流れを持った物語を作っていくのかを今は楽しみたい。きっとこの記事を読む頃には、毎回のライブでそれを試行錯誤しながらも楽しんでいる頃じゃないかと思います。

――ライブという物語をどう作り上げてゆくか、そこは毎回試しながらという形になるのでしょうか?
rui  そうなると思います。毎回スタートとゴール地点を決めた上で、その間を彩る物語を構築しながらセットリストを組んでいくんですけど。歌詞の世界観が極端に変化しすぎると、歌っている本人の気持ちが入り込みにくくなるのかなということも考慮しつつ、心地好い流れも考えながらそこは作っていくんだと思います。
yuya  むしろ俺自身が、相方の作ったセットリストの流れを受け止め、自分なりにどう咀嚼しながら表現してゆくかを楽しんでいる。なので、今回もそこを楽しもうかと。アルバムに収録したインタールード曲もすべて意味があるように、それも含めてのライブでの表現も考えているしね。

――アルバムの最後に収録した「ЯEVERSE」、あれ面白いですよね。
yuya  あれ、自分の声をとある法則に則ってリバースしているわけだけど。そこで何と言ってるのか、そこも聞き取って欲しいね。
rui  このツアーの中で、「INVERSE ЯEVERSE」を加えたDevelop One's Facultiesの世界観を昇華しながら、ファイナルとなる渋谷WWW X公演のときに「やべぇ!!」となるくらいに完成させようと思ってるし、そうしていくつもりです。ぜひ、ライブにも足を運んでください。

Interview : TOMONORI NAGASAWA