2019年5月25日土曜日

2019.6月号 ヴァージュ

──ニュー・アルバム『Gracia-ガラシャ-』は、当初予定していた発売から、5月22日に変更されましたよね?
遼-ryo-(以下、遼):はい、そうなんです。
紫月-shizuki-(以下、紫月):発売日が変わったとはいえ、ギリギリまで練って制作をしていたので、すごく前に録り終えたというわけではなかったんですよ。かなりの戦いでしたね。

──どういった部分で戦っていたのでしょう?
紫月:3月に森羅万象ツアーを廻っていたんですけど、その中で制作していたっていう感じですね。

──今回はアルバムだけあってフルボリュームですからね。通常盤にいたっては12曲も収録されているだけに、相当の気合いが感じられますよ。
遼:1週間で5曲作りました。

──本作は、すべてにおいて遼さんが作詞と作曲を手掛けていますが、1週間で5曲とはかなりのスピードで作り上げましたね?
遼:期限があったので(笑)。
紫月:とりあえず2月にワンマンがあったので、それまではみんなでワンマンの準備をしていたんですよ。というのも、憂璃と氷龍が加入したというのもあって、それまでの曲を覚えたりと忙しかったんですよね。で、ワンマン終わってから遼がバーッと曲を作り出すっていう。

──それだけ頑張れたというのは、やはり、現体制になってからアルバムを出したいという強い気持ちがあったからですか?
紫月:アルバム自体は、前から作りたいねって話はメンバーでしていたんです。それで、今回、SPEED DISKで流通してもらえることになったので、このタイミングでニュー・アルバムを出そうってなりましたね。

──本作はバンドの世界観が色濃く出ていると感じましたが、改めて、ヴァージュのバンドコンセプトを伺ってもいいですか?
遼:コンセプトはないです。

──最初から、特別これだというものは決めてはいなかったんですね?
遼:何か邪魔になるというか、活動していくにあたってコンセプトに縛られたくなかったので、敢えて決めていないんです。でも、古き良き時代というか、そういうところはバンドの世界観を作る上で大事にしているところではあります。
紫月:バンドが始動するときにコンセプトを決めようかっていう話にはなったんですけど、曲で表現できればいいんじゃないってなったんですよね。

──確かに、曲を聴けば伝わってくるものはあります。では、アルバム『Gracia-ガラシャ-』もこれといったコンセプトは立てずに制作を進めていったのですか?
紫月:どうだったっけ。
遼:僕の頭の中には内容というかイメージはあったんですよね。最初はボヤッとしていたんですけど、曲ができていくうちに全体のイメージができていったという感じですね。でも、アルバム・タイトルは結構前からありました。これは僕が案を出したんですけど、『Gracia-ガラシャ-』には、優美とか品のあるといった意味があって。ヒンドゥー語なんですけど響きが良いなと思って。異国を感じさせる雰囲気にしたかったってこともあって、ガラシャという言葉も気に入ったので付けました。

──曲自体、異国情緒漂うテイストのものが入っていますよね。ライヴでは既に何曲か披露されているのですか?
紫月:そうですね、全曲はまだですけど。

──アルバムの流れでライヴをやっても面白そうだなと感じました。せっかくなので、それぞれに今もっとも気に入っている1曲と、レコーディングで印象に残っている1曲を挙げていただきましょうか。まずは、遼さんから。
遼:気にいっているのは「-ガラシャ-」ですかね。ドラムを今までに使ったことのないリズムにしてみたり、メロディの動きも少し変わった動きにしてみたり同期で女性コーラスのようなものを入れて雰囲気もかなり良くなりました。

──それだけに、メンバーに最初デモを聴かせたときは驚かれたのではないですか?
遼:うーん、どうだったかな。
紫月:すごいってなったよ(笑)。
遼:聴かせたときは、まだ歌詞も歌も入っていなかったんです。なので、他のメンバーはメロディの打ち込みだけを聴いていたのでハッキリとしたイメージはできていなかったとは思うんですよね。
紫月:この曲は歌が入ってガラッとイメージが変わりましたね、「-ガラシャ-」だけに。

──メンバー一同、困ってるじゃないですか(笑)。
紫月:あははは(笑)。

──個人ではなくバンドとして曲を作る以上、そういった変化って面白いですよね。ちなみに、この曲はアルバム・タイトルと同じ曲名となっていますが、リード曲というわけではないんですよね?
遼:そうですね、僕は特にリード曲だとは思っていなくて。

──むしろ、全部リード曲という感じがしました。
紫月:確かに、全部ミュージック・ビデオ撮れそうですよね。

──観たくなります。では、遼さん、レコーディングで印象に残っている曲は?
遼:「Vanish」ですね。これは曲の真ん中あたりに英語の歌詞があるんですけど、その部分は結構高い裏声を出しているんですよ。なので、歌っていて難しかったです。

──聴いていると、難なく歌っているなぁという印象を受けましたが。
遼:頑張りました(笑)。

──続いて、憂璃さんがアルバムの中で気にいっている曲は?
憂璃-yu-ri-(以下、憂璃):推し曲ですよね、どれがいいかなぁ。でも、ライヴでも既に披露している「fated」(通常盤のみ収録)は気に入っています。これはヴァージュに元々あった曲で、今回、リ・レコーディングという形で入っているんですけど、ベース的にはガラッとフレーズを変えたんです。

──そうだったんですね。こだわったところというと?
憂璃:自分で重要視しているのが、高校生の頃の自分が聴いたときに弾いてみたいって思えるのができたなって。曲に合った状態でそれができたので、自分のパートのことだけになってしまいますけど、「fated」は今とても気に入っています。

──他にレコーディングで印象に残っている曲は?
憂璃:「醜劣」ですね。この曲を弾いているときに指がつってしまったんですよ。つったというか、腱鞘炎になってしまって(苦笑)。
或-aru-(以下、或):僕、憂璃に病院行けって10回ぐらい言いましたからね。ちょっと説教に近かったかもしれない。だって、ずっと指をさすりながらこっちを見てくるんですよ。
憂璃:それで病院に行って、注射打って治りました。それだけテンポの速い曲だったんですよね。

──とにかく治って良かったですよ。では、或さんがアルバムの中で今もっとも気にいっている曲というと?
或:「紋白蝶」ですね。この曲が今のところ1番好きです。これも良い意味でヴァージュらしくないというか。氷龍さんが加入してギターが2人になったので、その分、曲に対しての遊び心も増えたし、歌詞もドラムも気持ちが込めやすいんですよね、この曲は。

──歌詞をちゃんと読んでいるんですね。
或:そうです。そういえば、昔メンバー内でもその話になったことがあるんですよ。俺は歌詞をちゃんと読んでいるからねって(笑)。で、この間、紫月に「紋白蝶」のサビを歌ってもらったんですよ。そうしたら、2行目で歌詞を間違うという。
紫月:いいでしょ(笑)。

──覚えている方がすごいです(笑)。歌詞を頭の中に入れることによって、ドラムプレイも変わってきますか?
或:全然変わってきますね。自分の演奏に対してもそうですけど、ヴォーカルの気持ちも考えた方が曲の運び方はうまくいくなと思います。でも、遼にはこの歌詞が良かったよって褒めたことはないんですよ、なんか悔しいじゃないですか(笑)。逆に、俺のことを褒めてくれたら褒めるかもしれないけど、褒めてくれる?
遼:いつも褒めてるじゃん。(笑)
或:じゃあ、これからは歩み寄ります(笑)。

──他に、レコーディングで印象に残っている曲はありますか?
或:「-ガラシャ-」ですね。これ結構、遼がこだわってドラムを作ってきてくれたんですけど、不思議なフレーズが多いだけに難しかったですね。
遼:けど、簡単に直してきたんですよ。なので、すぐに元に戻しました。(笑)
或:ドラマーとして無理だっていうフレーズ投げてくるんですよ。
遼:でも、結果的に叩けたでしょ?(笑)
或:何とか。
遼:じゃあ、いいよね(笑)。
或:まぁ、そうだけど(笑)。その甲斐あって良い曲になったと思うので、難しいフレーズのまま叩いて良かったです。

──氷龍さんの推し曲はどれですか?
氷龍-hiryu-(以下、氷龍):自分も同じで「紋白蝶」です。デモを聴いた段階からこれはヴァージュっぽくないなって思いました。加入するまではヴァージュは黒くて、世界観が強いバンドだと思っていたのですが、そういう意味でもこの曲は黒ではなく、白に近いイメージを持ちました。

──では、レコーディングで難しかった曲を敢えて挙げるとするなら?
氷龍:難しいというか、大変だったのは全部なんですけど、1番時間かかったのは「紋白蝶」ですかね。

──どのような点で、時間がかかったのでしょう?
氷龍:アレンジもそうなんですけど、この曲はアウトロがギターで終わるんですね。そこのフレーズはレコーディングの〆切ギリギリまで何回か変わったので、最終的には紫月に何か案をくれってお願いして(笑)。

──そうだったんですか。でも、やっぱり、ギター2本ある方が良いですね。
紫月:ツインギターを推したかったので良い感じになりました。ツインギターといえば、「Vanish」と「Le ciel」という曲はレコーディングしていてすごく印象に残っていて。今まではギター1人でレコーディングしていたので、ツインギターになってからどうアレンジをどう進めていくかわからない状態だったんですけど、この曲がすごく勉強になったというか。始まりという感じがしますね。あと、自分がアルバムの中で面白いなと感じた曲は「ベラドンナリリーにナイフを添えて」ですね。これはアレンジが最初は全く思い浮かばなかったんですけど、そんなときに遼から曲名をもらって。そこで初めてアレンジが固まりましたね。

──曲名に導かれたのですね。
紫月:そうですね。最初はズンズン弾いていたんですけど、コードを弾きながらリードがあった方がいいんじゃないかなって。Aメロとかも古い感じになっているので聴き応えがあると思います。

──では、レコーディングでスムーズにいった曲は?
紫月:「-ガラシャ-」ですね。デモから完成されたギターフレーズが入っていたんですよ。それが良くてそのまま活かしたというのもあり、これは難なく弾けましたね。

──今挙げてもらった曲だけでなく、他にもたくさん良い曲が本作には詰まっています。全曲聴けるのは、これからのライヴで、という感じですか?
遼:そうですね。イベント・ライヴもたくさんあるんですけど、6月には東名阪のワンマン・ツアーがあるので、そこで全部やれると思います。
紫月:今年はいっぱいライヴをやっていこうかなと思ってるんですよ。ヴァージュにとって勝負の年にしたいですね。


Interview:ERI MIZUTANI