2019年5月25日土曜日

2019.6月号 KHRYST+



  KHRYST+が、1stEP『贖罪』を5月22日に発売した。今回は両A面として3-TYPEリリース。しかも『SACRED』『クラクラ』と2曲のMVも異なるヴィジュアルやコンセプトを持って制作。6月22日には下北沢LIVVEHOLICでリリース記念のワンマン公演も決定。ここでは、新作の魅力について4人に話を伺った。



――KHRYST+として活動を始めてから半年強の日々が経過、自分たちのスタイルはしっかりつかんできた形でしょうか?
JIN  自分たちなりのスタイルを持って始めながらも、今はシーンの状況とKHRYST+としての姿勢を照らし合わせてたうえでの方向性を示そうともしているように、まだまだKHRYST+のスタイルを模索している時期ですね。
BYO  KHRYST+始動前や、会場限定盤として作ったミニアルバム『BASALT』を制作していた時期のKHRYST+は、シーンの流行りやファンの嗜好性を気にすることもなければ、今の流れに混じろうとも思っていなかったんだけど。実際に、改めてこのシーンで活動を始めたとき、本当に混じることがなかった(笑)。もちろん、その姿勢を支持してくれるファンたちもいるとはいえ、今のシーンで活動をしていく以上は、いろんな人たちを巻き込みたい気持ちも強く持っているように、どうやって自分たちの方へ視線を向けさせるのか。そのために自分たちの音楽性をどう対応してゆくべきか。その辺で頭を使いだしているのが、今。 もちろん、無理に混じるつもりはないけど、もっと混じったほうが気持ち良いなという意識も、実際にはあることなので…。

――そういう状況があるんですね。
BYO これまでにもワンマン活動や主催イベントを仕掛ければ、通常のブッキングライブにも出てきた中、自分たち主導のライブではとても好意的に受け止めてもらいながらも、KHRYST+の存在を知らない人たちの中へ出ていったときに、今のKHRYST+のスタイルに戸惑う人たちがいるのを感じ続けてきたのも事実。そこをどう取り込んでいくか、そこへ課題を持って挑んでいるのが、今の時期なんです。
JIN  今、KHRYST+の楽曲をメインで作っているのが僕とQUINA。当初は、互いにミニアルバム『BASALT』に示したスタイルを受け継いだ形で楽曲を制作していたけど、ライブ活動を重ねていく中、そこは柔軟性を持ち出したというか。KHRYST+の本質を変えることなく、今のシーンの流れが好きな子たちの関心をつかみやすいスタイルを取り入れた見せ方もし始めているのが今の時期であり、それを反映して作ったのが、初の全国流通盤となった1stEPの『贖罪』なんですよ。
  リリース前、収録した楽曲の中から2曲ほど先行でライブ演奏を始めたときにも、KHRYST+ファンはもちろん。あきらかに初見でKHRYST+を観る人たちの間からも良い反応が見えていたように、そこは嬉しい手応えも感じていること。さらに言うなら、本作は両A面盤ということで、僕とQUINAの持つ色も綺麗に分けて出せたように、KHRYST+を深く知るうえでも良い形で方向性を示せたなと思ってる。

――『SACRED』を作ったのがJINさんになります。
JIN  作曲をしたのは僕ですけど。もともとはBYOの発案を元にしていれば、彼のアイデアを受けて形を作るたび、BYOが頭の中に描いている楽曲像へ近づけようと何度もやりとりを繰り返しブラッシュアップ。そのうえでQUINAとIЯUも加わってという形だったように、原曲からはだいぶ形を変えながら作りあげたぶん、相応に時間を要してはいるんだけど。この『SACRED』こそ、KHRYST+らしさを持ちながらも、今のシーンにも寄り添う面を示した楽曲になったのは間違いないこと。
BYO  最初、JINに「ロックしようぜ!!」と言った言葉から『SACRED』の制作は始まったんだけど。やはりKHRYST+の1stEPになることから、「最初からクオリティ高く、しかもKHRYST+らしさもしっかり示そう」という意識を持っていたことや、先に語ったシーンへ寄り添う面も考慮してなど、いろんなことを受け入れながら作りあげたせいか、どうしても時間を要したというか…。結果、KHRYST+と今のシーンの動向、その両方の王道らしさを取り込めた形にはなったなと思ってる。

――疾走する楽曲の中から雄々しさや神々しさが見えてくるのが、『SACRED』ですからね。
BYO  当初はスローな楽曲だったところをガラッとテンポをアップへ変えたように、結果、スピード感を重視して良かったなと思ってる。

――IЯUさんは、『SACRED』をどんな印象で受け止めていました?
IЯU  良い意味で、今のシーンに寄り添える王道さを持った楽曲。だからこそ、ちょっとひねくれた要素も入れようと、自分なりに試行錯誤を繰り返したうえでフレーズを描き加えています。逆に『クラクラ』は思い浮かぶ感情のまま弾いたように、2曲の中へ自分なりの違いを出せたのも特色になったなと思ってる。
QUINA  IЯUとは逆に、僕は2人が作りあげた『SACRED』のデモ音源を聞いたときに、2人の求めたい楽曲像がはっきり見えたことから、それをより具現化させる演奏を加えながらかなり攻めた演奏をしたように、個人的にはスムーズに作りあげた楽曲になりました。

――『SACRED』と対極を成す『クラクラ』を作ったのがQUINAさん。『クラクラ』を作るうえで、『SACRED』の色なども意識していたのでしょうか?
QUINA  『クラクラ』を初披露したのが、KHRYST+の始動ライブの1曲目として。だから、楽曲自体は早い時期に生まれていました。ただし、当初はドロドロとした雰囲気物というか、ライブの中で飛び道具的な要素を持った楽曲になればという意識で作っていたんだけど。今回、BYOのほうから「より聞きやすさを重視したうえで、シングルにしたい」というアイデアをもらったことから、ガラッとアレンジを変え、別曲にしてしまいました(笑)。
JIN  始動ライブで演奏した当初の形で残っているのは、イントロくらい??
QUINA  そこだけです(笑)。ただ、コード進行も当初のまま。とはいえ、表情はぜんぜん違ってるんで(笑)。

――そこは、今のシーンへ寄り添うことも考えたうえでのこと?
QUINA  その意識もゼロではなかったけど。むしろ、BYOが『クラクラ』の歌詞に描いた物語を、どう具現化させるのかへ寄り添ったと言ったほうが正しいんじゃないかな。今回は両A面作ということから、『SACRED』と『クラクラ』それぞれのMVも制作。とくに『クラクラ』の映像では、イケメンな主人公が、どんどんとち狂って、最期には…という物語を作りあげたように、BYOの中へそのイメージがはっきりとあったことから、そこにも寄り添える楽曲としてアレンジをすれば、結果、サビでは歌を聞かせながらも…という求める形へ仕上げられたなと思っています。

――『SACRED』も『クラクラ』も、BYOさんが楽曲に刻み込んだ歌詞が、それぞれの楽曲をしっかり際立たせましたよね。
BYO  『SACRED』は、「KHRYST+の世界観が伝わるように」を重視しながら。『クラクラ』は、「病んでる」心模様へ重点を置いて綴った歌詞になっています。『クラクラ』は、歌物を求めたい意識があった曲。とはいえ、メロディアスなのはサビだけ(笑)。むしろ、そうアレンジしたことで、サビがより際立ったなという印象を与えられたのも良かったなと思ってる。

――IЯUさんは、『クラクラ』に関しては感じるままに演奏をしたと言ってましたよね。
IЯU  ベースのラインは、まさに思い浮かぶままに演奏をしたんですけど。そこへ至る前までに、QUINA自身から「この楽曲の印象はこうだから」という事前の注文が多かったように、そこを受け止めることに苦労した感じでしたね(笑)。
QUINA  IЯUとは長年やってきたせいか、彼の持ち味をわかっているからこそ、『クラクラ』で求めたいベースフレーズをいろいろお願いしたくて、言ってしまうんですよ(笑)。

――『贖罪』のC-TYPEには『LET'SING ALONG』を収録。歌詞の一節に「仔羊メエメエ」と記しましたよね。その言葉が強烈に胸へ刺さりました。
BYO  僕も、自分で書いておきながら「キテるなぁ」と思っていたくらい(笑)。ただし、そこの言葉にも意味があるといいますか。KHRYST+のファンクラブ名が「REDRUM」。つまり「赤い羊」という名前であることから、それで「仔羊」たちへ向けての言葉を持ったきたわけなんです。
JIN  楽曲を作ったのは僕ですけど。当初からドラムは打ち込みで作ろうという思いから、この曲で僕はドラムを叩いていません。実際にライブで『LET'SING ALONG』の演奏が始まったら、ドラム台を離れ、ステージ前へ出てきては煽ったり、コーラスをしたりと自由に動いています。そうしたのも、観る人たちにどう思われようが、とにかくいろんな人たちの視線を惹きたかったことから。結果、KHRYST+ファンたちへのアピールのみならず、初めてKHRYST+を見た人たちへも、いきなりドラムが前に出てきてパフォーマンスをすることで強烈な印象を与えることが出来たように、このアプローチを取ったことも、今は良い方向へ出ているなと感じていますからね。
IЯU  『LET'SING ALONG』は、ベースはもちろん、どのパートも演奏はシンプル。むしろそうすることで、激しいダンスビート的なアプローチを、より強烈に感じさせる楽曲にしていけたなと思ってる。
QUINA  個人的には、BYOのラップの後ろで流れるギターのタッピング奏法にも注目して欲しい。

――1stEP『贖罪』を作ったことで、より幅広い層へKHRYST+の魅力を伝えてゆく形を取れたんじゃないですか。
BYO  そうなんですけど。自分たちの中では、KHRYST+として求めたい世界観がもっとクリアに見えている。そこへ近づけるための最初のアプローチが今回の『贖罪』というシングルのように、これからもっともっと求めるイメージを具現化しながら、その世界観を共有してゆく仲間たちを増やしたいなと思ってる。
JIN  言ってもKHRYST+は新人バンドなんで、当初から自分たちの理想像と、それを具現化してゆくための技量の差を無くすまでは相応に経験の蓄積が必要なのはわかっていたこと。だからこそ、そこは焦ることなく。むしろ、活動1年目に関しては、そこの差異を埋めてゆく活動を軸にしていこうと思ってるし、そこをしっかり作りあげたうえで本格的に勝負をしていきたいので。
BYO  ただ、活動から半年間は比較的ゆったりとしたペースで進んできたぶん、11月の一周年に向けての後半は、もう少しアグレッシブに攻めようとは思ってる。
JIN  むしろ今は、もがいている姿も含めて活動を楽しんでいる時期。それに、最初から完成されているバンドなんて面白くないでしょ。だからこそ、その試行錯誤も見せながら進んでいきたいなと思ってて。
QUINA  ライブって、毎回の100%を求め、その場にいる人たちと一緒にその理想を求めてゆくことに面白さがある。しかも、その日その場の反応が与える影響に刺激を受け、僕ら自身も変化や成長もし続けていける。それを感じるたびに、「音楽で生きてるなぁ」とも実感出来ることなので。
IЯU   確かにね。今はまだ理想と現実の差で試行錯誤している段階だけど、そこを突き詰めてゆくことに面白さを感じている時期なのも事実。今の時代も見据えつつ、どうKHRYST+だからこその個性を描き出すべきなのか。このシーンで勝ち抜くためにも、そこはみんなシビアに捉えながら活動をしています。
BYO  1stEP『贖罪』を全国流通に乗せ、6月から全国を舞台にしたイベントツアーへ参加。6月と7月にはワンマン公演も控えているように、ようやくバンド本来の進み方が出来るようになったのが、今。これから本格的に攻めるためにも、まずは一度KHRYST+の音源やライブに。KHRYST+の世界観へ触れて欲しい。そこから、ふたたび始めようと思っているからこそね。
 

Interview:TOMONORI NAGASAWA