2019年12月25日水曜日

2020.1月号 REIGN


--ME」のミュージックビデオが解禁されていたこともあり、曲の製作は早い段階から始まっていたのかなと思ったのですが?
郁磨:曲作りは早かったんじゃないですかね。「ME」はTANOと龍史の合作なんですけど、どうだった?
龍史:もう、大モメですよ。結成6年目で1番モメたといってもいいぐらい。
郁磨:傍から見ていてもすごかったですから。

--それ、穏やかじゃないです(苦笑)
TANO:今のは盛りましたね()
郁磨:あはは()実際のところは、まずなんで合作になったかって言うと、元々TANOと龍史が作ってきた曲があって。それで、俺と和春が意見を乗せていったときに、それぞれの良い所をつまんでいこうってことになったんです。そうした流れの中で進行していったんですけど、これがなかなか難しくて。
--2曲を1つにまとめるわけですからね。その前に、今回の制作にあたって今のREIGNが打ち出したいことって何だったのですか?
郁磨:曲に関して単純に言うと、リード曲はメッセージ性のあるものが良いということで、メッセージにのっとるサビやメロディを理想としていましたね。そこを前提として曲作りを進行していったんですけど、曲が持つ勢いはそのままに、音で聴いた段階からライブが見えてくるようなものは大事にしていって。
TANO:ただ、曲自体は早めにできていたんですけどくっつけるのにちょっと時間がかかったんですよね。というのも、2曲ともタイプが違うものだったので削ることも必要でしたし。

--バランス調整が大変そうです。
TANO:まさにそこだったんですよ。でもどちらの意見も反映したかったので結果的には良い話し合いの下で進みましたね。

--TANOさんが最初に持ってきた曲というのは「ME」の中でどこら辺にあたるのです?
TANO:僕は主にサビを作ったんですけど雰囲気だけでいうと明るい感じだったんですよね。なので龍史が持ってきた曲のダークな雰囲気と上手い感じにあったのかなって。
龍史:テンポ感も似ていたし、キーも一緒だったからね。

--では龍史さんが自分の作ってきた曲で活かしたかった部分というと?
龍史:イントロからイケイケな感じで持ってきたので、そこを如何に音で表現するかっていうのはずっと考えていたところではありましたけどね。

--イントロの爆発力を始めサビまでの展開も秀逸ですし、これはほんと合作して良かったと思います。
龍史:結果オーライですよね。

--歌詞は郁磨さんが描かれていますが、ここではどのようなことを表現したいとおもったのですか?
郁磨:「ME」単体というより「ME」「sin」「Ray」という3つの収録曲がならんだときに、どの歌詞がどの曲にいっても成り立つという関係性で書いていきたかったんですよね。あと、今回は書き方を変えてみて。

--何かきっかけがあってそうしたのですか?
郁磨:ツイキャスをやるようになってお客さんの声を聞ける機会が増えたんですよね。それもあって今まで踏み込んでなかったような部分まで踏み込んで歌詞を書いてみようかなって思えたんです。年々ヴィジュアル系ファンが置かれている状況って変わってはいると思うんですけど今ある現状を自分なりに書いていったというか。まぁ、見ようによってはタブーをつついている感じではありますね。

--これまでは自分の気持ちを前面に出していた歌詞が多かった気がしますがこうしたタブーをつつくような歌詞もよいものですね。
郁磨:そういった書き方が今まで一切なかったわけじゃないんですけど、やっぱり今だからこそ書けたというところはありますよね。今のあなたたち=(イコール)ME、つまりは聴き手を表しているんですけど、その時その時で思ったことを切り取った言葉というのは、書き方が同じようでも伝え方は変わってくるんですよね。だからこの歌詞は今でないと出せなかったかなと思います。

--これらを踏まえ、和春さんが演奏面で意識したことというとなんだったのでしょうか?
和春:うーん何だろう。いつもと同じように今まで通りの感じで叩いたというのもあるし、この曲は選曲の時からわかりやすさというのが出ていたので、最初に感じた直感を大事にして叩いていったというのはありますね。あと、万人受けという意味ではなく、この曲は聴き手の幅を広げられるんじゃないかと思っているんです。なので、REIGNというバンド名は知っていても曲をまだ聴いた事がない人にこの曲が届けばいいなっていう気持ちはありますね。

--そして冒頭でも話題に挙げましたが、ミュージックビデオも今回は見所がたっぷりではないですか?
TANO:今回メイクチェンジを取り入れてみたんですよ。これは龍史の案で。
龍史:一番出したかったのは躍動感なんです。前に突き出していく感じが映像を通して出せればいいなと思ったので、そういう意味ではうまく表現できたんじゃないかなと思います。

--カップリングの「sin」は龍史さんの作品ですけどこれも早い段階から制作していたのですか?
龍史:この曲はデモの段階で締切が設けられていたんですけど、その前々日くらいにライブをしたときに、自分の中で思うようなライブが出来なかったんですね。もう少しこういう曲があったらメリハリがつくんだろうなって考えるところがあったのでそれを形にしていこうと思って2日くらいでバッと書きあげていきました。この曲だけじゃなく今のREIGNの流れでこういう曲が良いエッセンスになっていくんだろうなっていう上でいつも書き始めているのでこれもその一つかなと。

--そこを前提とした上で自分の聴きどころを挙げるとするならば?
龍史:正直、ベースをメインに曲を書くことってあまりないので、この曲に関して言うなら聴きどころは歌かなぁ。最後のサビの静かになって歌だけで入り始めるところがあるんですけど、そこが個人的には1番好きです。

--ライブで良い緊張感が生まれそうですよね。
龍史:空気というか流れを変えるにはちょうどいい曲なのかなとは思います。
郁磨:この曲は歌詞を書いているときにライブが見えましたね。演出しかり照明しかり、雰囲気全てにおいてこの空間を観てほしいなって。そういう見せ場のところではこういう言葉を使おうとかめっちゃ考えましたね。具体的に何が言いたかったのかというと「ME」と同じように、シングルタイトルに付けた「Hidden」の裏側を表していったんです。ここではパーソナルな部分、個人的に隠している何かというのを書いていて。それを出す方がいいのか、出さないほうがいいのか、そこを神秘的な雰囲気で包んでみました。

--そこまで想像して書いたからこそ、聴き手に伝わるものは大きそうですね?
郁磨:曲のタイトル、シングルタイトル、そして全ての歌詞をひっくるめて聴き手の何かというのを意識しているのでどれかしらマッチングするものはあるだろうし、より歌詞についても見てほしいなとは思いますね。

--TANOさんと和春さんは「sin」をライブで披露する際の絵というのは既に見えていますか?
TANO:そうですね。この曲、デモで上がってきてから結構変わったんですよ。その時も良かったんですけど、郁磨くんの歌録りが終わって完成したMIXを聴いたらより、良い曲だって感じましたね。だからライブで演奏するのも楽しみです。
和春:俺的には、そもそもこれ叩けないなっていう状態からはじまったんですよ()。だから今は良い意味で試行錯誤中です。でも、ここから見えてくるだろうなって自分で感じているので必死で練習していくのみって感じですね。

--もう一つのカップリング、「Ray」も龍史さんの作曲ですがこちらはどのようにしてできあがったのでしょう?
龍史:来年313日に大阪BIGCATでワンマンツアーのファイナルをやるんですけど、そこでライブをやるということをテーマに置いて書き始めていった曲ですね。デモの段階でメロやコード進行を色々と変えていってこの形に落ち着いたんですけど静と動をなるべく極端に表現したくて。それで、アコギからの激しいところがあったりして。そういう意味では物語も作りやすかったと思うので歌詞も書きやすかったんじゃないかと思います。

--盛りだくさんの展開ではありますがとても聴きやすく仕上がっていますよね?
龍史:作曲する自分の好みというのもあるんでしょうけど色々と盛り込んでいる割には飽きずに聴けると思います。あち、これもREIGNならではなんですけどヴォーカルとは別にゲストの女の子に台詞で参加してもらっているんです。そこも面白く聴けると思いますね。

--曲の冒頭からインパクトがあるのでこれはそのままライブでも再現してもらいたいなと。
龍史:そこは、郁磨次第じゃないですか。
郁磨:じゃあ女の子の声と男の声を両方使い分けて歌うしかないですよね()
TANO:でもこの曲は龍史っぽいですよね。だからこそ龍史はこういう音を求めているんだろうなっていうのを自分なりに考えて弾いたんです。これ、めちゃくちゃピッキングハーモニクスが入ってるんですよ。個人的に得意というのもあるのでふんだんに入れていきました。
龍史:良かったと思うよ。この曲、昔だったらベースはもっと暴れていたと思うんですよね()。でもベースらしいベースにしようと思ったので、音もそうだしフレーズも敢えて抑えているんです。ベーシストとしてちゃんと土台を支えることができたと思っています。
和春:僕、ライブではレコーディングと違うものを演奏することが多くて。だから、レコーディングが一番の試練という感じではあるんですよね。これは3曲の中でもいちばん頭を使ったんじゃないかな。テンポ感的にも勢いでいけないので、しっかりと縦を刻みながら裏でアクセントを取って叩くので頭の中がすごくこんがらがるんです。なので、これも練習あるのみですね。体にしっかりとリズムを入れていきたいと思います。

--先ほど龍史さんが歌詞は書きやすかったんじゃないかとおっしゃっていましたが歌詞を手掛けた郁磨さんとしてはその辺りはどうだったのです?
郁磨:書きやすかったですよ。メロディがあると言葉の制限というのがあるんですけど、この曲は台詞があるおかげでストーリー付けやすかったというのはありますね。曲が立体的だったからこそ情景が見えやすいというか

--ここでもメッセージ性が強く出ています。
郁磨:ただ「ME」よりも救いようがないというか。自分の性格上ポジティブな歌詞は得意なんですけど、ポジティブな部分だけに賛同してもらいたいわけではなくて。だからこそ今回はシングル全体を通して目の前にいる人を歌いたかった。だから、救いようがないのも人間らしいなと。まぁこの曲で救いがあるとしたら、「Ray」というタイトルですね。

--救いようがないと言いながらも、この曲は希望を感じるんですよね。そこは郁磨さんが聴き手のことをしっかりと考えて歌詞を書いているからなのかなと?
郁磨:僕としては自分を含めもっと人間を見たいなって思ってるんです。だからこの曲を聴いた人たちが私もそう思ってるって感じてくれたら嬉しいところはありますよね。さすがに6年も一緒にいたら分かりあえているる部分はあると信じたい。
龍史:今回は3曲とも多種多様なのでワンマンだけでなくイベントライブでも武器になるんじゃないかなと思います。

--来年1月からは6周年記念ワンマンツアーも始まります。3月のBIGCAT公演に向けて、今は気合い充分といった感じでしょうか?
郁磨:そうですね。金沢や岡山といった普段あまり行けない土地に行くのも楽しみだし、初日は僕の地元なんですよ。とはいえ自分を立ててもらおうなんて気はさらさらないですよ。初日に地元でライブできて嬉しいなってぐらいです()。でも今回のシングルは1つのライブを構成する軸となるはずなのでそれを引っ提げてツアーが廻れるというのはすごく楽しみだし、BIGCAT以降のことも念頭に置いてやっていくライブとなるので観る側としても楽しみにしておいてほしいですね。

Interview:ERI MIZUTANI

2019年11月25日月曜日

2019.12月号 ヴァージュ

──11月20日に最新作「私ノ悪イ癖/白昼夢」が発売されますが、タイプBに収録されている「海月」は既にライヴで披露されたそうですね。作品がまだ世に出ていないだけに、新曲初披露というのはさすがに緊張したのではないかなと思ったのですが?
遼:緊張はないですね。でも、初めて演奏した割にはすごくノッてくれたなぁと。
紫月:ファンの反応は良かったです。

──それだけに、楽曲の伸びしろも感じられたのでは?
遼:あぁ、そうですね。

──とりあえず、発売前に披露しているのは「海月」だけですか?
遼:あと、「白昼夢」もライヴでやってます。まだ2回しかやっていないんですけど、その間にフレーズが変わったんですよ。
紫月:この曲は今年6月のWEST単独公演で初披露したんですけど、そのときとフレーズはまったく違いますね。前のギターソロとか覚えてます?
氷龍:いや、覚えてない(笑)。
紫月:っていうぐらい変わったんですよ(笑)。

──短期間でそこまで変化を遂げるのはすごいですね。他にも「白昼夢」のように大きく変わった楽曲ってこれまでにありましたか?
遼:あると思います。リリース前にライヴでやった曲は、大抵変わるので。

──もしかして、変わることを前提として制作しているとか?
紫月:そう思っておくと楽かもしれないです(笑)。

──そもそも「私ノ悪イ癖/白昼夢」は、時期的にいつぐらいから制作を始めたのです?
遼:8月には出来ていたんですけど、1度全部なくしたんですよね。タイトル始め、翌月には最初から作り直していきました。初めは「鴉」という曲があったんですよ。それがある程度の形として出来ていたので、そのままメンバーに投げたんですけど、納得できなくて作り直したんです。それが結局、「私ノ悪イ癖」という曲に生まれ変わりました。

──ちなみに、「鴉」の行方は?
遼:もう捨てちゃいました(笑)。今まではストック曲は別に溜めていたんですけど、最近はリリースごとに曲を作るようにしてます。

──潔いですね。しかし、曲のタイトルだけでもかなり印象が変わってきませんか?
紫月:タイトルはおろか、曲自体もだいぶ変わりましたからね。とりあえず楽器隊としては、「鴉」のデモをもらっていたので、よし取りかかろうという段階ではあったんですけど、そのタイミングで遼からもっと良い曲が出来そうだって言われてストップがかかったんです。

──それはすごい。
遼:前持って作った曲でも納得がいかなかったら出さないし、ギリギリで出来た曲でも納得がいくならそっちを優先したいなと思ってるんです。なので、今回は曲を作ってはいたけれど、それよりも納得のいく曲が出来たという感じなんです。

──元々あった楽曲を上回る“何か”があったからメンバーにストップをかけたと思うのですが、その“何か”が遼さんの中には明確に見えていたのでしょうね?
遼:そうですね、普段歌詞は曲ができて1番最後に書くんだけど今回は歌詞も既に書いていたので。でも、そこからサクッと制作が進んでいったわけではないんです。この後もかなり時間をかけて練っていきました。
紫月:けど、変更して正解だったと思いますよ。絶対、最初のときよりもこっちの方がかっこいいので。

──モチベーションとしては、最初の段階から変わることはありませんでしたか?
紫月:そうですね。前回、アルバムを作ったんですけど、そのときよりかは効率良く作業していこうっていうのは、最初に遼が曲を持ってきた時点で言ってました。

──その上で、遼さんからメンバーに投げかけた注文は?
遼:「私ノ悪イ癖」と、Aタイプに収録されている「籠女」に関しては、デモに忠実な感じで弾いてくれとは言いましたね。逆に、「海月」はメンバーに投げました。

──そこで初めて、ギター隊とリズム隊による話し合いが?
紫月:話し合いというか、「私ノ悪イ癖」はデモそのままっていう感じでしたよね。
氷龍:今回リード曲が2曲あって、「私ノ悪イ癖」は割とまんまでした。
紫月:もう1曲の「白昼夢」は、ツインギターらしいフレーズばかりですね。
氷龍:今回は2曲に限らず他の曲でも学んだことや気付けたことが多かったです。曲ごとに、こういう感じかなっていうのは事前に自分の中で考えてはいたんですけど、あとはもう自然にやりたいことを詰めていったというか。

──ギター隊はお互いに、バランスがうまい具合に出せたのではないですか?
氷龍:僕は今年加入した身ですけど、お互いに信頼している部分があるなというのはレコーディングを通して実感しました。ここは任してみようとか、こっちは僕が考えてみようとか。そういう意味では、これからツインギターとしてもっとよくなるのかなとは思いますね。

──リズム隊はレコーディングを振り返ってみていかがですか?
或:ドラムに関して言えば、今までと違うリズムノリを出すというのが課題で。それを考えながらやっていったので、いつもよりも頭を使いましたね。それこそ、レコーディング当日まで寝ずに考えるっていうぐらいだったんですよ。

──その課題というのは、自分で決めたことですか?
或:遼くんと一緒に話していたんですけど、バンドのノリですかね。今までよりも良い方向にいくためにっていうのを考えた結果、そうした課題が出てきて。ただ、今回は自分が思っていたところまでは到達はしなかったので、そこはまた次回作に活かせていけたらなと思います。

──新作を出すごとに挑戦していくと。
或:そうですね。やっぱり今までどおりでいるよりかは、毎回変えていかないとなっていうのは自分でも思うので、そこは大事にしていきたいですよね。けど、今回のレコーディングを通して色々と見えたので、すごく良い期間だったなと思います。
憂璃:「私ノ悪イ癖」に関しては、遼くんからこういう感じの雰囲気のドラムになるっていうのは最初から聞いていたんです。その後で実際の録り音を聴かせてもらったんですけど、ノリとフレージングが初めてやるような感じだったので、こういう感じなんだなって納得しましたね。

──憂璃さんも遼さんと何回か話し合いはしましたか?
憂璃:「私ノ悪イ癖」のサビ部分のベースは、遼くんとかなりディスカッションしました。ただ、それを投げるまでに結構時間がかかったんですよね。作ってはバラしてっていうのを3回は繰り返しました。

──それはかなり大変ではないですか?
憂璃:他の曲はスムーズだったんですけどね。この曲のサビに関しては、作ってはみたものの何か違うなって思ってバラしてしまったんです。でも、結果的に、出来上がったものを遼くんに聴いてもらったら、これいいねって言ってもらえたのですごく嬉しかったですね。

──サビ部分、聴き所ですね。
憂璃:はい。他の曲も違ったベクトルでレコーディングできたので良かったです。「海月」はいつもよりワイドなベースを弾こうとか、「籠女」は下で支える感じで弾こうとか。そうやって変化を持たせたことで、自分の色を出せていけたらなという感じはありましたね。1音1音、新しいことをやろうという意識は常にあるので、今回の作品でも違うところに手を出せたのかなとは思います。

──各々、良い課題の下で制作が出来ましたね。それだけに、聴いていて4曲全てがリード曲のような満足感があります。ところで、歌詞も4曲そろって表現方法が異なりますが、今回歌詞を書く上で遼さんが意識したことは何でしたか?
遼:うーん、そんなに意識はしてないですね。自然と書いたというか。
紫月:その割にはエグいものもありますけどね(笑)。
遼 : エグいんですけどエグいとかグロいって所に重点を置いたわけじゃなくて。いろんな愛し方があると思うんですけど、はたから見れば異常でもこれはこの曲の主人公達なりの愛し方なだけであって。相手が何かを失っていく分、自分もそれと同等なものを自らの手で失っていく。相手と1つになりたかっただけです。

──なるほどですね。それにしても、音源でこれだけ完成度が高いと今後のライヴでどうなっていくのだろうと気になりますが?
遼:僕、セットリストは結構そのときの気分で決めているんですよね。その方が余計な事を考えずにライブができるんで。
或:気分でやりたい曲をやるっていうのもだいぶ慣れましたけど(笑)。

──ということは、この取材をしているのは作品の発売前ですけど、発売後に小出しにして演奏するのではなく、一気にやってしまう可能性があるかも?
遼:やってしまうかもだしやらないかもだし分からないですね。

──ライヴ、1本たりとも見逃せないですね。
紫月:まさにそうです(笑)。

──年末もかなりの本数でライヴスケジュール入ってますよね?
紫月:そうなんです。12月はめちゃくちゃ予定入ってますね。なので、イベントツアーに対しては、1番を取るつもりでやっていかないとなっていう気持ちではいます。

──12月19日には、或さんの生誕主催ライヴもありますからね。
或:そうなんですよ、バンドやってきて初めてです。だからといって、みんなが自分の言うことを聞いてくれるかどうかは分からないです(笑)。

──では、最後に。来年はどのような年にしていこうと考えていますか?
紫月:もっと躍進したいですね。今年、初めてのフルアルバムを作ったんですけど、レコーディングが終わった後もっとこうしたいって思えたので、機会があればまたアルバムは作りたいなって思います。
遼:あと今年はやっぱり、最初にWESTで単独公演をやったことが大きかったんですよね。そこでのライヴを経たことで自分自身もっと成長していかないといけないって思ったし、バンドのことも良い意味で広く考えられるようになったんです。その分、メンバーで話し合うことも増えて。だからこそ、バンドの一体感を強化して来年は更に良くしていきたいですね。メンバー全員が同じ方向を見なきゃいけないけど、人間が5人もいるから斜め上にズレてしまったりすることももちろんあるわけで。しっかり固めていきたいですね。
或:バンドとしてこうしていきたいっていうのが今後はより明確になると思います。

──来年2月には遼さんの生誕を兼ねた単独公演も控えているので、ヴァージュの進化を期待してますよ。
氷龍:目標としては、目の前のことをしっかりと見るっていう感じですかね。もちろん、僕としては先のことも見とるんですけど、先を見つつ、良いバンドになる為にもライヴ1本1本をしっかりとやる。その積み重ねによって来年も良くなるんちゃうかなと思っているので、とりあえず今を良くしていこうかなと思います。
憂璃:みんなと同じように、バンド単位でもっと良くなっていきたいです。あと、個人的には、変わりたいなって。成長うんぬんの話というよりかは、人として変わりたいっていう気持ちが自分の中にあるので、殻を破りたいなっていう課題はありますね。そこからまた、バンドを良くするという目標に向けて拍車をかけていけたらなと思っています。

Interview:ERI MIZUTANI

2019年10月25日金曜日

2019.11月号 SCAPEGOAT

──ニュー・シングル「月光」は、11月9日に行われるWESTワンマン「今夜、月が綺麗ですね」を念頭に置いて制作されていったのですか?
春:いつもは先に発売日とか諸々決めてしまうんですけど、これに関しては秋ぐらいにシングルを出そうかという感じだったんですよね。「ラブカ」と「縁」は再始動前からこの辺かなという感じで発売日を考えていたんですけど、その後にWESTでワンマンをやることが決まって。それでWEST後にシングルを出すか、その前に出すかっていうのは結構悩みましたね。最終的にWESTに向けてシングルを出そうということになり、「月光」を作りました。

──前作「縁」が和風な感じだったので、今回もその流れを汲んでくるのかと思いきや、良い具合に裏切ってくれましたね。
春:今年は新曲をいっぱい出したいという思いがまずあって。その上でシングル曲は似かよったものにしたくなかったので、いつもとは違う挑戦をしていこうとは考えていましたね。

──最近ではSayulaさんが作曲したものが多かっただけに、新作は全て春さんが作詞・作曲を担当されているのも新鮮でした。
Sayula:そろそろ曲を出した方がいいかなと思ったときに、春が作るという話になったんです。やっぱり、SCAPEGOATの強みはみんなが曲を作れるというところなので、今回も自然とみんなのやりたいことを打ち出せたんじゃないかなと思います。

──リード曲の「月光」ですが、これほどまでに直球のラブバラードは今までなかったのでは?
春:そうですね、こういうテイストの曲は書いたことがないです。

──なぜ、こういったテイストの曲を今書こうと思ったのですか?
春:どこかのタイミングでこういう曲があればバンドにとって強みになると思ったんです。そのタイミングが今だったという感じですね。やっぱり、僕らにとってWESTって思い入れが強いんですよ。そういう意味合いでも、この曲を今出すことが結果的に良くなればいいなって。

──そうでしたか。そこに加えて、「月光」を作ろうと思った経緯の1つに、Uさんが加入したことも大きいような気がしますが?
春:そうですね。Uが入っていなかったらライヴも会場もWESTとは違っていたかもしれないです。あと、今年はバンドとして1から再スタートという気持ちもあったので、そういう部分では大きいかもしれないですね。

──ちなみに、この曲をメンバーに聴かせたときの反応は?
春:初めは、デモ中のデモって状態のものを3人に聴かせたんですよね。当然、歌詞は乗っていないし、ギターとメロディしかないっていう。

──曲の鍵となっている鍵盤の音もなく?
春:入っていなかったです。なので、ほぼ弾き語りというか。でも、このテイストでアレンジをメンバーに任せたらどうなるんだろうって楽しみではあったんですよ。今までは、ある程度形の見えるデモをSayulaが作ってくれていたので、そうではない場合にどう進化していくのかっていうのは挑戦でもありましたね。

──その後で、LAYHAさんはどのようにアレンジしていこうと考えました?
LAYHA:普段のデモはメロがないこともあるので、この曲はメロがある分大丈夫だなっていう感じでしたけど、弾き語り感が強かったのでコードが解りづらかったんですよね。でも、意外とすんなりできましたよ。やりたいことは良い感じに全部乗せられたと思ってます。

──昔と比べて、バラード曲に対する意識は変わってきましたか?
LAYHA:ベースで持っていこうという意識に変わってきたかもしれないです。昔は、ベースは支えに徹するのがかっこいいと思っていたんですけど、そうあるべきって決めなくてもいいのかなって。

──だからこそ、この曲の中でもベースの音がしっかりと主張しているんですね。
LAYHA:そうですね(笑)。音色とかも丸い音にはしたくなかったので聴こえやすいようになっています。

──Uさんはいかがですか、「月光」に関しては?
春:そもそも、ドラムの音をデモには入れてなかったんですよ。というのも、さっき言ったように、こういうテイストの曲を持ってきたときにUがどれぐらいできるのかっていうのを見たかったので、とりあえず丸投げしました。

──そんな段階を経ていたとは。元々、Uさんはバラード曲って得意分野でしたか?
U:叩く分には好きなんですよ、バラード。ただ、じゃあやってみてっていきなり言われるとダメですね(笑)。

──そう思うと、難しい課題が出ましたね。
U:それで、こうかな?っていう感じでざっくりと叩いていき、そこから色々と組み立てていったんです。
春:その後、僕もギターを弾きながら調整していって。なので、一緒に作っていった感じですね。結果的にすごく良い仕上がりになったと思います。

──力量を問われた楽曲でもありましたね。そこは、Sayulaさんも同じでしたか?
Sayula:初めにデモができた時点では、僕は曲に対して何も言わなかったんです。例えば、ビートから構築してしまうと僕がいつも作ってくる曲っぽくなってしまうというか。なので、敢えて何も言わない方が新しく仕上がると思ったので、ベース録りの段階で自分の音を考えていったという感じですね。あと、そのときに乗っていたドラムの音がすごく良かったんですよ。それにより、ギターも無機質になるのではなく温かみのある感じを出せたらいいなと。まぁ、デモからはだいぶイメージが変わっていたこともあって、リズム隊うまいなって思いましたね(笑)。あとは、普段、激しく音を詰め込んでいる分、抜いていくのも楽しかったです。

──途中経過の段階で曲のイメージが変わってきたとのことなので、こうして完成してみると更に印象が違ってくるのでは?
Sayula:大人っぽい曲だなって思いました。これがきっと昔だったら、ヴォーカルを邪魔していこうといわんばかりに音を詰め込んでいたと思うんですよ(笑)。でも、今はほどよく肩の力が抜けているおかげでヴォーカルを際立たせることができたと思います。
春:この曲はキーが高くて苦戦した部分もあったんですけど、比較的スムーズに歌録りはできました。

──ちなみに、歌詞に《今夜、月が綺麗です》という言葉が出てきますが、これは“I LOVE YOU”の比喩表現として使っていると解釈していいですか?
春:もちろん、そういう意味合いも込めています。でも、ただのラブソングだったら月じゃなくても良い気がするんですよ。どちらかというと太陽の方が似合うかもしれない。けど、うちらとファンということで言えば、暗闇を照らしてくれるイメージでお互いが存在すればいいなと思っているので、ただのラブソングとして聴くというよりは、それぞれに何が大事かっていうところに置き換えて聴いてほしいという思いはありますね。

──良い曲に仕上りましたね。そして、今回もカップリング曲はバラエティに富んでいます。
春:3曲目の「マスク」に関しては、ちょっと温めていた部分はありました。ただ、イメージはあったんですけど、それをどうしたらうまく形にできるかっていうのは、結構前から考えていたところではあったんですよね。当初は、明るい曲調にダークな言葉を乗せようと思っていたんですけど、最終的には雰囲気系の曲に仕上りました。これはほんと、なるようにしてなった曲だと思います。あと2曲目の「凡人白書」は、俺の中では最初、この曲のサビはもっとかっこよくしようと思っていたんです。簡単に言うと、もっとロックっぽいというか。でも、最終的に仕上った形の方がSCAPEGOATらしいなって。こういう曲はライヴでも映えそうだし、良いかなと思います。

──音源リリース前ですけど、ライヴでどのように見せていきたいとか、既に具体案は練っているんですか?
LAYHA:今日さっそくライヴでやります。新衣装に変わるタイミングというのもあって、「凡人白書」だけ先に解禁しようかなって(笑)。
春:音源はまだ出ていないんですけど、やっぱり新衣装に着替えると新曲やりたくなってくるんですよね。
Sayula:それで、とりあえずカップリングから小出しにしてみようかと(笑)。

──それは嬉しいですね。
春:どんな風になるか、自分たちとしても楽しみなところはあります。
Sayula:何か余裕ない顔してない?
U:いや、全然余裕っすよ(笑)。

──むしろ、3人を引っ張っていくぞ!ぐらいの気持ちですか。
U:そうですね、ドラマーなんで。
春:でも、この曲はドラムが1番大変だと思うんですよ。まぁ、最初に考えていたものからテンポを15ぐらい上げたり、大変にさせた部分はあるんですけど(笑)。

──そうなってくると、ライヴではもっとテンポが上がってしまうのではないですか?
U:体感的にってことですよね。あぁ、そうかもしれないです。でも、とりあえず今日が初披露なんでどうなるのかなっていう感じではあるんですけど(笑)。

──「月光」と「マスク」の披露は先になるとはいえ、やはり新曲をライヴで初めて演奏するときは緊張するものですか?
LAYHA:俺はまったくしないですね。何か、まだ音源をリリースしていないじゃないですか。だから、正解を俺しか知らないので、どう弾いたとしても俺が正解だろうと。

──なるほど(笑)。
Sayula:でも、その瞬間に込めるという気持ちは大事にして弾いていきたいですね。あとは、聴いてくれるオーディエンスと一緒で、曲を楽しみたい。

──とにもかくにも、3曲ともライヴでより良くなると思うので期待しています。これからの予定として、イベント・ライヴはもちろんのこと、大切なのは11月9日に行われるWESTワンマンですよね?
春:そうですね。WESTでは新曲もすべて披露できると思います。それまではツアーも多くあるんですけど、1つのイベント・ツアーではなく別々のものになっているので、すごく戦い甲斐があるなと。なので、ワンマンに向けてすごく良い流れが作れると思うし、その上で来年はどう攻めていこうかと今から考えているところはあります。
Sayula:ライヴが多い方がSCAPEGOATにとって良い感じがするんですよね。あとはやっぱり、Uが入ったっていうのはすごく大きくて。そのおかげで、良い曲ができると早く出したいっていう気持ちが強いので、これからも作品はどんどん出していきたいなと。
春:その為にもWESTは成功させたいですよね。ここ最近、WESTでワンマンをやることの価値っていうのは昔に比べて下がっているような気がするんです。周りからの見え方的にヴィジュアル系シーンにいれば誰でもできると思われているかもしれないけど、僕らにとってWESTは昔から変わらず大舞台なんですよね。だから、この日も重きを置いてやっていきたいなと。確実に、これまでやってきたWESTより良いものが見せられると思うので楽しみにしていて下さい。

Interview:ERI MIZUTANI

2019年9月25日水曜日

2019.10月号 R指定

──新作を作るにあたり、マモさんの中ではどのようなテーマを掲げたのでしょう?
マモ:『日本八十八箇所巡礼』のときに、ツアーのテーマソング的な感じで「八十八箇所巡礼」っていう曲を出したんですけど、今回も同じように自分たちの背中を押せるようなテーマ曲がほしいなと思って。やっぱり、47都道府県ツアーって楽しいだけじゃなくて辛いこともあると思うんですよ。なので、オープニングテーマみたいなものが欲しいなと思ったんですよね。

──壮大なオープニングテーマができあがりましたね。「最高潮」や「最高点」という意味を持つ「CLIMAX」、すなわち、R指定の現在が最高潮だと受け取っていいですか?
マモ:まぁ、バンドとしては。

──個人的には?
Z:つねに最高潮です(笑)。

──楽曲を聴いて思ったのは、とても前向きだなと。
マモ:そうですね。今まで作ってきたシングルの中でも1番前向きな言葉かなっていう感じがしますね。何か簡単に言えば、アニメのオープニングとかって人の背中を押すような曲が多いじゃないですか。敢えて自分たちもそういうものを作ってみたいなって。

──R指定だと、普通の楽曲でも“敢えて”という表現になるところが面白いですね。あと、ツアーのオープニングテーマとして作ったということは、毎公演ごとに必須となりそうですか?
マモ:基本的には、1曲目にやりたいなとは思ってます。

──だいぶ明るいタッチの曲調になっていますけど、楽器陣にはどのようなことを意識して演奏してもらいたかったのでしょう?
マモ:そんなにごちゃっとせずに、割りとデモのままで演奏してほしいっていうことは言ったかもしれないです。

──ドラムはいつもと変わらず手数が多い気がします。
マモ:俺が作ったデモはもっと簡単だったんですよ。でも、そこから更にパワーアップした感じがしますね。
宏崇:確かに自分で増やしたんですけど、増やしてみて何てことをしたんだろうって。だから、ライヴは減らそうかなって。

──音源とライヴは別物だと?
宏崇:そうですね。音源は音源、ライヴはライヴ、っていう考えではいるんですけど、何かライヴで全部同じにする必要もないかなって。ただ、減らしたところで多いんですけどね(笑)。でも、この曲は歌モノなんでバック自体は結構抜いている感じなんですよ。最初はバスドラのパターンも難しいの作ってたんですけど、シンプルな方がいいと言われたのでシンプルになりました。

──いつも以上に自信作に仕上がったと思うのですが?
宏崇:この曲、R指定の中で1番好きですね。叩いていても面白いし、曲的にも歌詞的にも良いかなって。何か、歌詞はどこの部分がっていうよりも、全体的に身近に感じられるというか。例えば、《寂れた町のライヴハウス》もそうだし、地名が出てくるところとかも。これまでも地名が出てくる曲はあったんですけど、この曲はR指定の今までの歴史が入っているなって。

──メンバーそれぞれに共感できる歌詞ではありますよね?
楓:《高田馬場のライヴハウス》って歌詞が出てくるんですけど、高田馬場AREAは地方バンドマンにとって登竜門っていうイメージがあったので、初めてここでやれることが決まったときはすごいとこでライヴできるようになるぞっていう気持ちがありましたね。普通、歌詞に地名を入れるとダサくなりがちだけど、こうして聴いていて説得力が出せるっていうのは、マモっていう人が書いたっていうのはデカいなって思いますね。
マモ:悩んだんですけどね、高田馬場って地名を出すの。歌詞的には新宿や渋谷を持ってきた方が綺麗に聴こえるじゃないですか。
楓:まぁ、シュッとしたイメージの新宿や渋谷と違って、ぼってりしている感じはあるよね高田馬場って(笑)。
マモ:でも、入れた方が曲として説得力が増すかなと思って入れたんですよね。この部分しかり、R指定の時系列をたどって今の自分らの等身大を描いたので、俺だけじゃなくてメンバー全員が共感できる歌詞になったかなとは思います。

──七星さんから見て、「CLIMAX」はいかがでしょう?
七星:歴史をたどっているような感じだなと。

──では、この曲のレコーディングで挑戦したことはありましたか?
七星:挑戦したというか、10年間でやってきたアレンジを散りばめたっていう感じですかね。

──R指定の10年間、いわゆる集大成的なところを曲に盛り込もうと思ったのは、この曲でなくても考えていたことですか?
七星:いや、この曲だったからこそですね。「CLIMAX」っていうタイトルは先に決まっていたので。

──なるほど。特に気に入っているセクションなどは?
七星:どこかなぁ。全体的に気に入ってはいるんですけど、ギターソロ前のベースフレーズがうまくハマッたなと思って嬉しかったです。

──ギター陣は演奏に関していかがです?
楓:デモを聴いたときから古き良き感じがしたんですよ。リズムにベタベタな感じってR指定にはあまりないのでパワーコードで演奏してもいいんですけど、それだと自分的に面白くないなと感じたので、ちょっとお洒落なやつに変えていったんですよね。あとは、最後サビの前のセクションのとこで単純なアルペジオ、クリーンとかやってるんですけど、弾いていてこれ大好きだなって。あの頃の俺、こういうの大好きやったって(笑)。

──楓さんなりに古い良き感じを表現していると。とはいえ、昔のヴィジュアル系っぽさを全面に押し出しているわけでもなく。
楓:それこそ、オケと歌詞のバランスもあると思うんですよ。これが暗黒の内容を歌っている歌詞だったとしたら昔っぽい曲になってしまうだろうし。そう考えると、歌詞しかり、オケもアレンジも含めて変わってくるなって。

──だからこそ、さじ加減が大切になってくるのでは。ギター陣はお互いにバランスを考えて制作しているなと感じます。
楓:でも、この曲はやっていて自然とテンション上がりましたよ。ライヴもそうですけど、やっぱり弾いていて楽しさが感じられないと俺である必要がないし。そこはどの楽器もそうでしょうけど。

──確かにそうですよね。対して、Zさんはどのようなことを意識して弾いていきました?
Z:曲のテンポが小気味良いので、これはアグレッシブにやりました。あとは、サビとかもリズムに合わせていて結構ガチガチなので細かくしすぎたなと思うんですけど、重たくするところと軽くするところを頑張って弾き分けた感じがこの曲にはありますね。

──結果としてこのような楽曲がリード曲になりましたけど、Zさんの中では最初にどのようなことを思い浮かべながら制作にあたっていったのです?
Z:今回は、曲作りを始め、結構気楽にやっていたんですよね。それもあって、自分としては訳の分からない曲も作っていて。それをマモにめっちゃ送ってました(笑)。まぁ、楽しんでやっていきましたね。

──今作でラフな様子が出ていたのは、そういうところも関係しているのでしょうか。ところで、その最初に作っていた曲はどこへ?
Z:いやぁ、それはもう抹消ですね。あれは完全に遊びながら作っていたところはあるので(笑)。けど、こうして「CLIMAX」がリードに来たことによって、シングルに相応しい曲になったなと思います。

──バンドにとって10周年という節目の作品でもあるだけに、このシングルが出来上がるまでは難しさもあったと思いますが、アー写を始め、内容がとても良くなりましたね。
マモ:10年じゃなければこういう曲も作らなかっただろうし、こうした歌詞も書かなかっただろうし。そう思うと新鮮な気持ちでやれたかなと思います。

──カップリング曲の「アビスカルマ」は七星さんの作曲ですけど、どのような感じで完成させていったのでしょう?
七星:そもそも、この曲自体、「フラッシュバック」のときに作っていたもので。そこから、今回収録するために内容を詰めていったという感じですかね。とにかく間奏部分とか長いですよね。

──七星さんの作る曲はインストゥルメンタルが多い印象なので、とくに違和感はありませんでしたよ。それよりも、起承転結がちゃんとある曲だなと。
七星:まぁ、そうですね。普段インストを作っているので起承転結とかは意識してるので、この曲もそんな感じじゃないですか。
マモ:七星は他にも曲を持ってきてくれたんですけど、メロディがちゃんとしていて「CLIMAX」とちょっとかぶっているなと感じたんですよね。
七星:そう、明るくて。
マモ:なので、敢えてこっちの曲を選んだというところはありますね。

──歌詞に関しては、マモさんに何かこだわりを伝えて?
七星:いや、何も言っていないです。
マモ:インスピレーションでパッと書けましたけどね。でも、歌が主役というよりかはバックサウンドがすごくかっこいいので、本来歌が入るだろうなっていう部分も結構減らしていってコンパクトにまとめた感じにはしたんですけど。それと、シングルとしてのバランスも考えたので、「CLIMAX」と同じような歌詞にしても面白くないなって。
七星:この曲、最初の仮タイトルが「デスドライブ」だったんですよ。でも、「CLIMAX」「デスドライブ」と来て、「人生謳歌」って。何か、死ににツアー行くんじゃないかって感じじゃないですか(笑)。
楓:ただの走り屋(笑)。

──これまでの思い出が走馬灯のように(笑)。
マモ:なので、この曲は「アビスカルマ」で決定です。
七星:タイトルが変化したことによって、すごく深くなったなと。

──「人生謳歌」は宏崇さん作曲ですが、これも前から温めていた曲ですか?
宏崇:リードのフレーズは前からあったかな。でも、今回のシングルのために2、3日で作った曲なんですよ。曲って、出てくるときはすぐに出てくるんですよね。
マモ:メロとかはほとんど宏崇が考えたものを採用して。だから、メロディの流れは原曲どおりって感じです。あと、サビとかは全員で歌っているイメージっていうのは聞いていたので、それっぽい言葉を選んで歌詞は書いていきましたね。
宏崇:音源だとみんなの声はあんまり聴こえないかもしれないけど、最初はあんまりにも青春しすぎていて。
マモ:あぁ、青春パンクっぽかった(笑)。
宏崇:およそ、ヴィジュアル系とは何も関係ないっていうバンドらしさが出ていたし(笑)。
楓:でも、こんなに長いことコーラスを歌ったのは初めてですよ。
Z:うん。初めてじゃないですか。
七星:全然終わらんかったもん(笑)。
Z:ズレてるところもあるよね(笑)。

──楽しそうです。
マモ:この曲の歌詞はいつも書いている感じに近いのかな。

──R指定らしさが出ていますよね。ただ、いつもとは少し違う要素も見られます。
マモ:あぁ、それは何ででしょうね。宏崇の影がどこかでちらついていたのかもしれない。
Z:宏崇の人生がのし掛かってる(笑)。
宏崇:深くないメンヘラっていう(笑)。
楓:でも、この曲は哀愁がありますよね。

──聴いていてじんわりときます。これもライヴで人気曲になると思いますよ。
宏崇:やってみないとわからないですけど、パッと聴いてわかりやすい曲なのでライヴでも良い感じになればいいですよね。

──この記事が載る頃には、十周年記念47都道府県単独公演ツアー『CLIMAX47』が始まっています。最初は、「CLIMAX」の歌詞にも登場した《高田馬場のライヴハウス》こと、高田馬場AREAにて『CLIMAX“0”MiOKURi』がありますね?
マモ:もともとは、さいたま公演が初日だったんですけど、やっぱり出発はAREAがいいなって。なので、結構むりくりに決めた感じではあるんですけど、初日の0とお見送りの0をかけて『CLIMAX“0”MiOKURi』というタイトルにしたんです。ファンのみんなも「いってらっしゃい」と言えるようなライヴにしたいなと。

──自信を持って全国に送り出せることでしょう。そして、ここから長い戦いが始まります。
Z:前にやった88ツアーは、日本を2周したので気持ちもブレちゃったんですよね。でも、今回は47ツアーなのでこの1周に気持ちを集中させて、その集大成をファイナルの両国で見せたいです。いつもと変わらずにまずは動きで魅せたいので、そういうところもこのツアーで磨けたらいいなと。

──七星さんの目標は?
七星:1本1本、消化にならないようにというか、ライヴをやったらその都度反省していくっていう作業をちゃんとやれば良いツアーになるんじゃないかなって思ってます。

──宏崇さんが楽しみにしている場所はありますか?
宏崇:富山。としおがいるから。としおっていうスキンへッドの店長がいるんですよ。ライヴ中もずっとノリノリでヘドバンしてるんですよね。それを見るとこっちもテンション上がるんですよ(笑)。逆に、警戒してるのは沖縄ですね。88のときに沖縄で肺に穴が開いたので(苦笑)。でも、88ぶりに行く場所もあるので楽しみです。

──楓さんも楽しみな場所ってあります?
楓:前回の『フラッシュバック』公演のときに俺は秋田を選出したんですけど、1日の空気感とか自分のテンション含めて秋田はすごく良くて。なので今回も秋田公演は単純に楽しみだし、あとはハコ的に神戸VARIT.かな。他にもご当地ならではのものがたくさんあるので楽しみな部分は結構ありますよ。それと、突発的に始まる即興ソングを今回もやることになるのか?とか(笑)。意外とそのとき歌った曲を覚えてくれているファンの子はいるので、今回も1本1本大事にしながらライヴ廻りたいと思います。

──それらを踏まえて、マモさんはどのようなライヴを見せたいと現段階で考えていますか?
マモ:やっぱり、プレッシャーは88のときよりあるんですよ、各地1本しかないので。でも、自分たちが悪かった場合はそれをちゃんと認めてから次に繋げたいし、1本1本、全力でやれたらなって思います。

Interview:ERI MIZUTANI

2019年8月25日日曜日

2019.9月号 雨や雨



――初の流通音源となるフルアルバム『切り雨』の完成、おめでとうございます。
Hitomi:フルアルバムにできるくらい楽曲も増えていたし、せっかくなら流通してみようかなと。
おおくぼけい:そうですね。結果的に、約1年の制作期間を経て完成しました。

――今作は歌とピアノという基本形態に加え、豪華なゲストミュージシャンの方々も参加されていますね。
Hitomi:ギターにyuya(Develop One’s Faculties)、チェロに青月泰山さん、ドラムに上田樹(ex.CLØUD)が参加してくれました。

――幅広い楽曲が揃った彩り豊かな作品、という印象を受けました。
おおくぼけい:フルアルバムは、彩りがあったほうが飽きないと思うんです。ライヴでもピアノと歌だけで演奏する形が基本なので、楽曲で色々な表現ができていないと、1時間~2時間の演奏を飽きずに聴いてもらうことが難しいじゃないですか?そのためにも、楽曲にバリエーションが必要だなと。

――確かに。レコーディングはいかがでしたか?
Hitomi:『キカ』のキーがとにかく高くて、歌録りが大変でした(苦笑)。ここまで声を張って歌ったことは無かったし、新しいチャレンジになりましたけど、ライヴで再現するのはキツイですね(笑)。
おおくぼけい:ライヴでは、少し(キーを)下げる方向で考えましょう(笑)。
Hitomi:『キカ』は唯一、この音源でのアレンジが先行で制作された楽曲なので、まだライヴで演奏したことが無いんですよ。ピアノと歌でやる場合のアレンジは、これから考えていきます。
おおくぼけい:『キカ』以外の楽曲に関しては、基本形態の2人で演奏する形が先にできあがっていたので、ゲストが加わるにあたってアレンジを変化させました。
Hitomi:例えば『Rainy Sunday』の原曲はわりとバラード調なので、そのバージョンで演奏したライヴに来てくれていた人達は、想像していた形と全く違う仕上がりで収録されていることに驚くんじゃないかな。

――かなり明るいアレンジになりましたね。
Hitomi:うん。だけど、歌詞は原曲の曲調に合わせて書いたものだから、結構暗めという・・・。

――実は、そのギャップが非常に気になっていました(笑)。
Hitomi:そういう理由で生まれたギャップでした(笑)。それもまた面白いから良いんじゃないかな。

――作品全体を通して人間以外の視点からの歌詞が多いですが、意図的に増やされたのでしょうか?
Hitomi:意図的にではなく、自然とそうなりましたね。歌詞を書く時は曲から受けるイメージが凄く大事だけれど、ピアノと歌だけというのは、バンドサウンドの時とは全く別物のイメージを受けやすい。俺が人間以外の視点で歌詞を書く時は、他の生き物の視点を客観的に見たイメージではなく、あくまでも“その生き物からの視点のイメージ”を最初に作るんです。それから、“その視点の持ち主がどんな生き物なのか”を考える。例えば、『想いベタ』の主人公は金魚蜂のような水槽に入ったベタという魚で、水槽からその部屋に住む女の子の様子を眺めている。だから、歌詞を書き始めて最初に浮かんでくるのは女の子のイメージですね。それから“女の子を見ているものは何なのか?”と考えて、“ベタが良いんじゃないかな?”と浮かぶ。順序的には、“主人公が人間ではなく何なのか”ということを後から決めていることが多いです。

――どんな生き物からの視点でも、主人公の思考が常にHitomiイズムなのが流石だなと思いました。
Hitomi:長く音楽をやっていると、段々と歌詞に書きたいことが無くなってくると思うんです。“自分はこれが伝えたいんだ!”というメッセージ性みたいなものは、わりと初期の頃に消費してしまうから。そこで無理をして、“こういうことも言ってみよう”“ああいうことも言ってみよう”と書いた結果、作詞をした人の人間性がブレて見えなくなってしまってはダメだと思う。いつ・どんな歌詞を書いても、最終的には書いた人が見えてくる歌詞になっていないといけない。最近よくアーバンギャルドを聴くんだけど、その部分が全くブレないところがさすがだなと感じるし、凄く好きです。
おおくぼけい:ありがとうございます!
Hitomi:俺は、ひとつの主張や考え方を、言い方を変えて何度も違う歌詞にして歌って良いと思っているから。何よりも大事なのは、ブレていないこと。そうでないと、誰が書いても同じ歌詞になってしまう。例えば、ひとつのバンドに凄く良い歌詞がふたつあったとして。どちらも本当に良いことを歌っているけれど、それぞれの曲の主人公が人格的に正反対な歌詞であったなら、歌っている人のイメージがちょっと崩れてきてしまうでしょう?バンドによってはヴォーカル以外のメンバーが歌詞を書く場合もあるけれど、それでもちゃんとその歌い手らしさ・バンドらしさという部分は崩さないで成立しているアーティストも存在するし、それは素晴らしいことだと思う。今作の自分自身の歌詞を読み返すと、幅はしっかりと出しつつもブレずに書くことができた満足感はあります。正直、書きたいことが無くて悩んだ時期もあったし、伝えたいことが無くなってきたのかもしれないなんて思ったこともあった。そこをひとつ抜けて、“結局は、何を書いても自分になるから良いか”と感じられました。ただ、俺の歌詞は少し難しいから、歌詞解説をして初めてちゃんと伝わるのかなとは思うけれど。
おおくぼけい:『愛しのティルモラ』あたりは、誰が読んでも伝わるんじゃないかな。

――そう思います。動物好きは涙してしまう、ひたすら優しくて切ない1曲です。
おおくぼけい:まず一度、最後まで聴いて。次に、歌詞を通して読んでからもう一度聴くと、もう最初から哀しいという・・・。
Hitomi:初めてこの曲を聴いた時、“ここまで明るくて優しい雰囲気の楽曲はなかなかやることがないし、どういう歌詞にしようかな?”と考えたんです。普段やらない曲調だからこそ、チャレンジしがいがありましたけど。少しほんわりして間が抜けたような感じを持たせつつ、でも切ない歌詞にしました。

――そのほんわりした優しさに、犬の無条件の愛情と純粋さがピッタリでした。
Hitomi:俺自身が、犬を飼っているからね。まーくん(愛犬)も、ちょっと間が抜けたようなところがあるし(笑)。

――同様に人間以外の視点である『カナリア』は、元々おおくぼさんのソロ作品に収録されていた楽曲ですよね。
おおくぼけい:そうです。ソロ収録用の原曲を作る時、その時に歌って頂いたヴォーカリストの方に、僕が書いたサビの歌詞を渡して、そこに至るまでのストーリーを英詞で書いてもらったんです。同じように、今回もサビだけは原曲で僕が書いた歌詞のまま、Hitomiさんなりのストーリーを展開して書いてもらいました。英詞の時とは全く違う内容になっていて、凄く面白いです。
Hitomi:それぞれのヴォーカリストが、おおくぼさんが書いたサビに向かってどういう風に物語を作っていくのか。その対比が面白いですね。
おおくぼけい:将来的には、更に違うヴォーカリストが歌詞を書いて歌うかもしれないですし。歌謡曲の歌詞に出てくるカナリアって、何かと歌を忘れたり声が出なくなったりしがちだから、サビは“歌は忘れてないよ”という歌詞にしたんですよ(笑)。
Hitomi:確かに、“歌を忘れたカナリア”という感じの歌詞が多いですもんね(笑)。

――特に気に入っている楽曲を教えて頂けますか?
Hitomi:個人的にとても気に入っているのは、『キカ』。ただ、この歌詞にはバックボーンとなるものが存在しているので、それについて話さないと聴き手に100%は伝わらない。俺が一番好きな絵本に、『おおきな木』という作品があるんですけど。木が大好きな小さな男の子が居て、いつも木の下で遊んでいて、木もそれが凄く嬉しくて、木はその子のために果実を与えたり、色々なことをしてあげる。けれど、大人になるにつれて木との距離感が生まれて、男の子は段々と会いに来なくなって、大人になった時にその木を切って船を作って旅に出てしまう。でも、木は切り株になってしまったからこそ、何年も経って年老いた男の子が戻ってきた時に座って休む場所を与えられた――そこで、お話は終わる。で、男の子に何かをしてあげる度に“木はしあわせだった”というような言葉が書かれているんだけど、最後だけは“それで木はしあわせだった。だけど それは ほんとかな。”と疑問を投げかける形になっていて。最終的に切り株になってしまった木が可哀想に映るのか、それが木にとっての本当の幸せだから良かったと映るのか・・・大人になってから読むと、読み手によって捉え方が変わってくるし、かなり考えさせられる作品です。『キカ』は、その絵本に絡めた歌詞になっています。
おおくぼけい:そう言われて読むと、確かに・・・。
Hitomi:『おおきな木』を読んだ主人公が“自分も、その木のようになりたい”と思っていて、そこに接ぎ木についての話が織り交ぜてある。全く違う果物の木を接ぐと2種類の実がなる木になるんだけど、“それを人間がやってしまうのは狂った行為だな”と感じている気持ちと、『おおきな木』を読んで“その木のようになりたい”と思う気持ちが混ざり合って、“今ある現実を全て捨てて、私は木になりたい”と感じている主人公の話を歌詞にしました。だから、『キカ』を漢字にするなら“木化”。ただ、自分的にタイトルを漢字表記にするのはちょっと違うと感じたのでカタカナにしました。きっと『おおきな木』を読めば、『キカ』に限らず俺の歌詞は凄く影響を受けていることがわかると思う。

――子供向けの本や映画は、大人になってから触れると深いものが多い気がします。
Hitomi:うん。『銀河鉄道の夜』や『星の王子さま』も、大人になってから改めて読むと“本当に凄い話だったんだ”と理解できる。今回『スターダスト‐流れ着く場所 #2‐』を書くにあたって、星にまつわるイメージを得たくて『銀河鉄道の夜』を読み直してみたんです。 『銀河鉄道の夜』の中には、サソリ座の赤く光り輝いている星についての話として、ギリシャ神話のそれとは全く別のオリジナルストーリーが出てきて。イタチに追い掛けられて食べられそうになったサソリが逃げる過程で井戸に落ちてしまって、“このままここで死ぬんだな”と悟った時に、“これまで色々な生き物を殺して食べて生きてきたのだから、どうせ死ぬなら自分も最後にイタチに食べられてしまえば良かったのに”と後悔をする。そして、神様に“今度生まれてくる時には、誰かの役に立ちたい”と強く願う。その願いが届いて空に星として上げてもらった、という話なんだけど。それもまた自分が書きたかったことに通じるなと思って、歌詞の中に“燃えるサソリ”を織り込みました。そうやって影響を受けたり着想を得たものを隠すのではなく、寧ろ公言するくらい素直に書きたい気持ちが強いです。
おおくぼけい:そうすることによって、ファンの人達が「自分も読んでみよう」となって拡がるかもしれないですしね。

――Hitomiさんの歌詞の根底には“必要とされたい”“忘れ去られたくない”という想いがあって、今回収録された歌詞達には共通して“忘れ去られてしまったもの”や“手を離されてしまった感情”みたいなものが存在していて。その全てが、最後に『スターダスト‐流れ着く場所 #2‐』へ辿り着いたのだろうと感じたんです。
Hitomi:そうそう。このアルバムを作る当初から、『スターダスト‐流れ着く場所 #2‐』を主軸にしたい、曲順的にも最後にしたいということは決まっていて。あと、おおくぼさんから「凄く暗い歌詞が良い」という要望もあり(笑)。で、実はこの曲は当初『流れ着く場所』というタイトルで完成していたけれど、まだ発表できない雨や雨の今後の活動にまつわる理由で、Bメロを除いて歌詞も曲も最初とは全く違うものに作り変えたんです。とはいえ、歌詞の内容的には『流れ着く場所』として書いた時のイメージも残っているから完全に別個の曲としたいわけではないし、でも同じタイトルを付けるのも違うという自分のこだわりによって“-流れ着く場所 #2‐”という部分を付けました。『スターダスト』というタイトルにした理由もちゃんとあるけれど、それはまだ発表できないので楽しみにしていてもらえたら。

――わかりました。“星屑”という意味で考えれば理解できますが、Hitomiさんが“スターダスト”という言葉の響きを使われることにも少し意外性を感じたんですよね。
Hitomi:そうだね。確かに普段であれば使わない言葉だけど、ダストには“ごみ”や“屑”という意味があるから、“必要とされなくなったもの達が空に浮かんでいる”というイメージで考えていくと、自分的にはしっくりきたんだ。元々、流れ着く場所=天国みたいなイメージではあったんだけど、それが空の星だとは考えていなくて。でも、今後の活動も踏まえての流れが決まったから“それならば、流れ着く場所は空の星にしよう”と思って、そこに向けて歌詞を全て書き直しました。スターダストが何なのかという部分に関して、人だとか物だとかの括りは何も書いていないんですよ。ただ、それぞれの曲の主人公である“必要とされなくなったもの”や“昔は凄く大切にされていたもの”といった様々なキャラクター達が、愛してくれていた人達の元を離れて最後にひとつの場所に還っていく。そんなとても美しい流れを作ることができて良かったなと思います。

――フルアルバムという形態だからこそ成立した、とても壮大で美しい流れでした。おおくぼさんは、いかがですか?
おおくぼけい:特に、と挙げるのは難しいですけど・・・やっぱり、『スターダスト‐流れ着く場所 #2‐』と『キカ』は、このアルバムのために作ったものなので思い入れがあります。他の楽曲は、ライヴごとに少しずつ作りためていった曲達なので。

――インスト曲である『驟雨-SHU U-』についても伺えますか?
おおくぼけい:今作はyuyaくん(Develop One’s Faculties)がエンジニアもやってくれていて、彼に「僕も弾きたいんですけど、このプレイを入れられる曲はないですか!?」と言われたことがきっかけで誕生した曲です(笑)。これだけの曲数でストーリーっぽいものが多いし、途中にちょっとひと息つけるインターリュードみたいなものがあったほうが良いなと思って。

――タイトルどおり音が驟雨のように降り注いで、良いスパイスになりました。
おおくぼけい:そうですね。何だか、コンセプトアルバムみたいな感じになりましたよね。1年かけて作ったかいがある作品になったと思います。

――そして、アルバムタイトルの表記が通常思い浮かべるであろう『霧雨』ではなく『切り雨』であることにも意味があるそうですが。
Hitomi:実は、10月に『霧雨』というタイトルのフルアルバムを会場限定盤としてリリースします。そちらは、ピアノと歌という通常編成の雨や雨での音源。つまり、ふたつのパターンの『霧雨』・『切り雨』が存在することになります。

――ウミユリの『飢え』と『餓え』のような!
Hitomi:そういうことです(笑)。
おおくぼけい:どちらを“切”という字の『切り雨』にするかを考えて、「ピアノと歌のほうが柔らかいイメージだから『霧雨』にしよう」と決めたんですよ。

――そちらも非常に楽しみです!
Hitomi:『切り雨』と『霧雨』は両方を聴いてこそ完成すると思っているので、併せて聴いて欲しいなと思います。
おおくぼけい:最初のほうで話した『Rainy Sunday』も元々の形で収録するので、『霧雨』のバージョンを聴いて頂けたら、なぜこういう雰囲気の歌詞になったのかという理由が伝わるのではないかと思いますし。楽曲のアレンジによって、同じ歌詞・同じ曲であっても全く違った印象で聴こえる場合もあるので。現状、詩の朗読なども収録予定です。

――ひとつの楽曲を異なる側面から触れられる機会はとても少ないですし、音楽の可能性を教えて頂けるユニットだと感じます。そして、秋にもツアーが開催されるそうですね。
Hitomi:10月にも、ワンマンツアーがあります。
おおくぼけい:改めて考えると、今年は非常に計画的ですね(笑)。
Hitomi:本当に(笑)。ツアーは2人でまわるんですが、せっかく『切り雨』で色々なアレンジをしたので、そちらのバージョンを披露するライヴもしたいなと思っていて。
おおくぼけい:近いうちに必ずバンド編成的な形で『切り雨』を再現する公演を行います。
Hitomi:スケジュールをチェックして、ぜひツアーに遊びに来てください。


Interview:MITSU TOMIOKA(Squeeze Spirits)

2019年7月25日木曜日

2019.8月号 SCAPEGOAT

──再始動ワンマン以降、ずいぶんと積極的に活動を展開されていますね?
春:ちょうど今、主催ツアーが終わったんですけど(取材は7月上旬でした)、やっぱりライヴを重ねると良くなっていくなって印象があります。

──現体制になって4ヶ月、ツアーを通して充分な手応えがあったということですね。
春:そうですね。今回は東名阪だけでなく、北海道など地方も廻らせてもらって。あとは、久しぶりに対バンをやったというのも自分たちにとって良かったなと思います。
LAYHA:今って、バンド主催のライヴが少ないじゃないですか。でも、バンド同士でイベントを作っていくのって本当に楽しいので、久々に対バンやれて嬉しかったし、出てくれたバンドのみんなも楽しそうにしていたので良かったです。
Sayula:自分たちは主催側ですけど、このツアーは1日通して楽しかったんですよ。そういう楽しい気持ちって観てくれている人にも伝わると思うので、初めから最後まで楽しいと言えるイベントができるっていうのはバンド主催の魅力だなってやっていて思いましたね。あと、各地のCDショップの方からも「おかえり」って言われたのは嬉しかったです。

──他のバンドから見ても同じ気持ちだったと思いますよ。
LAYHA:そう思ってもらえるのは幸せですね。──ちなみに、このツアーを通して楽器陣の絆もより深くなりましたか?
LAYHA:いや、これがですね…………。

──おや、何かダメなところが?
LAYHA:深まりすぎてしまって、どうしようって(笑)。
Sayula:移動中もずっとうるさかったよね。
U:それこそ、ライヴ中も目が合うとふざけあってました。
LAYHA:仙台のライヴね(笑)。Uくんの地元が仙台なんで、ライヴやっている最中に「おかえり」って小声で言ったんですよ。そうしたら何を勘違いしたのか、「遅いですか?」って返してきて。で、「違うよ、おかえりだよ」ってまた小声で言ったら、「え、遅いですか!?」って返されてしまって全く話しが通じないっていう(笑)。
U:おかえりって言ってくれていることに全く気付いていなくて。どれだけ遅いんだろうって何度もクリック聞いて確認してました(笑)。
LAYHA:結果、どんどんテンポが速くなるっていう(笑)。でも、そうした些細なことも含め、再始動当初と比べてもメンバー間のコミュニケーションは良くなっていると思うんですよ。そこは、ツアーを廻った成果だと思います。

──確かに、再始動した頃はいささか緊張していたように見えました。
Sayula:うん、そうですね。始動の頃は各々の想いがそこにあったので緊張感が漂っていたと思うんですけど、今は周りのバランスも見えてきたのか、緊張もほどけて良い感じです。

──あとは、バンドとして一皮むけた印象もありますよ。7月17日にリリースされたニュー・シングル「縁」では、SCAPEGOATとしては初のテーマ“和”に挑戦しています。これは何とも大胆な発想だなと思ったのですが?
Sayula:予想外ですよね。ライヴ曲を作ろうという発想の下で出来上がった曲なんですけど、そもそものきっかけは、バンドの写真をどういう感じで撮ろうかって話をしていたときに、春が仲見世で撮ることを提案してきて。そういった構図の写真はこれまでにやってきたことなかったので面白そうだなとは思ったんですけど、まぁそのうちねって感じだったんです。で、そういえばあのとき言っていたことだけど、って言って今回やることになりました。
春:仲見世で写真を撮るのはずっと前からやってみたかったことなんですけど、SCAPEGOAT的にどうなんだろうっていうのが結構あって。でも、今回ようやく具現化することができたという感じですね。

──今までの曲を持ってきた場合、雰囲気がまるで違うのでそうした背景で写真を撮っても似合わなかったかもしれません。でも、今回は曲調を和に一新しただけあって、とてもよく似合っています。
春:ただただ和の曲調をやりたかったわけではなかったんですよ。もし、単純に和をやりたいだけなら背景は別のロケーションでも良かったと思うんです。でも、仲見世通りのあんまり和過ぎない感じだったら、SCAPEGOATでも消化できると思ったので、今回のシングルのコンセプトとしては、“SCAPEGOATが和をやったら”というイメージではありました。あとは、再始動後、一枚目のシングルを出してからガラッと雰囲気を変えたいという気持ちもあったので、SCAPEGOATってこんなこともやるんだなっていう感じで聴いてもらえたらいいなって。

──では、「縁」を作曲する際にSayulaさんが特にこだわったことは何ですか?
Sayula:僕の中で、やってみたい和の曲っていうのは元々あったんです。でも、こだわりを敢えて言うなら、他のバンドさんがやってきた和の曲を聴かなかったというところですかね。あとは、テーマを決めて制作に取りかかろうとしていたときに、Uが「こういうビートはどうですか?」って提示してきてくれて。それがちょうどSCAPEGOATにはなかった跳ねるような感じのビートだったので、それは面白そうだと思って楽曲に取り入れてみたんです。結果として、この曲の1番の肝になったと思います。

──敢えて他の曲を聴かないなど、ラフな気持ちで取りかかれたからこそSCAPEGOATの個性が活きた楽曲になったんですね。
Sayula:やっぱり、ビートが増えたっていうのは大きいと思います。それでバンドの印象が変わってくるので。
U:でも、提示したタイミングが良かったっていうのはあると思います。和風の曲を作ろうっていうところから始まっていたら、今のようなビートは出てこなかったのかもしれないんですよ。あくまで、こういうビートをやってみたいというところから曲ができたので、ほんとタイミングが良かったと思います。
Sayula:確かに、和風の曲を作ろうってところから始まっていたら音をもっと入れていたかも。たとえば、和太鼓を入れるとか。
U:あとは琴とか。
Sayula:そうなるよね。でも、それだと「SCAPEGOAT、どうした?」となりかねないので(笑)、演奏に関してはそれぞれの楽器を鳴らしていくなかで和が表現できた方が自分たちらしいなと思ったので、結果としてですけど、各々の思う和を取り込めて良かったです。

──となると、レコーディングもスムーズに進行していったのでは?
LAYHA:和風の音階を気にしなかったというのもあって、ベース自体は曲のコンセプトにとらわれることなくレコーディングできましたね。あとはとにかく、同じことをしないようにしようって思ったのは大きいですね。この曲では敢えてギターとのユニゾンを避けているんですよ。そういう面ではベース単体で聴いても面白く仕上がっているかなと思います。
春:歌は、いつもと変えたというところはないですね。Bメロは普通に出るキーなんですけど、敢えてファルセットにしたりとか。そういう変え方はしていきましたね。

──歌詞でいつもと書き方で変化をつけた部分はありますか?
春:最初から《後ろの正面だぁれ》という一文は頭の中にあったので、そこから『かごめかごめ』を調べていき、言葉を考えながら書いていきましたね。

──タイトルに込めた想いというのは?
春:7月28日にやるワンマンのタイトルが『宴』っていうんですけど、それとセットで考えていったところはあります。宴を連想させる縁日の華やかさや、あとは“切っても切れない”というのをテーマにしていたので、そういう部分でも伝わればいいなと思って「縁」と付けたんです。こうして長年バンドをやっていると、応援してくれるファンとの縁って大切だなと思うので、そこをイメージしたところはありますね。

──カップリングの2曲は、「縁」とはまた違った雰囲気になりましたね?
春:和はメイン曲だけでいいかなって。とりあえずバリエーションが欲しかったので、色々な曲を入れたいという気持ちがメンバーの中にありました。3曲目「デモクラシー」に関しては始動のときから演奏していて。これはドラムから始まるのでライヴでも良いスパイスになっているし、前と比べても仕上がりはかなり良くなってきていると思います。
LAYHA:やっぱり、今が1番良いって言える状態じゃないとバンドとしてダメだと思うので、演奏している側としても曲の仕上がりが良くなっているというのはいいことだなと。

──バンドとして今が1番良い状態というのは、とても素敵だと思います。
Sayula:聴いてくれる人それぞれに好きな曲って違うと思うんです。それをこっちは受け入れつつ、より進化していった方が、聴いてくれる人にとっても面白くなってくると思うんですよね。そういう意味では、今は過去も気にせず進めていけている感じがします。その上で、各々がやりたいこと、バンドでやりたいこと、どちらも明確になってきているので、やっていて楽しいですよ。

──そういう話を聞いてしまうと、次回作はどうなるのか気になります。
春:どんな感じの曲になるのかっていうことですよね。とりあえず、今言えるのは、また今回とは違った曲にはなります(笑)。なんか、今はひたすら曲を出したくて。なので、新作は、SCAPEGOATとしての新しさを出していけたらいいなと考えています。

Interview:ERI MIZUTANI

2019.8月号 REIGN

──まずは、7月現在のバンドの近況から教えていただけますか?
郁磨:龍史が扁桃腺腫れたらしいですよ。
龍史:6月のスケジュールがけっこう忙しかったんですよね。で、ツアー終わってから扁桃腺が腫れてきて、今ちょうど薬飲んでるところです。元々、扁桃腺弱いんですよ。

──それは完全に疲れからきてますね。あとは、ストレスとか?
龍史:メンバーからの圧ですかね(笑)。
郁磨:こっちがストレス与えられてるわ。俺も、今ちょっと体調悪いし(笑)。
TANO:俺、体調は平気ですね。
龍史:そういえば、俺が前に喉が痛くて声が出なかったときに、TANOやんに制作のことで電話したんですよ。そうしたら、TANOやんも体調崩していて声が出ないっていう。
TANO:2人して出ない声をしぼりながら電話してましたからね。結局、そのときは何て会話したのか覚えていない(笑)。
郁磨:っていう、ここまでどうでもいい話でした。
龍史:これだと、俺たちがよく体調崩す人たちみたい(笑)。

──でも、忙しい状況の中で、新作を完成させたと。
龍史:そうですね。そのときは体力的にはだいぶ回復しましたけど。

──7月17日にリリースされた、ニュー・シングル「Absolute 14」はREIGNにとって新境地ともいえる作品に仕上がりましたが、衣装もメンバーそれぞれの個性が活きていますね?
龍史:テーマは一応あったんですけど、4人それぞれに綺麗にバラけたなと思います。
TANO:前作はお揃いの衣装だったんですよ。
龍史:その反動でバラけたのかもしれない。

──和春さんのイメチェンに驚きました。
和春:まぁ、そうですよね。髪は一昨年に切って以来ずっと伸ばしていたんですけど、やりたい髪型を考えているうちにまた短くしたくなってきてしまって。それで、とりあえず切ろうって決めたんですけど、ベリーショートにしても短くしていたときとあんまり印象は変わらないのかなと思って、思い切って坊主にしてみました。元々、やってみたい髪型ではあったんですよね。
龍史:メンバー誰も反対しなかったよね。
和春:うん。バンドに1人は坊主がいてもいいんじゃないって。
龍史:まぁ、全員やったら男子校の軽音楽部みたいだし(笑)。

──お似合いです。ヴィジュアル系だからこそ、視覚的に遊べるというところはありますよね?
郁磨:そうですね。逆に、俺は髪の毛伸びるのが早いんですよね。

──敢えて伸ばしているわけではなく?
郁磨:いや、自然とですね。ちっさい頃から。なんでだろう(笑)でも、これまで作品を出す毎にヴィジュアル面も変化させてきたんですけど、その中でメンバーそれぞれに似合うものがわかってきた感じがするんですよ。自分のスタイルを確立させてきたことにより、今回もやりたいことが出しやすかったんじゃないですかね。

──そこはMVを観てもわかります。
郁磨:俺たちはライヴバンドだからこそ、新曲が早く浸透すればいいなという想いもあって、発売前にMVを解禁させたんですよ。

──本作さっそく聴かせてもらいましたが、表題曲「Envision」を始め、カップリング曲もライヴ映えのするものになっていますね。3曲とも作曲を手掛けられたのは龍史さんですが、やはり制作時はライヴモードになっていたのですか?
龍史:単純に一言で言ったら、方向転換というか。より一層、REIGNが向いていく方向に対して色を濃くしていったというのが1番ですかね。楽曲に関してはメンバー間で何度か話し合いをしていく中で、こういうことなんだろうなっていうのを自分なりに解釈して作っていった結果です。

──制作過程で何度か話し合いを重ねていった中で、龍史さんはREIGNが向いていく方向に対してどのような答えを出したのですか?
龍史:曲を書いている以上、責任ってあると思うんですよ。そこに対して、自分ができること、また、かっこいいと思えることを突き詰めてやっていったというだけですね。
──以前のREIGNの曲は可愛らしい要素も入っていたように思うんです。でも、今回はとても大人っぽくなっていて。そこは意外性がありました。
龍史:バンドとしては6年目なので、もう大人ですからね(笑)。でも、そろそろそういうところで勝負していってもいいんじゃないかなとは思ったし、タイミングとしては今ここなのかなって。

──そのようにできたというのは、メンバー全員の気持ちが一緒だったんでしょうね。
郁磨:そうですね。目指す道は4人同じだったので、このタイミングを狙って自分たちのベストだと思えるものが出せたというよりかは、これまで色々と作品を作ってきた中で、今だったという感じはあります。きっと、バンドってどこかのタイミングで変わるものだと思うんですよ。この作品は通過点の1つかもしれないけど、俺たちが目指しているライヴ会場だったり、そういうところを考えたときに、武器になるということは言えますね。

──場合によっては、今までと同じことをやっていた方が安全かもしれません。でも、今のREIGNは変化を恐れなくなったということですか?
郁磨:逆に言うと、今までも安全だったのか?というところですよね。やっぱり、バンドとして一生攻めていないといけないと思うし。だから、以前に比べても攻めることに対して躊躇がなくなってきたのかなと思います。
TANO:攻めることに抵抗がなくなってきたというか。バンドって元々がギャンブルみたいなものじゃないですか(笑)。だから、その気持ちにより火がついた感じはしているし、今回の制作もいつも以上に楽しくできた感じがします。細かく言うと、竿隊はフレーズの1つ1つに対しても新しいことを結構やったので、そういった部分でも挑戦はできたかなと思います。

──ギターとベースに関しては、3曲とも尖ってきたなという印象があります。
TANO:そうですね。「Envision」はシンプルで王道な感じはあるんですけど、「Gnarly」と「Petrichor」はだいぶ挑戦しました。それでいて、録り終わるのは早かったんですよ。ほぼプリプロの状態で本番も弾けたので、それが早さにつながったのかなと。
龍史:今回、全部のパートに対して俺は口を出したんですよね。そのせいで自由度は少なかったかもしれないんだけど。

TANO:いや、そんなことはないよ。自由度でいったら、いつもと変わりはなかったんじゃないかな。
龍史:でも、「Gnarly」のAメロのギターとか、ずっと悩んで弾いてなかった?
TANO:あれは、レコーディングでは弾けるんだけど、ライヴだと再現が難しいからどうしようかなっていう感じだったんだけど、結果的には無理矢理やりましたね(笑)。
龍史:「Envision」がシンプルで聴きやすい分、「Gnarly」と「Petrichor」は独特のクセがあるんですよね。そこがまた、1作品の中で良いバランスになっているんじゃないかなと思います。

──歌詞は郁磨さんが全て書かれていますが、作品ができあがった今、歌詞に関してはどう思いますか?
郁磨:言葉に関しては、楽曲ありきなんですよね。でも、作品を作る上で根本にあげた“このシングルって何?”という部分で、俺としてはバンドの未来を見据えてというのを考えていたので、どのような曲を表題に持ってこられても伝えたいことは決まっていたんですよね。だから、俺が伝えたい言葉を軸にして書いていこうと最初から思っていました。そうして持ってこられた3曲は、過去の作品にはないアプローチのものだったので、そこに沿って言葉を書いていったら自然と次を見据える言葉が出てきましたね。なので、どちらかというと、自分のエゴを押したというよりかは、バンドのエゴが歌詞を通して出せたと思ってます。

──和春さんは、本作のレコーディングはいかがでしたか?
和春:僕、レコーディングとライヴって別物だと思っているんですよ。今までもそうなんですけど、レコーディングの為に作ったフレーズを覚えて本番ではそのとおりに叩くんですけど、レコーディングが終わったら忘れてしまうんですよね。だから、ライヴでは原曲どおりに綺麗にドラムを叩くことがないんです。今回は、「Gnarly」が特にライヴでは変わってくるんじゃないかなと(笑)。

──音源とライヴの違いを楽しむのも面白いですよね。
龍史:そうですね。ただ、難しい曲を作ろうとは思ってなかったんですよ。結果、難しくなってしまった感はあるけど。俺は「Gnarly」でギターと一緒にタッピングしているんですけど、今まではあんまりそういうやり方をしてこなかったんです。けど、ライヴではここが見せ場にもなってくるのかなとは思いますね。

──ライヴといえば、下半期はスケジュールがかなり詰まっています。イベント・ライヴもそうですが、ワンマン・ツアーまで、どれも見逃せないものばかりですね?
郁磨:イベント・ライヴや2MANライヴに関しては、今のREIGNの実力を認めてくれたからこそ声を掛けてもらったものだと思ってるんです。せっかく手繰り寄せた縁、そこからどうしていくのかは自分たち次第だと思っているので、ほんと楽しみですね。あと、ワンマン・ツアーは、それらのライヴだけでは満足していられない、ここで躊躇していられない、っていう気持ちでやっていきたいんですよね。それこそ、1つ1つのライヴをボコボコにしてやるっていうぐらいの感覚で制覇していかないと、ワンマン・ツアーのファイナルとなる大阪BIG CATには到底立ち向かえないなと。バンドとして、楽曲の良さや視覚的な見せ方が大事になってくるのはもちろん、何よりも、自分たちがどれだけ強くいられるかというのが大きいと思うんですよ。なので、精神的な部分を強化してこれからのライヴを戦っていきたいなと思ってます。

Interview:ERI MIZUTANI

2019年6月25日火曜日

2019.7月号 Develop One's Faculties



──新曲を聴かせてもらいましたが、バンドとしてたくましくなった印象を受けました。というのも、メンバーが1人脱退したこともあって、DOFは今後どうなることかと思っていたので。
yuya:けど、それで音楽がブレたら、それまでのバンドじゃないですか。

──確かに。そうなると、今までやってきたことは何だったのだろうと感じてしまいますね。
yuya:むしろ、あいつの分まで音楽を…、Develop One’s Facultiesをしていかないと意味がないし…。それに、メンバーがいなくなったからって音楽性を変えるっていう感性に普通は辿り着くの?

──あると思いますよ。メンバーの脱退ってバンドにとってはとても大きな出来事ですから、話し合いの結果、これを機に音楽性を変えていこうというのは、ある意味、普通でもあるのかなと。
rui:あと、人によっては、バンドの体制が変わったから違うチャレンジをしようかっていうのもあるかもね。
yuya:へぇ~、そうなんだ。でも、僕たちの場合、それをやってしまったら、このバンド名を掲げている意味ないでしょ。

──その点、DOFは1つのピースが欠けても音楽性が狂うことはなかったので、強いなぁと。
yuya:なるほど。そう思うと変わらないですね。進化はしているけれど。

──どういったところで変わっていないなと思います?
yuya:結成したときの気持ちとか。ハートの部分は何も変わらないなって。

──ちなみに、現体制になってから、3人でどれくらい話し合いを重ねたのでしょう?
yuya:どれくらいかな。俺、あんまり自分からミーティングしようって言わないんですけど、この2人を呼び出してこれからどうしようかっていうことは話しましたね。というのも、自分自身は終わろうと思っていたんですよ。

──それは、バンド活動を?
yuya:うん。続ける気はゼロでした。やめようと思ってたんですけど、色んな方の言葉だったり、メンバーが言ってくれた言葉だったりに動かされたというのはありますね。

──そうだったんですね。気持ち的には、ゼロどころかマイナスまで傾いていた時期もあったかと思います。でも、yuyaさん的に、ここでやめてはいけない、もっとやってやろうと思った原動力って何だったんですか?
yuya:やっぱ、周りのパワーかな。応援してくれる人も含め。でも何よりも、俺らがこうドーンって上に行ったときに、あいつが元気だったら、パスでも出して観に来いやっていう気持ちも、俺の中には1つあったかな。

──そういった想いが。
yuya:けど、やめなかったのは、純粋に音楽が好きなんだろうね(笑)。

──メンバーそれぞれ、やめるか続けるかってすごく悩んだところではあると思うんです。でも、やっぱり、好きっていう気持ちって本当に大事だなって。もう、それだけあれば何とでもなるというか。
yuya:そうなんですよね。例えば、終わることを選んだとしても、俺はそれがバンドとしてブレているとは思わないんですよ。ただ、悲しいなとは思う。これだけやってきたのになぁって。

──中には、「ふーん。そうなんだ、解散するのね」の一言で終わってしまうバンドもいるけれど、DOFがこのタイミングで終止符を打つのはあまりにももったいない。だから、yuyaさんが悲しいって思ってくれたのはDOFに対して期待値が感じられるからこその言葉だと思うので、継続することを選択してくれて本当に嬉しいです。
yuya:もう大丈夫ですよ、現段階で3人は愛を確かめ合ったんで。

──そんな熱い現場、見たことないんですけど(笑)。
yuya:そういうときは喋るよね?
rui:僕とyuyaは喋りますね。

──あれ、Johannesさんは?
Johannes:(翻訳済)どうだったかな(笑)。
yuya:っていうか、話いきなり飛ぶけどさ、レッドブルの缶にストロー差して飲む?
rui:あ、これ? 炭酸をグビグビ飲むとお腹壊すから、ストローで飲むようにしようかなと思って。

──へぇ~。って、だいぶ話が飛びましたね(笑)。
yuya:いや、目の前で見てて気になったから。って、そういうことか(笑)。

──そもそも、お腹壊す心配があるなら飲まなければいいのでは?
rui:やだ、味が好き。あと、飲むと目が覚める。
Johannes:(翻訳済)僕はライヴ前に飲んでます。
yuya:大事だよね。レッドブルはミュージシャンの必須アイテムですよ。

──3人ともけっこう消費してるんですね。
yuya:そうだね。俺はシュガーフリー飲んでる。
Johannes:(翻訳済)フリーって、逆に甘くない?
rui:甘いよね。僕は普通に砂糖ありの方がいい。

──とりあえず、砂糖ありでも無しでも、レッドブルを差し入れたらメンバーが喜ぶってことでいいですか?
rui:死ぬほど喜ぶ(笑)。
yuya:間違いない。受け付けてます(笑)。

──こうした他愛もない会話で盛り上がれるほど、メンバーのモチベーションは上がっているということですよね?
rui:まぁ、そうですよね。
yuya:正直言うと、どん底まで仲悪かったんですけど、今は本当にバンド内の雰囲気が良くて。やっぱり、3人でミーティングをやったことで変わったところはありますよね。バンドを愛して続けていくっていうところで、ここはこうしていこう、それはああしていこう、って決めてからは本当に喋るようになりました。最近なんて、レコーディング終わった後に相方(rui)とサシで飲んだんですよ。そんなのって、バンド組んで初めてだったかな。
rui:そうだね。でも、僕は意図的にしていなかったっていうのもあるんですよ。これはあくまで僕の主観なんですけど、メンバーと必要以上に仲良くしていると、何かあったときに弊害が出そうで嫌だなって。

──過去の経験を踏まえ。
rui:そうですね(苦笑)。何かあったときに、あのときあれだけ仲良くしてたのにって思いたくないっていうのがあるのかも。
yuya:それもそうだけど、最初から積極的に誘い合う人間がうちは集まっていないっていう。

──根本的な問題でした(笑)。だからこそ、この変化は大きいですね?
rui:まぁ、そこがメンバーが脱退した直接の原因ってわけではないけれど、交流がなさすぎるのも良くないっていう結論に至りました(笑)。

──良かったです。けど、私情を持ち込まずにステージに立ち続けたみんなはかっこいいなと思います。
yuya:そこは、ミュージシャンとして当たり前のことですけどね。
Johannes:(翻訳済)どんなことがあってもいつもどおりのステージをする、っていうのは昔から思っていることなので、今回のことがあっても、そのとおりにライヴができたんじゃないかなと僕は思います。

──観る側としては、DOFが3人になってからのライヴも気になっていたけど、新作がどうくるかも期待していたんですよ。なので、今話してくれた流れがあって、新曲の制作に取り掛かったかと思うと、「ephemeral」は良い作品になったぁと。
yuya:最近は伝えたいことが100%出せていると思っていて。今まで100%出そうと思っても、歌詞を書くのがあまり好きじゃない時期とかあって、70%ぐらいのときもあったんですよね。でも、今改めて見ると、その70%で書いた歌詞にも良いなと思う部分はたくさんあるし。自分の中でのセルフライナーノーツというか、自分自身を見返すという機会というか、過去があって今があるというのはすごく良いことだなと。それを思いながら新作を作ったので、今回も良いものができたなと思います。

──今回、ベースはyuyaさんが弾いているというのもあって、すごくラフな感じがしたんですよね。
yuya:やっぱり、dettoからインスパイアを受ける部分もあったし、俺自身が思うベースラインというのもあって。それを良い意味で消化しようと思ったときに、誰か別のベーシストに弾いてもらうよりも、俺が弾いた方がDOFらしくなるだろうなって。だから、そこについては何も考えず、良いベース弾こうって思いましたね。おかげで、すげぇかっこいいベースが録れました。

──かっこいいと思います。「前の方が良かった」とか「逆に今の方が良いんじゃないの」という感じで見るのではなく、単純に、バンドが出せるそのとき最高のものが出ているなと。あと、これは歌詞の内容も良いですね。
yuya:歌詞については見たとおりというか、そのままとしか言いようがないんですけど、自分の中でキーとなる部分は冒頭なんですよね。天国と地獄の中間っていうのは地球のことで、結局、天国と地獄のどちらにも行ったことがないのでわからないんですけど、地球で生きているたくさんの生物の中の1つとして何ができるんだろうって考えたときに、俺を含め、履き違えて生活している人って多いだろうなって。俺、そういう曲作ることが多いんですけど、これは割と自分自身に向けて歌っているかな。
rui:毎回、歌詞を見て思うんですけど、その時々の感情だったり、気持ちだったりというのがちゃんと出ていて、後退していないというか。きちんと想いを吐き出せて書けているところが良いなと思いましたね。

──毎回、歌詞をちゃんと読んでいるのがすごいですよね。
rui:たまにタイトルの意味がわからないときありますけど。
yuya:調べてくれ(笑)。

──今回は、“儚い”という意味で捉えていいんですか?
yuya:そうです、そのままで大丈夫です。だって、儚いじゃないですか普通に。
rui:人によって取り方は変わってくるんだろうけど、どういう風に受け取ってもいいように歌詞を書いてくれるのはありがたいなと。
yuya:今、相方が人によって取り方が変わってくるだろうって言ってくれたけど、今回の歌詞は儚いだけじゃないんですよ。マイナスの感情が100%だとしたらもっとマイナスになるだろうし、ハッピーだと思ったらもっとハッピーになる。この歌詞をちゃんと読むとわかるんだけど、そういう風だよっていう自分自身に対して、それでいいって思っていない。変われるなら変わりたい、変わっていきたい。それも救いだし、希望だし、光なんですよね。

──そしてまた、儚いという意味を持つタイトルの曲なのに、バラードに仕上げなかったのも面白いですよね?
rui:だからこそ、このバンドってすごく面白なって思います。まぁ、それだけにレコーディングは難しかったりもするんですけどね。

──同時に、どんな曲がくるのかとワクワクする気持ちもあるのでは?
rui:まぁ、そうですね。できることはやりましょうって(笑)。でも、こうして出来上がったものを聴いてみると、達者になったんじゃないかなとは思いますよ。結局、このバンドをやることでそこが1番、自分の成長につながっているなっていうのがわかるので、置かれている環境って大事だなって。

──Johannesさんは、「ephemeral」のレコーディングを振り返っていかがですか?
Johannes:(翻訳済)これ、大元のドラムを作ったのが歌詞が乗る前だったんですよ。ギターだけあったんだっけ?
yuya:ううん。ギターと歌とベースが入っていた。で、俺とディスカッションしながらドラムの音を作っていったよね。
Johannes:(翻訳済)曲を聴いたときにエモい感じだなと思ったので、極力、ドラムもエモさを出していったんですけど、それがだいぶ前のことだったので、歌詞が出来て曲が送られてきたときに、こんなドラム付けたっけ?って思いましたね。何か、懐かしかったです(笑)。

──そう感じるのは、日々、成長しているからじゃないですか?
Johannes:(翻訳済)あぁ、そうなんですかね。で、歌詞が乗ってから、ドラムは更にエモさを付けてアレンジしていきました。もちろん、レコーディングでもなるべくエモくなるようにって意識しながら叩いていた気がします。

──ライヴではより感情的に叩けそうですね?
Johannes:(翻訳済)そう思います。

──カップリングの「don’t think feel」は、CDに歌詞カードが載らないそうですね?
yuya:まぁ、歌詞がないんですよ(笑)。
rui:スキャットに近いからね。

──そうなると、ライヴで演奏するときは、その場のテンションで歌うことが変わってきそうな予感がするのですが?
yuya:一ヶ所、とんでもなく難しい歌のセクションがあって。だから、「don’t think feel」ですよ。

──「考えるな、感じろ」と。
yuya:そう、それ(笑)。タイトル自体、このバンドにピッタリで良いなって。

──2曲とも、ツアーを通してどうなっていくのか楽しみです。
yuya:この記事が載る頃には、ツアーも後半に突入してますからね。で、なぜこのツアータイトルにしたかというと、誰かに会ったときの最初の一声って、やっぱり「こんにちは」だと思うんですよ。だから、今回は「Hello.」というツアータイトルを掲げて、全国に音を届けに行きたいと思います。

Interview:ERI MIZUTANI