2018年6月25日月曜日

2018.7月号 Kra

──ニュー・シングル「通りゃんせ」は、アコーステックの楽曲ありきで考えていった部分が大きいのでしょうか?
結良:【Asymmetry Circus】ツアーがアコースティック・ライヴも入っていただけにそう思われがちなんですけど、元々、音源で新曲とアコーステックをくっつけようとは考えていなくて。なので、狙っていったというよりかは、怪我の巧妙なんですよね。偶然に重なって良い感じになりました。

──そうでしたか。だから、新曲とのバランスが良いのですね。リード曲の「通りゃんせ」はタイゾさんの作曲ですが、どのような背景の下で作られたのですか?
タイゾ:元々、景夕が“和風”というテーマをメンバーに持ってきて。そのインスピレーションで曲を作っていったんです。和風とはいっても敢えて和音階は使わずに、オーケストラの楽器が入っているなど、あくまで和風なのは歌メロのメロディ感だけにしようというのが自分の中での作曲テーマでした。

──キャッチーな中に艶っぽさが含まれていますが、そこはタイゾさんからのリクエストですか?
タイゾ:落としパートで出てくる〈通りゃんせ通りゃんせ〉というところは、景夕が歌録りをしているときに、そこのニュアンスをセクシーに歌ってくれというのはリクエストした部分ではありますね。

──なるほど。ところで、「通りゃんせ」という言葉は、景夕さんが以前から温めていたものだったのですか?
景夕:いや、仮タイトルが「通りゃんせ」だったんですよ。で、そこから色々と考えていくうちに、これを本タイトルにしたいなと思って。なので、結果論ではありますけど、おのずとそうなるように作っていたのかなという感じはしますね。元々、書きたいことは色々あったんですよ。でも、楽曲を聴いたときに純和風な印象はなかったので、時代背景的には大正や昭和初期といったイメージの言葉使いにしようかなと思って。なので、ワード的には抽象的にはなっていると思います
靖乃:今回のヴィジュアル・イメージもそうですけど、こういうのをやってみたいんだけどって景夕が持ってきたんですよね。それが確か、1年前ぐらいのことかな。そこから選曲会を経て、こうして新作として実を結んだのかなと思います。
景夕:ただ、やってみるまでは、自分の中でそこまで広げられず、漠然としたものだけがずっと続いていたんですよ。で、いざ作り始めてみると、こういう風にしようというのがだんだんと積み重なってきたんですよね。やっぱり、自分だけの考えだけって限界があるじゃないですか。でも、メンバーの手が加わることによってこうした形になったので、出来上がっていく楽しみはもちろん、各々の良さがより出ている作品になったと思います。

──レコーディングも、それぞれスムーズでしたか?
靖乃:「通りゃんせ」に関しては、やることは決まっていたので録りは比較的スムーズに終わりましたね。フレーズ感とかキメのユニゾン感とかすごく絵ができあがっているので、それをいかに生の太鼓で清書するかっていう感じに近かったです。また、Aメロではハネ感が必要だったので、走らずにハネるっていうのが課題ではありました。そこはタイゾも危惧していたんですけど、あんまりバタついてしまうとうるさく聴こえてしまうと思ったので、収まりは良いけれどそこにちゃんと音符がいるという形にしたかったんです。あとは、そこからサビに向けてパンッと世界が変わる感じとか、曲が元から持つベクトルを大事にして演奏していきましたね。
結良:今回、サビでうねるようなベースラインを弾いてほしいという要望があったんですけど、うねるって言っても色々なものがあるじゃないですか。例えば、長くうねるのか、短くうねるのか。うねるということ1つ取ってもすべてにおいて雰囲気が違うものなので、自分の中でこんな感じかなっていうのをタイゾに投げて。そうしたら、最初に考えたうねりでOKが出たんですよ。あと、Aメロのランニングベースも最初は悩んだんです。これも、うねりと同じで色々なものがあるので。でも、これでいこうと思ったものをタイゾに送ったら良い感じだよと言われたので良かったなと。
タイゾ:基本、かっこよければOKなので(笑)。あと、ギターに関しては、最初に決めたフレーズから変えることはほぼないので、この曲もデモのときにメンバーに聴かせていた段階からフレーズは変わってはいないですね。おかげで、レコーディングもスラッと1日で終わりました。

──では、ヴォーカル録りで1番こだわったところというと?
景夕:歌詞の世界観と、Aメロとサビの表情の違いをどうやって出すかですね。あと、その後の落とし部分でも整合性をどう付けるか悩んでいて。自分がこうしたいというイメージもあったので、そのチョイスは1番難しかったですね。

──2曲目「放逸」は「通りゃんせ」の世界観とつうじるものがありますが、そこは意識したところですか?
景夕:意識したというよりかは、シングルなので一貫性がある方が良いかなと。

──そうしたイメージは、作曲者の結良さんにも最初から伝えて?
景夕:いや、特には言っていないです。ただ、Aメロの入りに合う言葉がなかなか見つからず、この曲のキャラクターって何だろうって最初は思いましたね。
結良:僕としては、普通にロックな曲を作っていったんですよ。なので、「通りゃんせ」と一貫性が出たというのは、本来、僕が持っている音楽的なところが出たのかなとは思います。これは昔からの音楽環境にもよると思うんですけど、僕が作る曲は特に意識しなくても和っぽいメロディラインができあがることが多くて。

──歌詞も印象に残ります。
結良:冒頭から出てくる〈カラン カラン カラン〉という部分は、音的には2つなんですけど、そこを歌詞にするときに2文字と取るか、3文字と取るかは、作詞者次第というか。
靖乃:ひょっとして、最初に2文字3つって伝えてたら〈いぬ さる きじ〉になっていたかもしれないってこと?
景夕:あはは(笑)。でも、最初、新しい衣装は狐だからなぁって考えたとき、狐といったら京都っぽい、京都といったら修学旅行で行った奈良を思い出すなぁ、奈良といったら鹿でしょっていう感じで派生して考えていって。でも、そうなると歌詞が〈しか しか しか〉となってしまうのかって。
タイゾ:それは面白い。
景夕:ただ、面白いってだけでそこからまったく広がらないという(笑)。
靖乃:確かに、曲として成立させるためには、そこにドラマがないとね。
景夕:そう。それで、〈こんこん〉や〈こうこう〉という言葉を使って狐っぽさを出していって。やっぱり、自分で歌詞を書いていて思うのは、何か伝えることがその曲にないと意味がないなって。その上で伝えることを自分の中で探し出せたときは書いていて面白いですよね。

──歌詞のふんわりとした雰囲気とは対照的に、楽器隊がロックなところを見せているのもこの曲の面白さですよね?
靖乃:勢いや疾走感は大事にしましたね。ギターとベースもそうなんですけど、リズムのタイム感で結構変わる気がしたので、細かいフレージングがどうこうというよりかは、その曲にフィットしたタイム感でいけるかどうかっていうのはありました。何か、迷いなくいっている感じがないとこの曲にならないのかなっていう気がしたので。
タイゾ:ギターは、イントロから忙しいフレーズが出てくるんですけど、あれは三味線を意識して、エフェクターでそれっぽい音に変えて弾いているんです。あと、こういう激しい感じのテンポの速い曲って音で結構埋めがちになっちゃうところを、サビの後半、ワウギターでカッティングを入れたりしてメリハリを付けていきました。

──では、この曲がライヴで演奏された際、どう観るのがベストでしょう?
結良:棒立ちで観ない方が面白いと思うんです。そこはやっぱり、初見が大事になってくると思うので、こっちの提示次第というところはありますよね。
景夕:そうだね、第一印象は大切。
結良:あと、Kraって速いテンポの曲が少ないから、聴いてくれる人も馴染むまでに時間がかかるかもしれないけど、そこはツアー・ファイナルまでに完成させればいいかなと。

──楽しみですね。そして、音源に収録されている既存曲が今回のツアーを経て、どのように変わっていくかも気になります。
景夕:「サァカス」のピアノ・バージョンと「幻灯機械」のアコーステック・バージョンが音源に収録されるんですけど、どちらもライヴでやっていたので、音源にして改めて思うことというよりかは、出来上がったときに、こういう曲の切り崩し方もあるんだなとは感じましたね。特に、「サァカス」は、今までもバージョン違いを何個が出していたので使用頻度が高い曲ではあります。
靖乃:色々な形に化けられる曲ではあるよね。最初からそういう狙いで作ったわけではないにせよ、その時々で姿や形を変えてやってきたので、本当に色んな表情を持つ曲に成長したなと思います。
景夕:「幻灯機械」は今回、カントリー的な感じにしたので、元の曲とは表情が違っているんですよ。
靖乃:ギターのニュアンス感でだいぶ変わったよね。
タイゾ:ライヴでもアコーステック・バージョンは披露していたんですけど、そのときはストロークで弾いているだけだったんです。でも、せっかく音源にするんだったら面白いことをやりたいなと思って、自分の引き出しにないカントリーのギターというのを調べたんです。そうしたら、バンジョーという楽器が出てきて。でも、それを普通に演奏よりも、アコギを使ってバンジョーのフレーズを弾いたら面白くなるんじゃないかなと思って、1からフレーズを組み立てていったんです。

──そういったところも含めて、ツアー・ファイナル以降のライヴの見せ方にも期待が高まりますよ。
景夕:【Asymmetry Circus】ツアーが終わってもライヴはたくさんあるので、そっちの用意もしないといけないなという感じですね、今は。
靖乃:同時進行で色々なことを進めていかないと。6月30日には高田馬場AREAでアニバーサリー・ライヴをやるんですけど、ここでは切り口を変えてセットリストを組んでいく形になるかなと思います。

──その後にはコスプレ・ライヴがあるなど、予定は盛りだくさんです。そして、待望の17周年ライヴが9月11日にあります。
景夕:僕としては、もう17年経ったのかというのと、まだ17年か、というどちらの気持ちもあるんですよ。
靖乃:17才、年齢でいったら高校2年生じゃないですか。そう考えると、ハングリーさは昔と比べても負けていないなと思いますね。やっぱり、バンドって、ただ一辺倒でやっても面白くないんですよね。なので、ここ何年かは遊びの部分も大事にして活動しています。
景夕:アニバーサリー・ライヴも大事ですけど、まずは、【Asymmetry Circus】ツアーをしっかりとやりたいなと。新衣装もお披露目となるので、ファンのみんながどういう反応をしてくれるか楽しみです。

Interview:ERI MIZUTANI