2018年11月25日日曜日

2018.12月号 ダウト

──リード曲の「金魚蜂」はバンドの音だけではなく、他の楽器も交えた仕上がりとなっていますが、具体的にはどのような楽器が入っているのでしょう?
玲夏:ホーンと鍵盤ですね。いつもだったら打ち込みで済ませるべきものを、今回は全部生でプロの方に演奏をお願いして。やっぱ、人力が交わることで空気感が違いますね。

──打ち込みで済ませていたら無機質に聴こえていたと思います。ちなみに、打ち込みでやってみようという案もあったのですか?
玲夏:いや、この曲はホーンは生が良いっていう風には最初から言っていたので、デモの段階からホーンの音は入れてたんですよ。

──なるほど。それにしても、以前に増して楽曲に対するこだわりは強くなっている気がしました。そこは歌詞に対しても同じですか?
幸樹:それはもう。自分が書く上でタイトルがわからなかったとしても、こう言っている曲ねっていうのは特にシングルに関しては大事にするので。

──今回、敢えて難しかった部分を挙げるとするなら?
幸樹:最後のサビのリズムがとても難しかったです。

──そこは、作曲者である玲夏さんの意向を汲み取ったのですか?
幸樹:エンジニアさんと、絶対こうしろってことだよねって話をしていて(笑)。基本、この曲は直すほどに面白くなくなってくるだろうと思ったから、納得のいくまで歌おうって感じでやったんですけど、17時から0時まで歌っても納得いかなかったので、その日はここまでにしようって一端やめて。

──ここ最近、そこまで時間をかけて録りに臨んだのは珍しいことではないですか?
幸樹:そうですね、いつもはそんなにかからないので。けど、この曲はもっとやってやろうっていう熱が出ましたよね。
玲夏:制作をしていく段階でここまで1曲に入魂するのって久々だなぁって。それは他の楽器を入れるっていうのを含めてなんですけど、今までが手を抜いていたという意味ではなく、この曲に対してのアイデアっていうのがどんどん膨れていってっていうのがモチベーションにも繋がったりだとか。だから、早く聴かせたい感は強いですね。

──ストレートな感じでくるのかなと思いきや、セクションごとに展開が多いので聴き応え充分だと思います。ひヵるさんは、この曲のレコーディングを振り返ってみていかがですか?
ひヵる:それこそ、かっちりと縦に合わせる雰囲気の曲ではないなと感じていたので、良い意味でリラックスして弾きましたね。

──遊び心が出ています。
ひヵる:ギターは割と賑やかしな感じの立ち位置かなと思ったので、その意味で騒がしく弾けばいいかなという感じでした、気持ち的には。優等生だとつまらないというか、どちらかというとやさぐれている音の方がこの曲には映えるかなと。

──そのとおりだと思います。では、威吹さんはこの曲に対してどのような想いでレコーディングに臨みましたか?
威吹:いつもレコーディングでは部分録りといって、Aメロ、Bメロ、と部分ごとに分けて録っていくんですけど、今回は1曲を通して弾いてみたりしましたね。あとは自分の中で音の思考がガラッと変わったというのもあり、ひヵるとの音の違いを楽しめるんじゃないかなというのはあります。

──今、「音の思考がガラッと変わった」とおっしゃいましたが、そのキッカケは何だったのでしょう?
威吹:色々とマイブームがあるんですけど、この作品はこういう感じだなという自分の中での解釈があったので、それに合わせて変えてみたりしましたね。

──なるほど。では、その上で自分の中で大事にしたテーマといいますと?
威吹:自分の中でのギターらしさ、自分の思うギターの音、っていうのは今回は考えていきましたね。今まではこれが良いっていうのをやっていたんですけど、今回はこういう感じなんだろうなっていうところをついてみたりとか。

──それができるのもツインギターならではの面白さですよね。では、直人さんはどういったことを意識しながらこの曲を演奏していきましたか?
直人:難しい曲ではありますけど、純粋に楽しく録れたなって。体調的にはボロボロだったんですけど、今回はレコーディングの早朝から練習してスタジオ行くっていう感じだったんですよね。結果、その状態で録れたのが良かったのかなって。

──何ともストイックじゃないですか。
直人:ここにきてレコーディングに対するモチベーションが上がってるんですよ。とりあえず納得できるまでやらないとっていう気持ちが強くなってきて。なので、面白く録れたんだと思います。

──この曲のジャッジは、全て自分自身で行ったのですか?
直人:フレーズに関しては自分自身ですけど、フィーリングやノリに関しては珍しく作曲者がアドバイスが入りましたね。結果的にそれがすごく良い風になって。それもあったので素直に取り組めました。

──玲夏さんはご自身の録りを振り返ってみていかがでしょう?
玲夏:今回はアップライトベースで録ったので、弾き方が普通のベースとは変わってくるのでそれを割と今回レコーディングするってなって研究し直して。

──これまでにアップライトベースを使用したことってありましたっけ?
玲夏:あるんですけど、エレキベース風に弾いてたんですよね。でも、ピッキングとか全く違うので勉強し直して練習していきました。

──バンドが年齢を重ねたことで、ようやく似合う音が出せたのかなとも思ったのですが?
玲夏:何か、使っていて説得力ないのがすごく嫌で。あと、PC上でいじるっていうこともしたくないので、リズムがよれているのも敢えて残しているんですよね。1サビの頭はバッチリ決まっているけど、2サビの頭は微妙にずれているとか。それも人間的だなぁって。正直、カッチリしたパーフェクトな音って誰でも作れるんですよ。でも、いかにはみ出るかっていうところが最近は気持ちの良い部分ですね。

──おかげで、機械には出せない温かみが出たと思います。それにしても、楽器陣だけでも難しい曲を、よく幸樹さんは歌いこなせましたよね?
幸樹:僕の理念は“ライヴで出来ないことはしない”なので、出ないキーは無理に機械で上げないんですよ。やっぱり、ベストはライヴの方が良いねって言われることなんです。ライヴで披露するのってだいたいが音源を出した後じゃないですか。それなら、歌った当時よりもうまくなっていて当然だと思うし。それだけに、この曲もライヴで披露するのが楽しみです。

──カップリング曲の「爛」共々、ライヴで早く観たいです。
威吹:「爛」のオケは完成しているので、後は歌ですね。ただ、最初の段階からサビが変わっているんですよ。サビが変わったのは自分が作った曲でも初めてのことなんですけど、よりライヴに寄った曲になったのでお楽しみにという感じですね(笑)。

──来年1月からは、ダウトにとって単独公演をやるのは初めてというハコを中心としたツアーが始まります。今年もかなり多くライヴをやってきましたが、2018年はダウトにとってどのような年となりましたか?
玲夏:今年の頭が47ツアーの後半戦から始まったので、年中ライヴをしていたなぁという感じですね。各地、1本のライヴの大事さっていうのを前よりも噛みしめるようになったんですよね。感謝の気持ちとか、そういうのがすごく出てきていて。ライヴで自分たちが何をすべきか、そういうのを考えてやっているとすごく充実したライヴにはなりますよね。
直人:ずっとステージいたいっていう感覚になるんですよ。だから、練習をするにしてもライヴを想定して出来るから全くきつくないし。だから、今はライヴの為に生きているっていうところはありますね。そう思えたっていうのも、やっぱり47ツアーを廻れたっていうのは大きいと思います。
ひヵる:目まぐるしい1年でしたね。でも、目まぐるしいながらに楽しめたなって。何か、しんどい、もういややっていうのが全くなかったんですよね。むしろ、しんどいけどこれが良いみたいな(笑)。ほんと、リラックスして活動出来ました。なので、モチベーションも今と変わらずに穏やかな気持ちのままで来年に繋げていけるかなと思います。
威吹:すっごい忙しかったっていう感覚はないんですよね。何か、1日が濃かったので、その分稼働していないオフの日もゆっくり休むことが出来たというか。今年1年、自分の中でうまく切り替えが出来たと
思います。

──ちなみに、オフの日はどんなことをして息抜きを?
威吹:掃除ですね。
幸樹:俺の家も掃除しに来てよ。
威吹:自分の家限定なので(笑)。

──でもほんと、良い1年でしたよね。
幸樹:バンドやっていて良かったなと。色んなバンド仲間が活動休止や解散するのを見てきて続けることの大変さを知って。だからこそ、バンドを続けられることの喜びっていうのをこの1年で改めてわかりましたね。前は動員とか気にしてライヴをすることもあったんですけど、そういうのって結果論じゃないですか。それに、雑念を取り払ってやったライヴの方が確実に良いんですよね、パフォーマンスしかり演奏しかり。だから、今のうちらはすごく良いライヴをやっていると思いますよ。

──12周年記念特別公演も控えていることですから、楽しみは増えるばかりですね?
幸樹:そうですね。まぁ、来年も、これまでどおりの“やりたいことをやる”といスタンスで進んでいくので、ファンが期待している以上のことをやっていこうとは思っているし。まずは、来年1月からの「決意共鳴」ツアーをしっかりとやらないとその先はないっていうぐらいの気持ちでいきたいと思います。

InterviewERI MIZUTANI