2019年2月25日月曜日

2019.3月号 ベル

──先日、最新ミニアルバム『続々・鐘が鳴ったら事件が起きる』をリリースされましたが、以前も似たようなタイトルで作品を出されていますよね?
ハロ:はい。第1作目の『鐘が鳴ったら事件が起きる』と、その次に出した『続・鐘が鳴ったら事件が起きる』に続いて、今回の『続々、鐘が鳴ったら事件が起きる』となっています。
──前2作は会場限定での販売となっていましたが、今作は全国流通という形でのリリースとなっているんですね。
明弥:違いとしては、会場限定盤はライヴ会場や通販でしか売っていなかったんですけど、今回はCDショップに置いてあるので全国どこでも買えるという感じですかね。
ハロ:それこそ、『鐘が鳴ったら事件が起きる』をリリースしたときって、まだツアーも出たこともないような状態だったんです。でも、そこから4年が経って、ありがたいことにツアーもたくさん出られるようになり、こうしてベルの音源がどこでも手に入るようになったというのはすごく嬉しいです。
──作品を並べてみるとわかるのですが、やはりベルの世界観はブレていないなと感じます。
明弥:そうですね。今のライヴで昔の曲をやっても歓声が上がるので、昔の曲もちゃんと人気あるんだなっていうのは実感あります。あとは、原点回帰じゃないけど、色々なことをやってきた4年間でもあったので、ここでもう1回、バンドコンセプトである歌謡曲というところにしぼった音源を作ろうということで制作を進めていきました。
──それだけに、このタイトルにした意味があると?
正人:そうですね。このタイトルだからこそ作品が作りやすかったというのもあります。あと、曲が上がってきた時点で、みんなが『鐘が鳴ったら事件が起きる』をオマージュしているなと感じたんですよ。なので、ドラムとしても昔の要素を取り入れていこうと思いましたね。
──敢えて聞きますけど、このタイトルにしたことによって作曲面で難しかったところはありましたか?
明弥:それはあんまりなかったです。元々、歌謡曲も好きだし、もっと突き詰められるだろうという気持ちでいたので、改めて60年代ぐらいの歌謡曲を聴き返してみて(笑)。そうしたことで、楽しく作曲することができました。
──夢人さんも、作品タイトルにしばられることなく作曲に取り掛かることができましたか?
夢人:むしろ楽しく作曲できました。
──なるほど、そうなんですね。
ハロ:あと、僕たちは今年で5周年を迎えるんです。なので、さっき明弥も言ったように原点回帰の気持ちを持ちつつ制作に取り掛かったというのは大きいですね。
──『続々・鐘が鳴ったら事件が起きる』は、タイトルと同名のSEから始まります。
明弥:昨年9月のワンマンツアーから使っているSEなんですけど、SEを入れたアルバムってしばらく出していなかったので入れたくて。ドラムも打ち込みではなくちゃんとレコーディングしているので、聴いていてテンション上がりますね。
──続いての「自我の水槽」は、SEありきで作曲していったのですか?
明弥:そういうわけではないですね。でも、並べて聴いたときにインパクトがあったし、ライヴのテンションで2曲目にいけると思ったので、ここはノリの良い曲がいいなと。ちなみに、この曲はアルバム制作の中で最後に作ったんですよ。何か新鮮なことをやりたいね、っていうのをツアー帰りの機材車の中で正人と話していて。そこで、スタスタしたリズム、すなわちブラストビートの曲ってやっていないよねってなり、できあがったのがこの曲なんです。
──意外性がありました。
正人:このリズムをベルで取り込んでも違和感がないというところで僕らの進化は感じてもらえるはずです。ただ、ドラム自体は歌謡ではないんですよね。だからといって、90年代ヴィジュアル系という感じでもない。むしろ、割と新しめなリズムを意識して叩いていったんですけど、とりあえず腕に乳酸が溜まりますよね。それだけ動いている曲です(笑)。
ハロ:スタスタっていうリズムだと、黒っぽいヴィジュアル系っていうのがまず浮かぶと思うんですよ。けど、この曲は構成やメロディが歌謡という部分でのフレーズとして出てくるので、自分たちの覚悟が表れている1曲なのかなと思いましたね。
──ハロさんがこの曲の歌詞を書く際に意識したことは何でしたか?
ハロ:今までベルの曲って割と恋愛物の歌詞が多かったんですよ。でも、曲が今までと違う要素を入れてきているので歌詞も今までどおりでは面白くないと思ったんです。それで、今回は、自分って何だろうっていうテーマから入っていったんですよね。今後行うワンマンツアー「誰ガ為ニ鐘ハ鳴ル」にもつながってくるんですけど、誰の為に音を鳴らしていくんだろうって考えたときに自分と向き合う時間が増えたんです。で、そうなったときに、人間誰しもが持つ二面性に焦点をあてて歌詞を書いていこうと思ったんですね。ここでは、自制心や好奇心を1つの水槽に見立てているんですけど、押さえ込もうとすればするほどいつかは溢れてしまう。そうした思いから歌詞を書いていきました。MVは曲にガッツリと世界観を寄せて撮っているのでそこは見所かなって。
──ということは水槽が?
ハロ:出てきます。水族館にあるような大きな水槽がある場所で撮影できたので、イメージどおりというか、こだわって探した甲斐がありました。
──「夜行列車」は夢人さんの作曲ですが、どのようにして出来上がった曲なのでしょう?
夢人:これでもかっていうくらいのthe歌謡曲に仕上げました。くどいくらいの(笑)
ハロ:「自我の水槽」と同じように、これも曲ありきで歌詞は書いていきましたね。夢が歌詞は任せると言ってくれたので、前から書きたいなと思ったテーマを持ってきたんですよ。とはいえ、僕が夜行列車に乗ったのって子供の頃に1回と、大人になってからは乗ったことあったかなぁって(笑)。でも、夜行列車って哀愁があるなぁって思いませんか。
明弥:わかる。でも、今って、ずいぶんと夜行列車が少なくなったよね。
ハロ:そうなんだよね。ここでは、失恋した女の人が夜行列車に乗って新しい土地に行くっていう内容になっているんですけど、今までの歌詞と違うのは、カシオペアっていう実在する夜行列車の名前を歌詞に出したところですね。
明弥:この曲でベースはスラップやルートを入れてるんですけど、普通のスラップ奏法ではなくタイトでリズムを意識して弾いていきました。
正人:ドラムは、歌謡のドラムに寄せたという感じですね。今時のドラムで8ビートで四分音符の頭にだけしかキックを踏まないというのはなかなかないと思うので、やっていて楽しめましたね。
──「再定義」はライヴで映えそうな曲ですね?
ハロ:これもスラップ入ってくるよね。
明弥:うん。自分で作っておいて言うのもなんだけど、こんなに難しくしてしまって後悔してます(笑)。
正人:難しいよね~。
明弥:元々、ギターとベースのユニゾンをメインで作ったので難しい曲になるだろうなとは思ったんですけど、挑戦心ということでやってみました。あと、この後に出てくる「ルイスキャロル」と実はテンポが一緒なんです。
──それは気付きませんでした。
明弥:ですよね。BPMは一緒なんですけど、リズム次第でこんなにも雰囲気が変わるんだよっていう。
ハロ:それを知ったときは驚きました。
正人:俺も(笑)。
ハロ:「再定義」と「ルイスキャロル」は並べて聴いてみても面白いかもしれないよね。
明弥:それはほんと、ミニアルバムならではの楽しみ方だと思う。
──「ルイスキャロル」の歌詞はかなり過激な内容ですね?
ハロ:「再定義」は現代人に切り込んだ歌詞にしていこうと思って書いたんですけど、「ルイスキャロル」に関しては僕らが掲げる歌謡サスペンスに乗っ取って書いたところはありますね。それで、歌詞が事件性を匂わすような内容になっているんです。一見、不思議の国のアリスの世界観が描かれているように感じると思うんですけど、ここでの本当のテーマは小児性愛なんです。なので、可愛らしい曲ではないし、かなりのダークファンタジーに仕上がっていると思います。
正人:歌詞を書いた人の欲望が出ていますね。
ハロ:やめてよ(笑)。言っておきますけど、これは完全にフィクションです。
──「やってないわ」は、ベルの人気曲「やってない」をオマージュして作ったのかなと気になりました。そもそも、夢人さんはどのような思いで、この「やってないわ」を作っていったのでしょう?
夢人:「やってない」を超えるライブ曲を書きたいなら「やってない」の力を借りてみよう。と(笑)
──ライヴで早く聴きたいです。
ハロ:「やってない」を知っている人なら楽しめると思うし、続きを書くのに値する曲だなぁと。「やってないわ」では、いじめられていた子が転校してしまった後のクラスを描いているんです。1人がいなくなったからといっていじめが終わるわけではなく、普通に次のターゲットが生まれて繰り返されていく。そうした悲しい輪廻を歌詞で表わしているんですよね。
──「三丁目ブルース」は明弥さんが作詞・作曲を担当されていますが、これはもう、ザ・歌謡曲ですね?
明弥:ムード歌謡に近いですね。あと、この曲でこだわったのは、プリンセス プリンセスの「M」って知ってますか。あの曲を歌うときって、みんなサビではなくAメロから歌いますよね。それは、1サビが終わったあとにすぐAメロがくるからなんです。そうしたギミックを「三丁目ブルース」で取り入れてみました。なので、サビよりもAメロの方がインパクトがあるように聴こえると思います。
──歌詞でこだわった部分は?
明弥:歌詞は、「やってないわ」同様、言葉を繰り返して入れたかったんですよね。それで、最初の部分から《私踊ります 今宵踊ります》としているんです。なので、この曲だけでもかなりの音楽理論を勉強して作っていきましたね。
──「サクラグラフィー」は軽やかな曲ですね。
ハロ:これ、めちゃくちゃ曲が良いですよね。
明弥:当初、これをMVにしたかったぐらい。
正人:俺もそう思ってた(笑)。
明弥:ただ、歌モノのMVはこれまでにもあるし、それで考えると季節モノのMVもベルにはたくさんあるなぁって。なので、これは敢えて音源だけで楽しんでもらおうと。ミニアルバムの締めを飾るのに相応しい曲になったと思います。
ハロ:ベルって今まで季節の曲はあったんですけど、春の曲はこれが初めてなんですよ。ちょうどリリースのタイミングにも合うし、ほんとピッタリとはまりましたね。
──ライヴでも気持ちよく演奏できそうではないですか?
夢人:そうですね。どちらにせよ今回も演奏がめちゃめちゃ難しいのであらかじめ練習を重ねてライブに望みたいと思います!
明弥:歌をメインにしたかったので楽器がゴチャゴチャするよりもシンプルにいこうと。
正人:イントロのリズムはこれにしたいって俺があっきーに言ったんですよね。曲の哀愁感というか、そこをどうしても出したかったので。あと、イメージしたのは『続・鐘が鳴ったら事件が起きる』に入っている「万華鏡」の続きなんですよ。なので、この曲のCメロの歌入りのところは敢えて「万華鏡」と同じフィルにして。そういったところも聴いて楽しんでもらえたらなと思います。
──3月からワンマンツアーが始まりますが、そこではミニアルバムの曲は全部聴けそうですか?
明弥:そうですね。このワンマンツアーで全国に新しい曲を届けにいきたいし、ミニアルバムを聴いてベルが気になった人はぜひワンマンツアーのどこかに遊びに来てもらえたら嬉しいですね。
ハロ:今回、ワンマンツアーだけでなく、リリースにあたって面白い仕掛けを他にも用意しているんですよ。それもタイトルにかけて事件を起こそうという主旨で考えたので、全て楽しくできていたらいいなと。あとは、ワンマンツアーでも事件が起こせたらいいよね。
明弥:まぁ、ライヴが事件みたいなものなので、ハラハラ、ドキドキしながら楽しんでほしいです。
Interview:ERI MIZUTANI