2018年12月25日火曜日

2019.1月号 R指定


──「EROGRO」はR指定の2018年を総括するのに相応しい内容になっていますが、エログロという構想は前から温めていたのですか?
マモ:そうですね、エログロっていう言葉自体は頭の中にはずっとあって。なので、前回のアルバム『死海文書』を発売する前から次の構想があってこの曲にしたいなというのはあったんですけど、すぐに制作に取り掛かったわけではないんですよ。ある程度の形が見えてからメンバーに曲を送ろうと思っていたので、レコーディングは結構ギリギリにはなりましたね。

──それにしても、こうした内容の曲は今まで出してはこなかったですよね。でも、出しているように感じるというか。
マモ:R指定のバンド名だったり、MVからはエロやグロの要素って取れると思うんですけど、確かに曲としては今までそんなにはなかったです。何かヴィジュアル系にありきたりじゃないですか、エロとグロって。だから、そこまですすんでやってこなかったし、「EROGRO」っていうタイトルだけ聞いたらすごく激しい曲なのかなって思うかもしれないんですけど、絶対にそれにはしたくなくて。「EROGRO」という言葉のインパクトをそのまま捉えてもらうんじゃなくて、ちょっとお洒落なものにしたいかなって。ただのエロとかグロには自分もちょっと興味ないんでセンスのあるエログロにしたかったんですよね。

──エログロとお洒落って一見結び付かないものですが、「EROGRO」はだいぶお洒落に仕上げてきていますよね。
マモ:自分の好きな作家、例えば丸尾末広さんや江戸川乱歩さんが描く世界観ってただのエロやグロではないんですよ。なので、「EROGRO」もその表現には近いかなと思います。

──なるほど。この曲では同期音が入っているせいか、パーティーチューンにも聴こえますよね?
マモ:そうですね、ビートがずっと鳴り続けている感じというか。曲を作り始めたときピンク色が頭の中で浮かんできて。そのイメージがあったのでパーティーチューンというか、簡単にいえばクラブって感じですね。それで、同期もそっちに寄せていったんです。

──四つ打ちのリズムということですよね?
マモ:そうです。

──今までそうしたリズムはあったにせよ、アルバム『死海文書』の後に続く曲が「EROGRO」とは、メンバーもさぞかしビックリしたのではないですか?
楓:デモの段階からダンスナンバーっぽい感じの印象はあったんですけど、妖しい雰囲気もちゃんとあったんで、なるほどねっていう感じでしたけどね。だから、普通にイメージも湧きやすいし、最初から同期やシンセで雰囲気が出る方向だろうなっていう認識はありましたけど。

──同期音、かなり多めですが。
楓:そうっすね。でも、最近は多めっちゃ多めかな。まぁ、減らす傾向にはあるんですけど、その中では敢えてというか。最初は「魅惑のサマーキラーズ」の続き、「サマキラ2」ぐらいの感覚でいたんですよ。でも、「サマキラ」とは違う雰囲気がある曲なので良い感じやなとは思いました。

──実際にレコーディングしてみていかがでした?
楓:カップリングの曲もそうですけど、完全に7弦ギターで攻められるようになったし、普通に楽器の面白さを再確認しながらっていうところはありましたけど。割とシンプルっていえばシンプルだし、でもやることはやっていますよっていう感じでやれたかなって感じですね。

──ちなみに、レコーディングに入る前にギター隊でプリプロなどは?
Z:四つ打ちだったんで、どちらかといえば下を支えた方がいいかなっていうのは話して、動きすぎずリフをカチッとさせた方がいいっていう感じでした。正直、「EROGRO」は出来上がりで驚いたんですよ。

──Zさんから見て、この曲は最初どういったイメージだったのです?
Z:えっと、ここまでのダンスナンバーになるとは思っていなくて。なので、出来上がりはデモより100倍も良くなっていたので驚きましたね(笑)。まぁ、マモはここまでが見えていたのでこうした出来上がりになったんでしょうけど、俺はデモの段階でそこまで見えていなかったので。

──マモさん的にはこの出来上がりは予想の範疇だったんですね。
マモ:そうですね。形的にはイメージどおりに仕上がったかなと思います。

──宏崇さんは「EROGRO」に関してはいかがですか?
宏崇:作るときはあんまりタイトルを気にしていなかったのでそんなにタイトルとダンスチューンがどうっていうのは考えなかったんですけど、何をどうしたら今までと違う感じというか、四つ打ちはこれまでにもあったので違う感じを出せないかなと思って色々と考えたんですけど、普通が1番良かったです。

──具体的にどのようなことを考えたのです?
宏崇:四つ打ちっていうと、ドチ、ドチって感じじゃないですか。それで他のアプローチはないかなと思って探したんですけどなかったんですよね。裏打ちじゃないパターンもあったんですけど、結局はそれに落ち着いたなって。

──さっき言ったように普通が1番だったと。では、リズム隊でのプリプロは?
宏崇:ないです。そんなの今までに1回もしたことない。これに合わせてっていう感じなんで(笑)。
七星:宏崇が決めたやつに合わせるだけです。

──となると、七星さんが「EROGRO」のレコーディングを通して見えたことは何でしたか?
七星:ほんと、宏崇が言ったとおりかなと思います。昔だったら、むりくり違うことや面白いことを攻めていたかもしれないと思うんですけど、ベタなのがすごいっすね。

──一周回ってってきたという感じですか?
七星:戻ったというか、行き着いたんじゃないですか。いやぁ、ベタってすごいんすよ。

──ベタだからこそシンプルに聴こえてくるので良いと思います。あとは、歌詞で世界観が変わってくるというのも大きいのではないでしょうか?
マモ:そうですね。これが普通の歌詞で《ハジケようぜ!》みたいな感じだったらクソつまらないじゃないですか、メロディがキャッチーなだけに。なので、今回は初めから《目玉舐め舐め Show》は歌詞に入れたくて。これが出てくるのはBメロなんですけど、サビよりもこっちの方がインパクトあると思うんですよ。その分、サビはラフに歌ったというか。

──このインパクトのある一文をサビに持ってこなかったのは、最初から計算あってのことですか?
マモ:計算したというか、別に目玉舐めの曲ではないし。でも、トータルで聴くとそういうことかっていう感じもあるので、あくまでサビはキャッチーにした感じですね。

──近々ライヴで披露すると思いますが、パフォーマンスにも期待できそうですね?
マモ:楽曲が出来てここから色付けをしていくというか。基本的には楽曲に振り付けはいらないと思っているんですよ、ヴィジュアル系であろうと。ヴィジュアル系って全部の曲に振り付けを付ける傾向があるじゃないですか。けど、最低限でいいんじゃないって。例えば、「サマキラ」とかはダンスがあったからこそ今の定番の曲になったし、必要なものにはそういう風に振り付けを付けてもいいのかなって。だから、この曲もこれから色付けしていきたいと思います。

──カップリングの「アイアンメイデン」はZさんの作曲ですが、タイトルを見た瞬間、バンドか!?と。
Z:まぁ、イメージが強すぎてそうなりますよね(笑)。
マモ:Zに初めこのタイトルを言ったとき、ゴツすぎって言われました(笑)。

──元々、Zさんが曲を作る際に抱いていたイメージはどのようなものだったんです?
Z:イメージは、拳と折り畳みですね。単純に、ライヴでその2つが出来たら良いなって。まぁ、曲は数曲作っていたんですけど、1番最初に出来上がったのがこれで。それで、カップリングはこの曲にしようかってなったので、そこから仕上げていった感じですね。
マモ:この曲が出来たおかげで「EROGRO」とのバランスが良くなったと思います。ちなみに、タイトルは有名バンドではなく、拷問器具です。

──どうしてその発想に?
マモ:痛い歌詞というか突き刺さる歌詞を書きたくて、心に棘が突き刺さるというインスピレーションからアイアンメイデンとなりました。

──ライヴノリの良い曲とはいえ、歌詞は実に深いものになりましたね。
マモ:メロに関してはZと相談したんです。実は1回、Zが作ったメロで歌ったんですよ。でも、ちょっと古いなって。
Z:ちょっと違うねって(笑)。古き良きという感じだったら良かったんですけど、ただ古いっていう。
マモ:古いというか、若かったかな。アルバム『人間失格』に入っていたら違和感なかったと思うんですよ。でも、今の俺らがやったら違うなって。それで試行錯誤したんですよね。
Z:で、その後、勢いでマモに歌ってもらったらその1発がものすごく決まって。
マモ:メロを決めずに歌いました(笑)。
Z:投げやりというか、マモのインスピレーション一発でドンって出して。
マモ:おかげでハマりましたね。やっぱり、メロディってどうしても作る人の癖があるので、自分の感覚で歌った方がR指定っぽくなるというか、ハマりやすくなるなと思いました。

──曲のタッチが中盤でガラリと切り替わるのも面白いですね?
Z:こういう展開になったら面白いよなっていうのは漠然とありましたね。なので、これは最初から変わっていないです。

──この曲でZさんから他のメンバーに投げかけたことは何かありましたか?
Z:いや。自由に、ですね。ただ、聴きどころはライヴをやってみないことには分からないですね。展開があるのでそこが聴きどころになってもいいし、イントロが始まってAメロになってからもいいし、ライヴでどっちがみんなは好きなんだろうって。あとは、どのセクションを自分が1番楽しめるだろうっていうのはあります。なので、やってみてからですね。

──随所に聴きどころがありますからね。皆さんはいかがですか、この曲。
楓:元々、曲全体とか音に関してはZさんの中でイメージがあったので、それを確認しながら弾いた感じですね。必要な部分と不必要な部分を2人で話し合って、結果シンプルにかっこよく決めるっていう。あとは音色をそんなに変えていないので、その中でどれだけ展開を分かりやすくさせるかという面で、最後の切り替わる展開の一小節前のフレーズをちょっと突いてくれっていうのをエンジニアさんに細かく注文しましたね。
七星:曲が弾けっていうやつを弾いただけかなっていう。相談とかはしていないけどハマッたんじゃないかな。

──レコーディングの段階から、ライヴの絵はある程度見えていましたか?
七星:リズムが割と複雑なのでライヴはまだ想定は出来ていないですね。動きながら弾けるのかとか、今はまだそういう段階です。でも本当にリズムが難しいので、それを綺麗に出来るかどうかじゃないですか。そうしないと曲にノレないと思うので。

──やはり、ライヴが大事になってくると。
宏崇:いやもう、テンポチェンジも相当シビアなのでどうなるか分からないっす。「EROGRO」とは全然違うし、めちゃめちゃ難しいですんよ、これ。最初にデモ聴いたとき、メタルかと思ったぐらい。で、メタルっぽいから封印させていたシンバルを復活させたんですよね。それがレコーディングで良い具合にハマッたのでそこは結構こだわりポイントですね。今までやらなかったリズムパターンが色々と入っているので、ライヴは気合いでやるしかないです。

──ライヴでは前後に置かれる曲も注目ですね。
マモ:セットリスト的には、新曲だから中盤辺りには持ってきたいかな。でも、やってみないと分からないですね。けど、個人的には、こういう曲の方がライヴで自分を発揮出来るので音源よりも良くなりそうだなと。

──今後の予定としては、R指定-苦執念計画-最終公演『此の子の九つのお祝いに』があります。苦執念計画があったことで今年も充実した年になったのではないですか?
楓:そうですね、海外にも行けたし。
マモ:苦執念計画は来年1月8日で終わるんですけど、豊洲PIT公演で締め括るんじゃなくて10周年に繋がるようなツアーにしたいと思っているので派手にやろうかなと思ってます。

Interview:ERI MIZUTANI