2020年4月25日土曜日

2020.5月号 DIAURA

――コロナウイルスの影響もあり、音楽シーンではジャンル問わずライヴの延期や中止が相次いでいます。そんな中、DIAURAの皆さんは何をして過ごされていましたか?
yo-ka:制作ですね。外に出る時間が少なくなったので新たに機材を買ったりして。おかげで、曲作りがはかどりました。それこそ、普段よりも音楽家っぽいんじゃないかなって思うほどでしたよ(笑)。
佳衣:ここまでライヴをやっていないのは初めてのことだったので、正直もどかしい気持ちはあります。その分、自宅にいることが多かったので制作はしていたんですけど、いつものようにライヴで刺激を受けることがないだけに、どうしようかなと思う部分がありましたね。やっぱり、インプットがない状態で物を作り始めるというのは苦労するところでもあります。
翔也:俺は、ライヴに向けての準備を色々としていたんですけど、直前になってライヴがなくなってしまうっていう繰り返しだったので、少し息詰まってしまって。そこで、環境を変えてみようと思って機材を買いました。あとは、体調に気を付けているという感じですね。
達也:俺も制作していたんですけど、メンバーと比べると制作のスピードは遅いかなと思います。あとは一人虚しくスタジオでドラム叩いたり(笑)でも、こうやって影響を受けているのは音楽業界だけじゃなくて他の業種も同じだと聞いたので、そこは本当にもどかしい気持ちはありますね。早く以前と同じようにライヴをしたいという気持ちがありながら、今は一体、何と戦っているんだろうって感じるところもあって。ファンメールでも意見をもらうんですけど、ファンのみんなも気持ちの部分でつらいところは一緒なんだなと思いますね。

――やっぱり、ライヴバンドとしてこの現状はつらいですよね?
yo-ka:そうですね。だからといって、世間から可哀想という目で見られるのも嫌なんですよ。個人的には、こういう状況でもふさぎ込まず、このモードならではの覚醒の仕方があるんじゃないか、今できることをやっていこう、という気持ちで進んでいかないといけないなって。そうやって、気持ちを切り替えられたからこそ、通常の3倍ぐらいの速度で制作ができたのかなと思うんです。

――「ENVY」「Hydra」という2枚のシングル作品を完成させたばかりではあるけれど、その気になれば新作が出せるぞという勢いがあるわけですね?
yo-ka:もちろん。ここ1ヶ月ぐらいでアルバムが作れるほどの曲は作っているので。でも、今は、「ENVY」と「Hydra」を見てほしいかな(笑)。

――そうですよね(笑)。では、作品の話へと移りましょう。2作とも既にリリースはされていますが、今回、ミニアルバムではなく、シングルとして出した理由を教えてもらえますか?
yo-ka:新しい船出を打ち出した前作「FINALE-Last Rebellion-」。ここでは、メンバー4人が合致するDIAURAのイメージというのが100パーセント出せたと思うんですよね。その上で、ツアーにも臨めたし、これからの自分たちには何が必要だろうと考えることができたんです。そこで出した答えが、自分たちがワクワクするようなDIAURAとの出会いがほしいなって。例えば、新作をミニアルバムにしてしまうと、表題曲は1つ、衣装も1着、という前提の上でイメージを作ってしまうことになるけれど、敢えて今回はシングル2作で出すことによって遊びを増やそう思ったんです。そうすることで、作品ごとにキャラクターを変えられるし、後に続くライヴでも見せ方の幅が広がると思ったんです。簡単に言うと、1粒で2度おいしいというか、1つの作品なのに二つの表情をツアーでも楽しめる、単純かもしれないけどそういったドキドキ感を観てくれる人たちに感じさせると同時に、自分たちも同じ気持ちを味わいたいと思ったので、ミニアルバムではなく、シングルとして出すことにしたんですよね。

――これまでDIAURAはバンドとして正統派のイメージを築いてきたと思うんです。けれども、このようにして遊び心を出してきたところに面白さを感じましたし、そういった柔軟性を見せるあたり、ディオーラの影響もあるのかなぁと?
yo-ka:いや、彼らからは影響は受けていないですね。
翔也:あれは別物だからね(笑)。

――失礼しました(笑)。では、翔也さんから見て、「ENVY」と「Hydra」はどう捉えていますか?
翔也:まず、2ヶ月連続でシングルを出すというのが久しぶりなんですよね。だから、フットワーク軽く、色んなことができるのかなと思ったので、ヴィジュアル面でも遊びを効かせることができたし、普段見られないような感じを出せたかなって。

――それだけに、結成当初のような初期衝動を思い出したのでは?
yo-ka:確かに、これがかっこいいっていうものが歳月を重ねることでできあがってはいくんですけど、それだけじゃなくていいなっていうのがあったんですよね。もしかしたら、それはディオーラを見て感じたのかもしれないし。でも、1番大きかったのは、作れるんだからやろうよっていう気持ちがあったことですね。こっちの方が安定しているんじゃないか、こうした方がアベレージが高いんじゃないか、って考えるのは違うなって。それよりも、変にタブー視することなく、やりたいことをそのまま出した方が面白いというのは、去年1年の活動を通してわかったことではありますね。なので、今のDIAURAの現状としては、とりあえずやってみたらいいっていう感覚の下で作品を作っています。

――なるほど。私自身、どこかでDIAURAに対して思い描く像というか、理想とする形を作品に求めていたように思うんです。けど、こうやって自由な姿勢で作った作品もDIAURAなんだなと改めて気付かされたというか。
yo-ka:DIAURAのイメージがあるというのは、1つの正解だと思うんですよ。でも俺は、正解は1つではないと思っていて。色んな正解の形があっていいんじゃないかってなったときに、じゃあDIAURAに何ができるだろうかって出した正解の1つが、「ENVY」と「Hydra」だと思うんです。そういう風に作品を作れたというのも、DIAURAを9年やってみてわかったことなので、タイミングが早いか遅いかはさて置いて、自分としては良かったかなと思いますね。

――達也さんは、2ヶ月連続で「ENVY」をと「Hydra」出したことにより、これまでとは違う自分の一面が出せたなと感じていますか?
達也:そうですね。前は、変わらなきゃということに対して悩んでいたんですよ。でも、無理やり何かを変えなくてもいいんじゃないかなって気持ちが落ち着いてきたんです。というのも、僕個人としては、ここ最近はヴィジュアルイメージを大幅に変えることがなかったので、単純に「ENVY」と「Hydra」の2作を出したことで自分の良いものを引き出せたなと感じているんです。だからといって、ガラッとこれまでのイメージを変えるのではなく、自分が1番似合うと思うものを表現したいと思っていたので、そこを活かしながら曲の雰囲気に合わせて変えることができたんじゃないかなって。自分は自分だ、というか、常に自分が自信を持てるものを提示していけば、それが正解なんだなって思えるようになりました。

――そういう話を聞くと、今回は2ヶ月連続シングルという形をとったのが、DIAURAにとって有効的だったのだなと思いますよ。佳衣さんも、毎回作品を出すたびにヴィジュアル面で驚かしてくれますね?
佳衣:ちょっと飽きたから髪型を変えようと思ってやっているのではなく、作品の世界観を考えた上で、自分はこういうものが着たい、こういうメイクがしたい、って思うんです。だから、本当に曲ありきというところはありますね。あと、最近になって思うのは、DIAURAとはこういうバンドだっていうイメージがあるからこそ、良い意味で曲を通して裏切ることができるのかなって。今回出した「ENVY」と「Hydra」のように、振り幅の広い作品を作れたのは、DIAURAという1本の核があってこそだと思うので、曲に関しても新しいものをとりあえず作ればいいというのではなく、DIAURA節というのはすごく大事にしていきたいなと改めて思いました。

――4月1日にリリースされたばかりの「Hydra」でも、DIAURA節がふんだんに盛り込まれています。
佳衣:「Hydra」はすごく尖ったものにはなったと思うんですけど、曲単体でこうしようかなと考えたというよりかは、もっとさかのぼって、今回2ヶ月連続で出すとなったとき、「ENVY」はこういうイメージでいこうというところから割と派生していった曲でもあるので、「ENVY」と「Hydra」は別々の作品ではあるんですけど、2作で繋がりがちゃんと持っていたいなという想いがあったので、リンクするようなものがありつつという感じですね。だからといって、極端に、こっちはハードにこっちはキャッチ―に、という分け方をしたのではなく、1つの世界の中に2作品があるというのは意識しました。

――となると、表題曲の「Hydra」は、歌詞に対しても何か注文は付けられましたか?
佳衣:歌詞に対してこうしてくれというのは一切なかったですね。この曲はyo-kaが歌詞を書いているんですけど、そこは全て任せました。

――そこはやはり、信頼関係があってこそ?
佳衣:まぁ、長年一緒にやってますからね(笑)。あとは、今回のリリースにあたって共有できている部分が多かったので、改めて、歌詞に関して言わなくても大丈夫だろうって思ったんです。そうした上で、書いてきてくれた歌詞が曲の世界観に沿ったものだったので、心配はいらなかったです。
yo-ka:ほんと、言わずもがなっていう感じなんですよね。もちろん、自分としても曲ができるまでは歌詞が一言一句見えているわけではないんですけど、佳衣から最初に世界観を聞いた段階で、これは絶対に素晴らしいって思えるんです。なので、今回も曲とちゃんと向かいあったら、その曲が何を望んでいるかが見えてくる。それがDIAURAの音楽の軸なので、メンバーが作ってきた曲、そして自分が作ってきた曲に対しても何の不安もないんですよね。だから、どの曲を取っても面白くなったなと思います。

――ちなみに、表題曲「Hydra」の歌詞で言いたかったことは?
yo-ka:さっき佳衣も言っていたように、俺もこの曲単体で表現しようとは考えてはいなかったんですよ。今回は2作を通して時間の経過を表しているので、「ENVY」があっての「Hydra」だし、「Hydra」があっての「ENVY」という風に、無限に続く世界観を作っているんです。その上で、ツアータイトルの「BRILLIANT MONOCHROME」が示すように、鮮烈なものが「ENVY」ではほしかった。ただ、鮮烈とは謳いながらも、モノクロな部分も表していて。それが、「Hydra」へと繋がっていくんです。そうしたイメージがある中で歌詞は書いていったので、「ENVY」の熱がどんどん下がっていったところから「Hydra」が始まるんです。その落差を2作で出したいなって。だから、両方を通して経過を楽しんでもらいたいんですよね。

――世界観がそこまで練られていたとは。
yo-ka:「ENVY」が俺の曲で、「Hydra」は佳衣の曲ですけど、俺が最初に「ENVY」を作ったとき、世界観はまだ半分しか見えていなくて。けど、「Hydra」が出てきたときに広がっていったんです。だから、計算して作ったというよりかは、発見でしたね。まるで、パズルを1ピースずつはめていくような感覚で作ることができました。

――世界観しかり歌詞しかり、全てが合致することでDIAURAが作られていると感じますが、以前に増して演奏力も説得力が増してきましたよね。リズム隊のお二人は、改めて「Hydra」のレコーディングを振り返ってみていかがでしょう?
達也:原曲ができた時点で全てが噛み合っていたというか。ユニゾンは楽器陣でしているけどメロディとはうまい具合で絡み合っているとか、色々と細かな部分はあるんですけど、アレンジすることに関していったら、難しかったですね。完成系に近いところにあった曲を、いかに自分の色を出していくかというのを考えながらスタジオに入ったときに、変えていない部分はあるけど、自分が好きなように叩いていくというすり合わせをしていったんです。

――リリースを重ねるたびにハードルが上がりますね?
達也:めちゃくちゃ上がってます(笑)。それだけ、曲の難易度が上がってるんだろうなって。今回、2作品出したので計6曲あるんですけど、よくこんな振り幅が出せたなって。だから、自分もそれに対して返さないとっていう気持ちになるんですよね。でも、きっと、これからも挑戦は続くんだろうなって思います。

――ドラムのハードルが上がれば、自然とベースのハードルも上がると思いますが、翔也さんはレコーディングを振り返ってみてどうですか?
翔也:毎作、自分の中でハードルを上げてレコーディングには臨んでいるので、今回もできあがりには満足してます。で、その後リリースされたものを聴いてもらって、あそこの部分良かったねって言われるのが作品としても1番良いと思うので、ベースだけがどうこうという話ではないんですよね。だから、正直なことをいうと、ベースだけ褒められても、ん?って思うところはあります。

――そういう考え、すごくベーシストらしいなと思いますよ。目立ちすぎず、引っ込みすぎずという。
翔也:バンドの中で自分だけ目立とうという気はないんですよね。それより、楽曲が良ければいいという感じなので。だから、昔ほど、俺が俺がという考えはなくなりましたね。それもあって、今は自由にやれているんだと思います。

――カップリング曲の「ポワゾ」は、毒のある1曲となっていますが、作詞作曲を手掛けたyo-kaさんの狙いは何だったのでしょう?
yo-ka:元来、こういった世界観の曲が好きなんですよね。昔だったら、曲ができたとしても趣味フォルダーに入れて終わりだったものが、自分の好きなものを自然と提示することによって、表現者として健やかになれるというか。その上で、今のDIAURA、そして未来のDIAURAに対して、こうした部分を今後どうやって共存していこうかと考えるのがすごく楽しいんですよね。

――「Promised Land」は、また違ったタイプの楽曲になっていますよね?
佳衣:「ポワゾ」じゃないですけど、俺も単純に好きな曲が作りたかったんです(笑)。だから、テンポ感にせよコード感にせよ、良い塩梅のものができたなって。
yo-ka:どちらも、狙わずとも響く曲になったと思います。それだけに、どんな曲をやっても聴かせられる自信は付きましたね。

――それは、ようやくDIAURAを乗りこなせる時期が来たという感じでもありますか?
yo-ka:それはあります。前はDIAURAに引っ張られるときもあったけれど、今は引っ張っていっているし、変幻していく時期なのかなって。だからこそ、DIAURAは今が1番面白いと思います。

Interview:ERI MIZUTANI