──昨年11月にルミナさんが加入されましたが、新体制の準備は早い段階から進めていたのですか?
ハロ:準備というか、ひたすらルミナを口説き続けていましたね。そもそも、僕とルミナって7年前から知り合いなんですよ。当時はお互いに違うバンドをやっていたんですけど、ルミナがレーベルの後輩ということもあって仲良くなったんです。で、僕が新しいバンドを組むからって言ったときもライブを観に来てくれて。まぁ、それがベルの始動ライブだったんですけど(笑)。
──何という偶然。
ハロ:今思えばそうですよね。そこからしばらくして、去年ベルが3人体制になってしまったとき、僕らは何をやればいんだろうって分からなくなってしまったんですよね。本当に全員が落ち込んでいたし、僕もバンド人生で1番しんどい時期だったなぁって。これまでも壁にぶつかることはあったけど、今回だけは乗り越え方が分からなくて(苦笑)。でも、結局、新しいメンバーが入らないことには次に進めないと思ったんです。他人任せに聞こえてしまうかもしれないけど、これからのベルを表現していくためには、自分たちだけでどうにかできる問題じゃないなと。
正人:もしも、3人だけで活動する期間がいつまでって決まっていたら、そのときを目指して頑張ることができたと思うんですけど、3人になった当初はそんなことも全く決まっていなくて。だから、この状態が何ヶ月続くんだろうっていう不安はありました。
ハロ:ちょうど、5周年記念ツアーが決まっていたので、それをこのまま3人で廻るのか、それとも新体制で廻るのかっていう話を3人でしていたのをすごく覚えていて。結局、腹をくくって3人で廻ることに決めたんですけど、ツアーファイナルをきっかけに、夜が明けますように、新しい朝が来ますように、っていう願いを込めて、ツアーのタイトルを「維新開花の夜明け前」と付けたんです。その甲斐あってか、無事にツアーファイナルで新体制となることが発表できて。
明弥:でも、自分たちとしては結末を2パターン考えていたんですよね。
──と、いいますと?
明弥:ルミナを誘ってはいたものの、断られたときと、入ったときの2パターンを。
ハロ:嫌な言い方だけど、夜が明けなかったときのパターンね(苦笑)。それまでもサポートしてくれるメンバーもいて随分と手助けしてもらっていたんですけど、やっぱり本メンバーとは違うんですよね。というのも、本メンバーだったらバンドの未来の話ができるじゃないですか。だから、絶対に加入してもらいたいと思って、ルミナにはめっちゃうまいもの食わせたんですよ。
ルミナ:良い店に連れて行ってもらいました(笑)。でも、加入の決め手は食べ物だけではないですよ。
ハロ:食べ物だけだったら切ないよね(笑)。
ルミナ:始動ライブも観ていたし、僕はベルの存在はもちろん知っていたし、曲もずっと聴いていて。でも、最初に話をもらったとき、僕は別のバンドをやっていたんです。だから、ベルに入るということは全く考えもしなかったんです。でも、しばらくして、やっていたバンドの解散が決まってしまい、ベルのメンバーと改めて話をする中で、自分の中でも少し考えたいなと思い、とりあえず解散の日まで待って下さいって言ったんですよね。ただ、そのときも僕の中では、バンドが解散したら今後は音楽をやらないかもという方向でいたところはありました。
ハロ:それ、言ってたね。
ルミナ:そういう気持ちではいたんですけど、ベルのメンバーと一緒にスタジオ入るうちに、自分自身、バンドやめられないなって。とにかく、ベルの曲に惹かれたんですよね。だから、これからも音楽を続けるんだったらベルに入りたい、ベルしかないって思ったんです。
ハロ:そう思うと、最初にルミナがベルの始動ライブを観に来てくれたのも、何か意味があったのかなって思いますね。そして新体制となったわけですけど、前と比べても根本的なテーマは変わっていないんです。ルミナからも、そこは変えないでくれと言われていたので。
ルミナ:僕は、ベルがバンドコンセプトとして打ち出している歌謡の部分が好きなので、そこは変えてもらいたくないなと思ったんです。
ハロ:なので、僕らとしては、気持ちの面では何も変わっていないんです。むしろ、ルミナが入ったことによって、ブラッシュアップできるところが増えてくるんじゃないかなと。
──前向きですね。
ハロ:はい。あと、去年のうちから、先々の目標に関しても色々と立てていたんです。その中でも、まずは周年記念であるキネマ倶楽部でのワンマンを成功させようって。僕たち、周年はいつもキネマでやってるんですけど、今年は4人で必ずソールドさせましょうって。だからこそ、そこに結び付くような活動を2020年はしていこうって決めましたね。
──先が見通せるっていうのは本当に良いことです。今年最初のリリースとなるミニアルバム『解体新書』はメンバー全員が作曲を手掛けられていますけど、メインコンポーザーである明弥さんからすると、他のメンバーにも曲を書いてもらいたいという気持ちは昔からあったのですか?
明弥:それはあんまりなかったですね。自分が曲をもっと書きたいっていう気持ちでいたし、前は夢(夢人)がいたので、他のメンバーに作曲面で任せようという考えはなかったんですけど、新体制になるにあたってサポートの人も入ってくれたりとか、色んな新しい要素をベルに入れてくれてライブ作りや音楽が変わっていったので、それをそのまま音源でも見せたいなっていう感じでしたね。
ハロ:ちなみに、僕も正人も今までに作曲したことはあるんですよ。ただ、作曲スキルでいったら明弥と夢人の方が高かったので、ベルを組んだ時点でメインコンポーザーはこの2人でやっていった方がバンドの地盤を固められると思ったし、軸を作る上でもブレないからいいんじゃないかって思ってたんです。けど、そうやって培ってきた土台の上に新しい柱を立てていかないといけないって今回は思ったので、シングルよりもミニアルバムという形を取って、僕らの表現したいことを全部詰め込んだ感じではありますね。
──新しいことにもだいぶ挑戦していますよね?
ハロ:今回、明弥が良い曲たくさん持ってきましたからね。
明弥:割と今までにやったことがないというか、変拍子をいっぱい入れた曲とかあります。
──「愛と免罪符」も明弥さんの作曲ですが、この曲をリード曲にしようと思った決め手は何だったのですか?
ハロ:全員一致ではあったんですけど、僕はベルが3人になってからライブに対してすごく力を入れるようになってきたなって。というのも、どちらかというと今までは楽曲に力を入れてきて、ライブはベルの世界観を見せることにこだわってきたんですね。でも、ライブの勢いやメンバーのアグレッシブなパフォーマンスを見せたいっていう風に、僕の中で気持ちが変わってきて。なので、今回、ミニアルバムの中から1曲ミュージックビデオを撮るってなったときに、これから4人で作っていくベルというイメージに最も合っている「愛と免罪符」が良いなって思ったんです。
──映像を観て納得ですよ。新生ベルに相応しい内容だと思います。
ハロ:今までだったら倉庫で撮影しようという考えにもならなかったと思うんですけど、楽曲のイメージに合う映像は撮りたかったので、衣装始め、トータルでかっこよくなったと思います。
明弥:ベルの中ではアッパーチューンなんですけど、ルミナが入って勢いを出すという意味でも、良い曲に仕上がったかなと思います。
ハロ:アッパーチューンなんだけど、しっかりと歌モノなので。そこに関しては僕らのブレていない部分が出せたと思うので自信はありますね。
──バンドとしてのかっこ良さが出てますよね。ルミナさんは「愛と免罪符」についてどう思いますか?
ルミナ:想像以上の曲になりました。まず、今のベルを崩さずにライブバンドとしてどうなっていくんだろうって考えていたんです。そこに関しては、今まで5年間やってきたメンバーの意見を知りたかったんですけど、この曲が来たときに、これだ!ってピンときて。ほんと、ベルを崩さずかっこいいライブ曲っていうのができたなって思います。
──次の「アイデンティティー」は、1曲の中での展開の多さにびっくりしました。
明弥:超豚骨スープみたいな曲ですよね(笑)。
ハロ:新しいベルを打ち出した「愛と免罪符」からの流れからこういう変拍子の曲が来る辺りで、このミニアルバムは普通じゃないなって思ってもらいたかったんですよね。でも、正直、ボーカリストとしては歌いにくいなぁって思ってしまったぐらい、難しい(笑)。
正人:ドラマーとしても面倒くさいなぁって(笑)。
ルミナ:ギタリスト的にも地獄でした(笑)。
明弥:確かに、4分の4拍子があって、8分の6拍子もあって、4分の7拍子もある。他にも色々なパターンが出てくるので難しいと思います。これはほんと、聴き触りとかも考えずに作っていきましたからね。
ハロ:これを作ったときはシラフじゃなかったと思いたい。
明弥:いや、飲んではいなかった(笑)。けど、最近の楽曲って展開多いのが増えているじゃないですか。その点では、ベルは1A、1B、サビ、っていう風に分かりやすい構成の曲が多かったんですけど、たまには訳の分からない曲を作っても面白そうだなって思ったんです。
ハロ:これは早くライブでやりたいよね。
──「平行線」はハロさんが作詞と作曲を手掛けられていますが、歌詞と曲、どちらから先に作っていったのですか?
ハロ:実はこの曲、サビのメロディと歌詞の両方が7年ぐらい前からあったんですよね。どこかにメモをしたというわけでもないのに、自分の中でずっと残るメロディだったんです。それで、いつかは使いたいなって思ったんですけど、今回、他のセクションをあっきー(明弥)にアレンジしてもらいながら完成させたという感じですね。今まで以上にベルらしさを出したいと思っていたんですけど、想像どおり、いや、それ以上の曲になりました。
──「メーデー」も「アイデンティティー」同様、変わり種の曲ではありませんか?
ハロ:あぁ、そうですよね。今回、あっきーの曲って攻めてますよね。
明弥:やっぱり、新体制になったというのは大きいですよ。それによって表現の幅を広げられたというか。あとは、こういう曲ができるぐらいに技量が伴ってきたのかなって。これはスローテンポでダークな曲なんですけど、今までのベルにはあまり観られなかった雰囲気だと思うので、僕自身めちゃくちゃ気に入ってます。
──正人さんの作った「花市匁」は、ライブで確実に盛り上がりそうな曲ですね。
正人:僕の場合はリズム先行で作っていくんですけど、明弥にデモを持っていったのが曲出しの何日か前で。ただ、デモには僕のつたない鼻歌も入っていたんですけどね(笑)。やっぱり、ライブに強いバンドになりたいっていうのは僕自身も思っていたことなので、僕が思うベルの新しいライブ曲っていうところで、こうした尖った楽曲になりました。
ルミナ:この曲はレコーディングがすごく楽しかったですね。自分の中でライブを想定して、こういう風にしたいっていうのがそのまま表現できました。
──「fake
show」と「嘘」は明弥さん作曲ですけど、方向性が随分と違う2曲を並べてきましたね?
明弥:「fake
show」も「花市匁」と同じようにライブ曲だと思います。このテンポの裏打ちリズムはノリやすいかなと思って作ったんですけど、肝はリズムチェンジするところなんですよね。例えて言うなら、スーパーマリオがスター取ったときみたいなイメージ(笑)。あと「嘘」は、ライブを想定して作ったというよりかは、ベルの良さを引き出せるのはこういう曲だろうなっていう感じで作っていきましたね。最近、サビ始まりの曲が少なかったのでサビ始まりにしたんですけど、2サビの部分ではサビにいくかと思いきやCメロにいくという工夫をしています。
──そして、ルミナさんが作った「透明。」は“左脳盤”のみに収録されます。
ハロ:6曲目まで振り回されてもらって、「嘘」で安心しつつ、そのままフラットな「透明。」を聴いてもらえたらなぁって。
ルミナ:僕的には、人生について書いたつもりなんです。そうしたら、歌詞でも人生観が表れていて。この先のこととか、悩みとかをハロさんが歌詞に書いてくれたから、僕からは何も言葉にしていなかったのに意志の疎通ができたってびっくりしてるんです。
ハロ:まさにこういうのを書いてほしかったって言ってくれたので、嬉しかったですね。ほんと、“右脳盤”と“左脳盤”どちらも聴いてもらいたいです。
──本作は、曲からは想像できない歌詞が乗っているのも特徴だなと思いました。良いギャップがありますよね。
ハロ:歌詞に関してはほんとそうですね。今回、ミニアルバムというだけあって8曲分の歌詞を書かなくてはいけないので、それぞれ違うテーマで書こうと思ったんです。なので、8作の短編を描いていった感じはありました。でも、こうして出来上がってみるとうまく調理できたかなと。本作で僕らの表現したいことが提示できたので、ぜひ、3月から始まる新体制となって最初のワンマンツアー「4カウント」にも遊びに来てもらえたらなと思います。
Interview:ERI
MIZUTANI
