──11月20日に最新作「私ノ悪イ癖/白昼夢」が発売されますが、タイプBに収録されている「海月」は既にライヴで披露されたそうですね。作品がまだ世に出ていないだけに、新曲初披露というのはさすがに緊張したのではないかなと思ったのですが?
遼:緊張はないですね。でも、初めて演奏した割にはすごくノッてくれたなぁと。
紫月:ファンの反応は良かったです。
──それだけに、楽曲の伸びしろも感じられたのでは?
遼:あぁ、そうですね。
──とりあえず、発売前に披露しているのは「海月」だけですか?
遼:あと、「白昼夢」もライヴでやってます。まだ2回しかやっていないんですけど、その間にフレーズが変わったんですよ。
紫月:この曲は今年6月のWEST単独公演で初披露したんですけど、そのときとフレーズはまったく違いますね。前のギターソロとか覚えてます?
氷龍:いや、覚えてない(笑)。
紫月:っていうぐらい変わったんですよ(笑)。
──短期間でそこまで変化を遂げるのはすごいですね。他にも「白昼夢」のように大きく変わった楽曲ってこれまでにありましたか?
遼:あると思います。リリース前にライヴでやった曲は、大抵変わるので。
──もしかして、変わることを前提として制作しているとか?
紫月:そう思っておくと楽かもしれないです(笑)。
──そもそも「私ノ悪イ癖/白昼夢」は、時期的にいつぐらいから制作を始めたのです?
遼:8月には出来ていたんですけど、1度全部なくしたんですよね。タイトル始め、翌月には最初から作り直していきました。初めは「鴉」という曲があったんですよ。それがある程度の形として出来ていたので、そのままメンバーに投げたんですけど、納得できなくて作り直したんです。それが結局、「私ノ悪イ癖」という曲に生まれ変わりました。
──ちなみに、「鴉」の行方は?
遼:もう捨てちゃいました(笑)。今まではストック曲は別に溜めていたんですけど、最近はリリースごとに曲を作るようにしてます。
──潔いですね。しかし、曲のタイトルだけでもかなり印象が変わってきませんか?
紫月:タイトルはおろか、曲自体もだいぶ変わりましたからね。とりあえず楽器隊としては、「鴉」のデモをもらっていたので、よし取りかかろうという段階ではあったんですけど、そのタイミングで遼からもっと良い曲が出来そうだって言われてストップがかかったんです。
──それはすごい。
遼:前持って作った曲でも納得がいかなかったら出さないし、ギリギリで出来た曲でも納得がいくならそっちを優先したいなと思ってるんです。なので、今回は曲を作ってはいたけれど、それよりも納得のいく曲が出来たという感じなんです。
──元々あった楽曲を上回る“何か”があったからメンバーにストップをかけたと思うのですが、その“何か”が遼さんの中には明確に見えていたのでしょうね?
遼:そうですね、普段歌詞は曲ができて1番最後に書くんだけど今回は歌詞も既に書いていたので。でも、そこからサクッと制作が進んでいったわけではないんです。この後もかなり時間をかけて練っていきました。
紫月:けど、変更して正解だったと思いますよ。絶対、最初のときよりもこっちの方がかっこいいので。
──モチベーションとしては、最初の段階から変わることはありませんでしたか?
紫月:そうですね。前回、アルバムを作ったんですけど、そのときよりかは効率良く作業していこうっていうのは、最初に遼が曲を持ってきた時点で言ってました。
──その上で、遼さんからメンバーに投げかけた注文は?
遼:「私ノ悪イ癖」と、Aタイプに収録されている「籠女」に関しては、デモに忠実な感じで弾いてくれとは言いましたね。逆に、「海月」はメンバーに投げました。
──そこで初めて、ギター隊とリズム隊による話し合いが?
紫月:話し合いというか、「私ノ悪イ癖」はデモそのままっていう感じでしたよね。
氷龍:今回リード曲が2曲あって、「私ノ悪イ癖」は割とまんまでした。
紫月:もう1曲の「白昼夢」は、ツインギターらしいフレーズばかりですね。
氷龍:今回は2曲に限らず他の曲でも学んだことや気付けたことが多かったです。曲ごとに、こういう感じかなっていうのは事前に自分の中で考えてはいたんですけど、あとはもう自然にやりたいことを詰めていったというか。
──ギター隊はお互いに、バランスがうまい具合に出せたのではないですか?
氷龍:僕は今年加入した身ですけど、お互いに信頼している部分があるなというのはレコーディングを通して実感しました。ここは任してみようとか、こっちは僕が考えてみようとか。そういう意味では、これからツインギターとしてもっとよくなるのかなとは思いますね。
──リズム隊はレコーディングを振り返ってみていかがですか?
或:ドラムに関して言えば、今までと違うリズムノリを出すというのが課題で。それを考えながらやっていったので、いつもよりも頭を使いましたね。それこそ、レコーディング当日まで寝ずに考えるっていうぐらいだったんですよ。
──その課題というのは、自分で決めたことですか?
或:遼くんと一緒に話していたんですけど、バンドのノリですかね。今までよりも良い方向にいくためにっていうのを考えた結果、そうした課題が出てきて。ただ、今回は自分が思っていたところまでは到達はしなかったので、そこはまた次回作に活かせていけたらなと思います。
──新作を出すごとに挑戦していくと。
或:そうですね。やっぱり今までどおりでいるよりかは、毎回変えていかないとなっていうのは自分でも思うので、そこは大事にしていきたいですよね。けど、今回のレコーディングを通して色々と見えたので、すごく良い期間だったなと思います。
憂璃:「私ノ悪イ癖」に関しては、遼くんからこういう感じの雰囲気のドラムになるっていうのは最初から聞いていたんです。その後で実際の録り音を聴かせてもらったんですけど、ノリとフレージングが初めてやるような感じだったので、こういう感じなんだなって納得しましたね。
──憂璃さんも遼さんと何回か話し合いはしましたか?
憂璃:「私ノ悪イ癖」のサビ部分のベースは、遼くんとかなりディスカッションしました。ただ、それを投げるまでに結構時間がかかったんですよね。作ってはバラしてっていうのを3回は繰り返しました。
──それはかなり大変ではないですか?
憂璃:他の曲はスムーズだったんですけどね。この曲のサビに関しては、作ってはみたものの何か違うなって思ってバラしてしまったんです。でも、結果的に、出来上がったものを遼くんに聴いてもらったら、これいいねって言ってもらえたのですごく嬉しかったですね。
──サビ部分、聴き所ですね。
憂璃:はい。他の曲も違ったベクトルでレコーディングできたので良かったです。「海月」はいつもよりワイドなベースを弾こうとか、「籠女」は下で支える感じで弾こうとか。そうやって変化を持たせたことで、自分の色を出せていけたらなという感じはありましたね。1音1音、新しいことをやろうという意識は常にあるので、今回の作品でも違うところに手を出せたのかなとは思います。
──各々、良い課題の下で制作が出来ましたね。それだけに、聴いていて4曲全てがリード曲のような満足感があります。ところで、歌詞も4曲そろって表現方法が異なりますが、今回歌詞を書く上で遼さんが意識したことは何でしたか?
遼:うーん、そんなに意識はしてないですね。自然と書いたというか。
紫月:その割にはエグいものもありますけどね(笑)。
遼 : エグいんですけどエグいとかグロいって所に重点を置いたわけじゃなくて。いろんな愛し方があると思うんですけど、はたから見れば異常でもこれはこの曲の主人公達なりの愛し方なだけであって。相手が何かを失っていく分、自分もそれと同等なものを自らの手で失っていく。相手と1つになりたかっただけです。
──なるほどですね。それにしても、音源でこれだけ完成度が高いと今後のライヴでどうなっていくのだろうと気になりますが?
遼:僕、セットリストは結構そのときの気分で決めているんですよね。その方が余計な事を考えずにライブができるんで。
或:気分でやりたい曲をやるっていうのもだいぶ慣れましたけど(笑)。
──ということは、この取材をしているのは作品の発売前ですけど、発売後に小出しにして演奏するのではなく、一気にやってしまう可能性があるかも?
遼:やってしまうかもだしやらないかもだし分からないですね。
──ライヴ、1本たりとも見逃せないですね。
紫月:まさにそうです(笑)。
──年末もかなりの本数でライヴスケジュール入ってますよね?
紫月:そうなんです。12月はめちゃくちゃ予定入ってますね。なので、イベントツアーに対しては、1番を取るつもりでやっていかないとなっていう気持ちではいます。
──12月19日には、或さんの生誕主催ライヴもありますからね。
或:そうなんですよ、バンドやってきて初めてです。だからといって、みんなが自分の言うことを聞いてくれるかどうかは分からないです(笑)。
──では、最後に。来年はどのような年にしていこうと考えていますか?
紫月:もっと躍進したいですね。今年、初めてのフルアルバムを作ったんですけど、レコーディングが終わった後もっとこうしたいって思えたので、機会があればまたアルバムは作りたいなって思います。
遼:あと今年はやっぱり、最初にWESTで単独公演をやったことが大きかったんですよね。そこでのライヴを経たことで自分自身もっと成長していかないといけないって思ったし、バンドのことも良い意味で広く考えられるようになったんです。その分、メンバーで話し合うことも増えて。だからこそ、バンドの一体感を強化して来年は更に良くしていきたいですね。メンバー全員が同じ方向を見なきゃいけないけど、人間が5人もいるから斜め上にズレてしまったりすることももちろんあるわけで。しっかり固めていきたいですね。
或:バンドとしてこうしていきたいっていうのが今後はより明確になると思います。
──来年2月には遼さんの生誕を兼ねた単独公演も控えているので、ヴァージュの進化を期待してますよ。
氷龍:目標としては、目の前のことをしっかりと見るっていう感じですかね。もちろん、僕としては先のことも見とるんですけど、先を見つつ、良いバンドになる為にもライヴ1本1本をしっかりとやる。その積み重ねによって来年も良くなるんちゃうかなと思っているので、とりあえず今を良くしていこうかなと思います。
憂璃:みんなと同じように、バンド単位でもっと良くなっていきたいです。あと、個人的には、変わりたいなって。成長うんぬんの話というよりかは、人として変わりたいっていう気持ちが自分の中にあるので、殻を破りたいなっていう課題はありますね。そこからまた、バンドを良くするという目標に向けて拍車をかけていけたらなと思っています。
Interview:ERI MIZUTANI
