2019年9月25日水曜日

2019.10月号 R指定

──新作を作るにあたり、マモさんの中ではどのようなテーマを掲げたのでしょう?
マモ:『日本八十八箇所巡礼』のときに、ツアーのテーマソング的な感じで「八十八箇所巡礼」っていう曲を出したんですけど、今回も同じように自分たちの背中を押せるようなテーマ曲がほしいなと思って。やっぱり、47都道府県ツアーって楽しいだけじゃなくて辛いこともあると思うんですよ。なので、オープニングテーマみたいなものが欲しいなと思ったんですよね。

──壮大なオープニングテーマができあがりましたね。「最高潮」や「最高点」という意味を持つ「CLIMAX」、すなわち、R指定の現在が最高潮だと受け取っていいですか?
マモ:まぁ、バンドとしては。

──個人的には?
Z:つねに最高潮です(笑)。

──楽曲を聴いて思ったのは、とても前向きだなと。
マモ:そうですね。今まで作ってきたシングルの中でも1番前向きな言葉かなっていう感じがしますね。何か簡単に言えば、アニメのオープニングとかって人の背中を押すような曲が多いじゃないですか。敢えて自分たちもそういうものを作ってみたいなって。

──R指定だと、普通の楽曲でも“敢えて”という表現になるところが面白いですね。あと、ツアーのオープニングテーマとして作ったということは、毎公演ごとに必須となりそうですか?
マモ:基本的には、1曲目にやりたいなとは思ってます。

──だいぶ明るいタッチの曲調になっていますけど、楽器陣にはどのようなことを意識して演奏してもらいたかったのでしょう?
マモ:そんなにごちゃっとせずに、割りとデモのままで演奏してほしいっていうことは言ったかもしれないです。

──ドラムはいつもと変わらず手数が多い気がします。
マモ:俺が作ったデモはもっと簡単だったんですよ。でも、そこから更にパワーアップした感じがしますね。
宏崇:確かに自分で増やしたんですけど、増やしてみて何てことをしたんだろうって。だから、ライヴは減らそうかなって。

──音源とライヴは別物だと?
宏崇:そうですね。音源は音源、ライヴはライヴ、っていう考えではいるんですけど、何かライヴで全部同じにする必要もないかなって。ただ、減らしたところで多いんですけどね(笑)。でも、この曲は歌モノなんでバック自体は結構抜いている感じなんですよ。最初はバスドラのパターンも難しいの作ってたんですけど、シンプルな方がいいと言われたのでシンプルになりました。

──いつも以上に自信作に仕上がったと思うのですが?
宏崇:この曲、R指定の中で1番好きですね。叩いていても面白いし、曲的にも歌詞的にも良いかなって。何か、歌詞はどこの部分がっていうよりも、全体的に身近に感じられるというか。例えば、《寂れた町のライヴハウス》もそうだし、地名が出てくるところとかも。これまでも地名が出てくる曲はあったんですけど、この曲はR指定の今までの歴史が入っているなって。

──メンバーそれぞれに共感できる歌詞ではありますよね?
楓:《高田馬場のライヴハウス》って歌詞が出てくるんですけど、高田馬場AREAは地方バンドマンにとって登竜門っていうイメージがあったので、初めてここでやれることが決まったときはすごいとこでライヴできるようになるぞっていう気持ちがありましたね。普通、歌詞に地名を入れるとダサくなりがちだけど、こうして聴いていて説得力が出せるっていうのは、マモっていう人が書いたっていうのはデカいなって思いますね。
マモ:悩んだんですけどね、高田馬場って地名を出すの。歌詞的には新宿や渋谷を持ってきた方が綺麗に聴こえるじゃないですか。
楓:まぁ、シュッとしたイメージの新宿や渋谷と違って、ぼってりしている感じはあるよね高田馬場って(笑)。
マモ:でも、入れた方が曲として説得力が増すかなと思って入れたんですよね。この部分しかり、R指定の時系列をたどって今の自分らの等身大を描いたので、俺だけじゃなくてメンバー全員が共感できる歌詞になったかなとは思います。

──七星さんから見て、「CLIMAX」はいかがでしょう?
七星:歴史をたどっているような感じだなと。

──では、この曲のレコーディングで挑戦したことはありましたか?
七星:挑戦したというか、10年間でやってきたアレンジを散りばめたっていう感じですかね。

──R指定の10年間、いわゆる集大成的なところを曲に盛り込もうと思ったのは、この曲でなくても考えていたことですか?
七星:いや、この曲だったからこそですね。「CLIMAX」っていうタイトルは先に決まっていたので。

──なるほど。特に気に入っているセクションなどは?
七星:どこかなぁ。全体的に気に入ってはいるんですけど、ギターソロ前のベースフレーズがうまくハマッたなと思って嬉しかったです。

──ギター陣は演奏に関していかがです?
楓:デモを聴いたときから古き良き感じがしたんですよ。リズムにベタベタな感じってR指定にはあまりないのでパワーコードで演奏してもいいんですけど、それだと自分的に面白くないなと感じたので、ちょっとお洒落なやつに変えていったんですよね。あとは、最後サビの前のセクションのとこで単純なアルペジオ、クリーンとかやってるんですけど、弾いていてこれ大好きだなって。あの頃の俺、こういうの大好きやったって(笑)。

──楓さんなりに古い良き感じを表現していると。とはいえ、昔のヴィジュアル系っぽさを全面に押し出しているわけでもなく。
楓:それこそ、オケと歌詞のバランスもあると思うんですよ。これが暗黒の内容を歌っている歌詞だったとしたら昔っぽい曲になってしまうだろうし。そう考えると、歌詞しかり、オケもアレンジも含めて変わってくるなって。

──だからこそ、さじ加減が大切になってくるのでは。ギター陣はお互いにバランスを考えて制作しているなと感じます。
楓:でも、この曲はやっていて自然とテンション上がりましたよ。ライヴもそうですけど、やっぱり弾いていて楽しさが感じられないと俺である必要がないし。そこはどの楽器もそうでしょうけど。

──確かにそうですよね。対して、Zさんはどのようなことを意識して弾いていきました?
Z:曲のテンポが小気味良いので、これはアグレッシブにやりました。あとは、サビとかもリズムに合わせていて結構ガチガチなので細かくしすぎたなと思うんですけど、重たくするところと軽くするところを頑張って弾き分けた感じがこの曲にはありますね。

──結果としてこのような楽曲がリード曲になりましたけど、Zさんの中では最初にどのようなことを思い浮かべながら制作にあたっていったのです?
Z:今回は、曲作りを始め、結構気楽にやっていたんですよね。それもあって、自分としては訳の分からない曲も作っていて。それをマモにめっちゃ送ってました(笑)。まぁ、楽しんでやっていきましたね。

──今作でラフな様子が出ていたのは、そういうところも関係しているのでしょうか。ところで、その最初に作っていた曲はどこへ?
Z:いやぁ、それはもう抹消ですね。あれは完全に遊びながら作っていたところはあるので(笑)。けど、こうして「CLIMAX」がリードに来たことによって、シングルに相応しい曲になったなと思います。

──バンドにとって10周年という節目の作品でもあるだけに、このシングルが出来上がるまでは難しさもあったと思いますが、アー写を始め、内容がとても良くなりましたね。
マモ:10年じゃなければこういう曲も作らなかっただろうし、こうした歌詞も書かなかっただろうし。そう思うと新鮮な気持ちでやれたかなと思います。

──カップリング曲の「アビスカルマ」は七星さんの作曲ですけど、どのような感じで完成させていったのでしょう?
七星:そもそも、この曲自体、「フラッシュバック」のときに作っていたもので。そこから、今回収録するために内容を詰めていったという感じですかね。とにかく間奏部分とか長いですよね。

──七星さんの作る曲はインストゥルメンタルが多い印象なので、とくに違和感はありませんでしたよ。それよりも、起承転結がちゃんとある曲だなと。
七星:まぁ、そうですね。普段インストを作っているので起承転結とかは意識してるので、この曲もそんな感じじゃないですか。
マモ:七星は他にも曲を持ってきてくれたんですけど、メロディがちゃんとしていて「CLIMAX」とちょっとかぶっているなと感じたんですよね。
七星:そう、明るくて。
マモ:なので、敢えてこっちの曲を選んだというところはありますね。

──歌詞に関しては、マモさんに何かこだわりを伝えて?
七星:いや、何も言っていないです。
マモ:インスピレーションでパッと書けましたけどね。でも、歌が主役というよりかはバックサウンドがすごくかっこいいので、本来歌が入るだろうなっていう部分も結構減らしていってコンパクトにまとめた感じにはしたんですけど。それと、シングルとしてのバランスも考えたので、「CLIMAX」と同じような歌詞にしても面白くないなって。
七星:この曲、最初の仮タイトルが「デスドライブ」だったんですよ。でも、「CLIMAX」「デスドライブ」と来て、「人生謳歌」って。何か、死ににツアー行くんじゃないかって感じじゃないですか(笑)。
楓:ただの走り屋(笑)。

──これまでの思い出が走馬灯のように(笑)。
マモ:なので、この曲は「アビスカルマ」で決定です。
七星:タイトルが変化したことによって、すごく深くなったなと。

──「人生謳歌」は宏崇さん作曲ですが、これも前から温めていた曲ですか?
宏崇:リードのフレーズは前からあったかな。でも、今回のシングルのために2、3日で作った曲なんですよ。曲って、出てくるときはすぐに出てくるんですよね。
マモ:メロとかはほとんど宏崇が考えたものを採用して。だから、メロディの流れは原曲どおりって感じです。あと、サビとかは全員で歌っているイメージっていうのは聞いていたので、それっぽい言葉を選んで歌詞は書いていきましたね。
宏崇:音源だとみんなの声はあんまり聴こえないかもしれないけど、最初はあんまりにも青春しすぎていて。
マモ:あぁ、青春パンクっぽかった(笑)。
宏崇:およそ、ヴィジュアル系とは何も関係ないっていうバンドらしさが出ていたし(笑)。
楓:でも、こんなに長いことコーラスを歌ったのは初めてですよ。
Z:うん。初めてじゃないですか。
七星:全然終わらんかったもん(笑)。
Z:ズレてるところもあるよね(笑)。

──楽しそうです。
マモ:この曲の歌詞はいつも書いている感じに近いのかな。

──R指定らしさが出ていますよね。ただ、いつもとは少し違う要素も見られます。
マモ:あぁ、それは何ででしょうね。宏崇の影がどこかでちらついていたのかもしれない。
Z:宏崇の人生がのし掛かってる(笑)。
宏崇:深くないメンヘラっていう(笑)。
楓:でも、この曲は哀愁がありますよね。

──聴いていてじんわりときます。これもライヴで人気曲になると思いますよ。
宏崇:やってみないとわからないですけど、パッと聴いてわかりやすい曲なのでライヴでも良い感じになればいいですよね。

──この記事が載る頃には、十周年記念47都道府県単独公演ツアー『CLIMAX47』が始まっています。最初は、「CLIMAX」の歌詞にも登場した《高田馬場のライヴハウス》こと、高田馬場AREAにて『CLIMAX“0”MiOKURi』がありますね?
マモ:もともとは、さいたま公演が初日だったんですけど、やっぱり出発はAREAがいいなって。なので、結構むりくりに決めた感じではあるんですけど、初日の0とお見送りの0をかけて『CLIMAX“0”MiOKURi』というタイトルにしたんです。ファンのみんなも「いってらっしゃい」と言えるようなライヴにしたいなと。

──自信を持って全国に送り出せることでしょう。そして、ここから長い戦いが始まります。
Z:前にやった88ツアーは、日本を2周したので気持ちもブレちゃったんですよね。でも、今回は47ツアーなのでこの1周に気持ちを集中させて、その集大成をファイナルの両国で見せたいです。いつもと変わらずにまずは動きで魅せたいので、そういうところもこのツアーで磨けたらいいなと。

──七星さんの目標は?
七星:1本1本、消化にならないようにというか、ライヴをやったらその都度反省していくっていう作業をちゃんとやれば良いツアーになるんじゃないかなって思ってます。

──宏崇さんが楽しみにしている場所はありますか?
宏崇:富山。としおがいるから。としおっていうスキンへッドの店長がいるんですよ。ライヴ中もずっとノリノリでヘドバンしてるんですよね。それを見るとこっちもテンション上がるんですよ(笑)。逆に、警戒してるのは沖縄ですね。88のときに沖縄で肺に穴が開いたので(苦笑)。でも、88ぶりに行く場所もあるので楽しみです。

──楓さんも楽しみな場所ってあります?
楓:前回の『フラッシュバック』公演のときに俺は秋田を選出したんですけど、1日の空気感とか自分のテンション含めて秋田はすごく良くて。なので今回も秋田公演は単純に楽しみだし、あとはハコ的に神戸VARIT.かな。他にもご当地ならではのものがたくさんあるので楽しみな部分は結構ありますよ。それと、突発的に始まる即興ソングを今回もやることになるのか?とか(笑)。意外とそのとき歌った曲を覚えてくれているファンの子はいるので、今回も1本1本大事にしながらライヴ廻りたいと思います。

──それらを踏まえて、マモさんはどのようなライヴを見せたいと現段階で考えていますか?
マモ:やっぱり、プレッシャーは88のときよりあるんですよ、各地1本しかないので。でも、自分たちが悪かった場合はそれをちゃんと認めてから次に繋げたいし、1本1本、全力でやれたらなって思います。

Interview:ERI MIZUTANI